【新規就農者】就農者の変化はどうか「令和3年度最新版」

農業が衰退している話については誰しもが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

理由としては少子高齢化や地元離れなどがありますが、一般的にきく原因は少子高齢化の影響だと思います。

実際問題農業は著しく高齢化が進み、就農者の平均年齢が60歳以上になりつつあります。このままでは農業を継続してくことができないと国としても新規就農者を増加するために色々な政策を打ち出しています。

ではなぜ、そもそも農業が衰退することがまずいのでしょうか。

少子高齢化は何も農業に限ったことではありません。

しかし、これだけ農業に力を入れて国が就農者を増やそうとしているのには理由があります。

大きな理由として農業という産業の重要性が挙げられます。

農業は日本において欠かせない産業の一つとして国が認めている産業になります。

つまり農業がなくなると国として問題があるという認識があるためこれ以上の衰退を避けなければいけないとされているのです。

今回の記事では令和3年度における新規就農者数について農林水産省より最新版が更新されましたのでどのように変化しているのかについて改めて最新の情報を元に紹介して行きます。

農業の重要性と就農者数に対してどれくらいの変化があったのかによって政策の取り組み結果を知ることもできますのでぜひ最後まで一読して頂ければと思います。

令和3年度新規就農者数「最新版」

昨年の新規就農者について最新版が更新されましたのでそれぞれについてどれくらいの変動があったのかについて見ていきましょう。

1、新規就農者数

令和3年の新規就農者は5万 2,290 人で前年に比べ 2.7%減少し、このうち 49 歳以下 は1万 8,420 人で、0.2%増加しました。

就農形態別にみると、新規自営農業就農者は3万 6,890 人、新規雇用就農者は1万 1,570 人、新規参入者は 3,830 人となっています。

上記の表をみて見るとここ数年の新規就農者数はそこまで大きな変動はないことが分かります。

もう少し就農形態別に見ていきましょう。

2、新規自営農業就農者数

新規自営農業就農者は3万 6,890 人、このうち 49 歳以下は 7,190 人で、前年に比べそれぞれ 8.0%、14.8%減少しています。

全体の割合で見ると49 歳以下は全体の19.5%

50 歳以上は80.5%となっています。

新規自営農業就農者としては平成26年から比較すると全体的に減退の傾向であることが分かります。

令和2年度よりもさらに減退していることからいまだに新規で自営をすることにはあまりメリットを感じていないことがわかる結果となっています。

3、新規雇用就農者数

新規雇用就農者は1万 1,570 人、このうち49 歳以下は 8,540 人で、前年に比べそれぞれ 15.1%、16.0%増加しています。

雇用者数はこの数年の中でも一番就農者数が増加しています。

令和2年度に比べてかなりの増加がありました。

雇用就農は政策などを利用して少しづつ増加してきているのがここ数年のデータを比較しても分かります。

特にこの雇用就農であれば最初からリスクを背負う自営よりも安定した生活を送ることができるために自営就農が減退傾向に対して雇用就農が年々就農者が増加している傾向にあるのがはっきりとわかるようになってきました。

4、新規参入者数

新規参入者は 3,830 人、このうち 49 歳 以下は 2,690 人で、前年に比べそれぞれ 7.0%、4.3%増加しています。

新規参入した部門別にみると、露地野菜作が 1,310 人と最も多く、次いで果樹作が 790 人、施設野菜作が 650 人となっています。

令和2年度と比較したら増加傾向にはありますがこちらも平成26年度から令和3年度までの8年間のデータで比較してみたさいにはそこまで大きく変化はしてません。

増減の幅も100〜200人となっているため農業としての就農者が増加しているかと言われるとそこまで増加している傾向はないと言えます。

稲作などの農業の種類ごとに就農者数を見たさいに露路野菜作が増加している傾向にあります。

畜産業が少なくなっているのは畜産業の現状が経営が非常に厳しい状況であるため、そもそも新規就農者を受け入れることができないためです。

そのためこの結果になっていても仕方がないと言えます。

畜産業の現状

就農者数でもはっきりとわかるように畜産業は現在非常に経営が難しいのが現状です。

理由としては家畜を育てるための飼料の高騰が大きな原因です。

畜産農家のコストの3〜6割は飼料によるところが大きくなっています。

現在この飼料の値段が世界情勢によって高騰したことにより飼料の値段が倍近くしています。

結果として畜産農家の経営は現在非常に難しく廃業や離農する農家が増えるとされています。

そのため、令和3年度の新規就農者が畜産業が減少したことについては理由が明確だと言えます。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sinki/

