農業では様々な問題を抱えていますが、世界的に大きく問題となっている農業未利用地の増加です。
農業未利用地が増えるとダメなの?という疑問を持つ方もいるかと思いますが、農業未利用地が増えると様々な問題が生じます。
そこで本記事では農業未利用地が増えるとどうなるのか?再生方法や活用方法などを詳しく解説していきます。
農業未利用地とは?
農業未利用地とは、農業の目的で使用されていない土地のことを指します。
つまり、農業で使用されていた土地を何らかの理由で使用しなくなりそのまま放置された土地のことです。
これらの地域は、農業活動や耕作放棄地、廃止された農場、都市化の進展によって利用されていない状態が続いています。
農業未利用地は、畑や牧草地、果樹園、森林、湿地など、様々な形態を取ることがあり、このような土地は農業用地の不足や農業の技術革新による生産性向上の影響を受けています。
農業未利用地はなぜ増えている?
なぜ農業未利用地は年々増加しているのでしょうか?
農業人口の減少
農業未利用地が増えている主な理由の一つは、農業人口の減少です。
農業人口の減少は、若者の都市流出や高齢化による農業労働力の減少が主な要因です。
若者は都市での生活や仕事の機会を求めて農村を離れる傾向があります。
また、高齢化により農業を継続する農家が減少し、後継者が不足しています。
農業は体力的な労働やリスクが伴うため、若者の農業への関心や参入意欲が低下しており、農業の魅力を高め、農業経営の安定性や生活環境の改善、若者向けの支援策の充実など、農業人口の確保と活性化が重要な課題となっています。
農業経営の困難さ
次に農業未利用地が増えている理由として、農業経営の困難さです。
現代の農業は市場競争の激化や生産コストの上昇など、多くの課題に直面しています。
価格の低迷や需要の変動により、農産物の収益性が低下しています。
同時に、農業生産には土地、水、労働力、農薬、肥料などの投資が必要です。
これらのコストが増加し、農業経営の利益率を圧迫しています。
また、気候変動や天候の異常、害虫や病害の発生などのリスクも農業経営に影響を与えています。農業経営の困難さに対処するためには、効率的な経営手法の導入、農業技術の向上、市場へのアクセス改善、農業支援策の充実などが必要です。
害獣による被害
最後は害獣による被害です。
害獣は野生動物や鳥類などであり、農作物や果樹園などに食害や破壊をもたらします。
農業未利用地は管理されずに放置されるため、害獣の生息地や餌場となりやすくなります。
例えば、鹿や野ウサギなどの草食動物は農作物を食べ、鳥類は果実をついばむことがあります。
これらの害獣の増加は農作物の収量や品質に悪影響を与え、農業経営に大きな損失をもたらします。
害獣の管理や駆除、防除対策の強化、農地の適切な管理などが必要とされています。また、地域や農家間の協力や情報共有も重要です。
農業未利用地が増えると起きる問題点
農業未利用地が増えると様々な問題が生じます。
まず1つ目に、食糧安全保障の脅威になるとされています。
農業未利用地の増加により、農地の生産性が低下し、食糧供給に対する脅威が生じます。
農地の不活用は、食料生産の潜在能力を十分に引き出せないため、地域や国家の食糧安全保障に悪影響を及ぼします。
次に生態系への影響です。
農業未利用地の増加は、生物多様性の減少や生態系の破壊を引き起こす可能性があります。
例えば、農業未利用地を長い間放置しておくと、害虫や害獣の巣になることもあります。その近くに農地があれば住み着いている害獣や害虫に荒らされるといった問題もあります。
農地のこれらの地域では、野生生物や植物の生息地が失われ、生態系のバランスが崩れることが懸念されます。
3つ目は、土壌劣化と環境問題です。
農地が放置されると、土壌の品質が低下し劣化が進行します。
土壌を長期期間放置し続けると栄養が土壌の中の栄養などが低下するため改善することが難しくなってきます。
4つ目は地域経済の停滞です。
「なぜ放棄地があると地域経済が悪くなるの?」と思う方もいるかと思いますが、3つ目に記述した農地として再生することが難しくなるとその地域での農業での収入が減少することに繋がります。
これらの地域では、農業による雇用や収入の機会が減少し、地域の活力や人口が減少する可能性があります。
最後は、都市化と農村空洞化です。農業未利用地の増加は、都市化の進展とも関連しています。
都市部への人口集中や都市化の圧力により、農地が放棄され、農村地域が空洞化することがあります。これにより、地域の社会的・経済的な均衡が崩れ、地域の魅力や資源が失われる可能性があります。
農業未利用地を再利用するための方法とは?
農業で放棄された土地は再利用するにはどのような方法があるのでしょうか?
5つの方法について説明します。
有機農業の導入:有機農業は持続可能な農業の一形態であり、農業未利用地の再生に適しています。
有機農業の原則に基づき、土壌の健康回復や生態系の保護を促進し、再生可能な資源の効果的な利用を図ることができます。
農地共有やリース制度の促進:農業未利用地を所有する人々や組織と、農業を行いたい人々を結びつけるために、農地共有やリース制度の構築を推進することが重要です。
これにより、農地を活用したい人々が利用しやすくなり、農業未利用地の再生が促進されます。
農業と他の産業の連携:農業未利用地を再利用するためには、他の産業との連携が重要です。
例えば、農業と観光業の組み合わせや農業と再生可能エネルギーの結びつきなど、複数の産業を統合することで、地域経済の活性化や農業未利用地の多様な活用が可能となります。
農業教育と支援の強化:農業未利用地の再利用を促進するためには、農業教育と支援の強化も重要です。農業技術や経営スキルの向上を支援し、農業に関心のある人々に対して啓発やトレーニングプログラムを提供することで、再利用の意識と能力を高めることができます。
政策と規制の整備:農業未利用地の再利用を促進するためには、政策と規制の整備も欠かせません。
税制や土地利用計画、補助金制度の見直しや改善を通じて、農業未利用地の再生や活用を支援する環境を整える必要があります。
農業未利用地の活用方法とは?
農業で使用されていない土地を活用するアイデアは多くあります。
まずは農地としての再利用です。
農業未利用地を農地として活用することは、最も一般的な方法です。
農地の耕作や畑作、果樹園やハーブガーデンの設置など、食料生産や特定の農産物の栽培を行うことで、農業未利用地の再生と生産性の向上を図ることができます。
ただし、農業未利用地を農地として活用するには土壌の状態などを改善することなど問題を解決しなければいけません。
次に都市農業の推進です。農業未利用地を都市農業の拠点として活用することで、都市部での食料生産や農産物の供給を増やすことができます。
屋上菜園や垂直農法の導入、コミュニティガーデンの設立など、都市空間での持続可能な農業活動を促進することが重要です。
そして、自然保護と生態系の回復です。
農業未利用地を生態系の保護や回復のために活用することも有効です。
湿地や森林の再生、野生生物の保護地としての活用、自然公園やエコツーリズムの推進など、地域の生物多様性や生態系の保全に貢献することができます。
また、再生可能エネルギーの生産も未利用地の活用方法です。
農業未利用地を太陽光パネルや風力タービンなどの再生可能エネルギー施設の設置に活用することで、クリーンエネルギーの生産が可能です。
このような取り組みにより、地域のエネルギー自給率の向上や温室効果ガスの削減が期待できます。
最後は、地域産業の振興です。
農業未利用地を利用して、地域の新たな産業やビジネスを創出することも考えられます。
例えば、農産物の加工・販売業、観光や体験型農業施設の運営、農産物の直売所やレストランの開設など、地域経済の活性化と雇用機会の創出に寄与します。
農業未利用地は農業以外で新しく土地を再利用することも1つの手段です。
もちろん農地として再利用するのが1番いいかもしれませんが、難しい場合は臨機応変に対応しましょう。
農業の未利用地を再生するにはいくら?
農業未利用地の再生費用は、さまざまな要素によって異なります。
一般的に耕作放棄地再生にかかる費用は、10aあたり10万円〜25万円程度と言われています。
しかし、これはあくまでも農地に戻した時の金額です。
具体的な再生プロジェクトの規模や内容、地域の土地の状態や利用目的によっても変動します。
再生には土壌改良や施設の建設、作物の植付け、灌漑システムの整備、労働力の費用などが含まれます。
また、再生に関連する法的手続きや許認可の費用も発生する場合があります。
したがって、具体的な費用はプロジェクトの範囲や目的によって異なるため、一概に金額を示すことは難しいでしょう。
プロジェクト計画の作成と予算の評価を行うことで、再生費用をより具体的に把握することが重要です。
まとめ
本記事では農業未利用地について解説しました。
農業未利用地は放っておいても問題ないと思う方もいるかと思いますが、長い期間放置しておくと生態系や環境に大きな負荷をかけてしまいます。
自分が住んでいる地域に農業未利用地がないかを確認して、あれば再利用などを検討してみてはいかがでしょうか?
また「みんなで農家さん」では農業に関する様々な情報を掲載しております。
農業従事者からこれから農家を目指す方まで役に立つ情報が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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