新規就農者の増加のための政策

国が政策として打ち出している新規就農者増加のための政策について知らない人もいると思います。

そのため、ここで少しだけどんな政策があるのかについて紹介していきます。

新規就農者への支援として

1、認定新規就農者制度

2、経営発展支援事業

3、就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資事業)

4、新規就農者の事例

5、青年等就農資金

6、農協等向け新規就農者税制

7、就職氷河期世代の新規就農促進事業

8、雇用就農資金

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/

これらの政策を国は打ち出しています。

政策ごとによって内容は異なりますが基本的な内容としては農業に参入したい人に向けての教育から研修制度の利用とその間の資金の援助などがメインになります。

また、新規で自営を行ないたい人に向けても資金の調達がしやすくなるような制度があります。

農業は全くの知識がない人がいきなり就農するにはリスクが高いため事前準備が重要としてこのような内容の政策となっています。

就農者定着率

ここまで最新版の就農者数などを紹介してきましたが、実際に定着している人がどれくらいいるのかについても触れておきたいと思います。

新規就農者として参入した人の定着率は約7割になります。

これは5年以内に離農しなかった人の割合です。

7割が5年以上継続して農業に携わっていると考えればいい多いように感じますが、

逆にいえば3割の人が離農しています。

また、この離農している人の多くは生活が安定しないことによる原因が離農に繋がっています。

この離農者の数は実は毎年それほど変化はしてません。

つまり状況が変化していないということです。

国制度を利用して就農した人でさえも約3割が離農している状況ですので、今後のことを考えれば生活が安定しない状況をなんとかしていかなくては農業に就農者が定着していくのは難しいでしょう。

農業の現状

ここまで農業の就農者に着目して紹介してきましたが、ここで少し農業の現状についても紹介しておこうと思います。

まず第一に農業の労働環境は昔と比べて改善されつつあります。

一つにスマート農業の導入です。

農業でも機械化の導入が進んでいることで昔に比べてITが農業に参入してきています。

そのため管理方法や収穫についても機械による作業となってきているため全てを人力で行っていたときに比べれば改善されつつあります。

しかし、農業がしんどい業界であることに変わりはありません。

まず生活が安定しにくいこと。

これは離農者の多くの理由でもありますが、農業は自然の影響を強く受けてしまいます。

また、ここ数年の内容でいえば情勢にも影響を受けてしまいます。

農業で生活をしていくにはリスクがまだ高いことが分かります。

畜産業においては離農以前に廃業の危機に追い込まれている農家も少なくありません。

このように農業が不安定な現状では就農したいと思う人にとって不安を解消していかなくては就農者が増加するのは厳しいのが現状でしょう。

まとめ

新規就農者の最新版データで令和3年度の就農者について紹介してきました。

まず結果としては全体的に就農者数は令和2年度と比較したさいには少し減少していますが、ここ数年のデータから見るとそこまで大きな変動はしていません。

令和3年度の就農者数での変化で一番影響があったとわかる結果だったのは畜産農業です。

畜産農業は世界情勢の影響で現在経営が困難な農家が増加しています。

その結果が令和3年度の就農者数で新規が少なかったことに直結する結果になっています。

この経営が困難な状況としては海外からの輸入による飼料が高騰したことが原因です。

日本は輸入に多くを頼っているためこういった輸入品の高騰の影響を強く受けてしまいます。

それだけ輸入はリスクが高いということを自覚しなくてはいけません。

農業は日本の産業でも欠かせない産業とされています。

そして、農業では国内での食料自給率を向上していかなければいけません。

食料自給率を向上させるためには農業の従事者を増加させることが重要になってきます。

しかし、農業従事者はここ数年で増加してきているかといえばそこまで増加していないのが現状です。

この現状を変えていくためには農業の安定しない生活と収入による問題を解決していく必要があります。

就農しても離農している人が多いのもこの生活が安定しないことと収入による問題が一番の原因です。

実際に農業は外部の影響を強く受けやすいため毎年の生産が安定しているわけではありません。

こういったことから収益は安定しにくいのが現状です。

国としてもこの現状を改善するために新規就者を増やすためにはこの生活面でのサポートが充実しないことにはこれ以上の新規就農者の増加は厳しいでしょう。

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