新規就農者の現状とは?年収分布や収入状況、販売方法を紹介!

新規就農を目指す人にとって、農業経営で得られる収入がどの程度なのかは非常に気になる点です。新しく農家をはじめるには何かと準備費用も必要になります。 計画的に農業をするためにも収入の目安を知っておくことは大切なことです。 また、就農して間もない農家はどうやって収入を増やし、生計を立てているのかも気になります。

この記事では令和3年に全国新規就農相談センターが実施した新規就農者の就農実態調査のデータから、新規就農者の実際の年収とその分布について紹介します。 さらに

  • 収入は順調に増えていくのか
  • 農業収入だけで生活できるのか
  • 新規就農者が収入を得ている方法は何か

といった、新規就農を目指す方や就農に興味がある方にとって重要な「お金にまつわる情報」を紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

新規就農者の平均年収とは

新規就農者の就農実態調査によると、新規就農者全体(就農経過年数1から5年目)の年間の農業所得額(年収)の平均は 178.4 万円という結果でした。

全国の平均年収は433万円、新卒(大学卒)の平均年収は226万円なので、これらと比較しても新規就農者の平均年収の178万円はやや低い値であることがわかります。

新規就農者の年収は経験を積むことで増加するのか

新規就農者の年収は経過年数と比例して年々増加しているといえます。

その理由として、以下の3つがあげられます。

  • 就農後の経過年数別の平均年収が増加している
  • 年収100万円以上の割合が経過年数とともに増加している
  • 昨年よりも売上が増加した人の割合が増加している

それぞれの調査結果を元に詳しく紹介します。

就農後の経過年数別の所得は年数と比例して増加

参照:新規就農者の就農実態調査

就農後の経過年数別の農業所得の調査結果では、就農1・2 年目が平均 91.2 万円、就農 3・ 4 年目が 146.4 万円、就農 5 年目以上が 241.6 万円と増加傾向となりました。

年収100万円以上の新規就農者の割合が経過年数とともに増加

年収金額の階層別の分布の結果は、年収が 50 万円未満(マイナス含む)の新規就農者が 35.8% とかなりの割合を占めていました。

しかし、就農後の経過年数とともに年収50 万円未満(マイナス含む)の割合は減少し、逆に100万円以上の割合は増加しています。

1・2 年目では 年収50万円未満(マイナス含む)の割合は58.3%と6割近い人が収入が少ない状態ですが、 5 年目以上では 22.8%と減少しています。

また、「100万円以上」の割合は1・2 年目では 26.9%ですが、3. 4年目は49.4%、 5 年目以上では 68.4%と増加しました。

昨年と比べて「売上が増加した」割合が高い

参照:新規就農者の就農実態調査

新規就農者を対象に「平年と昨年の売上高との比較」をした結果です。

全体の平均をみると「売り上げがやや増加した」割合が32.3%と最も高く、新規就農者の全体の3割が前年度よりも稼いでいることがわかります。

経過年数別に見ても売り上げが増加した割合は1. 2年目30.5%、3. 4年目58.3%、5年目以上42.1%と、3年目以降から増加の割合が高いことがわかりました。

よって、「就農後の経過年数別の平均年収」、「年収100万円以上の割合」、「売上が増加した人の割合」の結果から、新規就農者の年収は経過年数とともに増加傾向であることがいえます。

農業で生計を成り立たせることは可能か

新規就農してすぐは低い収入であることがわかり、「農業だけで生計を成り立たせることは可能なのか」と不安になるかと思います。

結論として新規就農で生計を成り立たせることは可能です。

しかし、就農してすぐに生計を成り立たせるほどの収入を得ることは難しく、生計が成り立つ目処が立つのは「年収352万円」、「就農後2. 7年目」からという結果が出ています。

「生計が成り立っている」と実感している割合は?

参照:新規就農者の就農実態調査

実際に農業の収入で「生計が成り立っている」と実感している人はどれくらいいるのでしょうか。

新規参入者における農業所得による生計の成り立ち状況をみると、「おおむね農業所得 で生計が成り立っている」割合は 38.1%でした。

よって、新規参入者の 60%程度は生計費をカバーできるほどの農業所得を得られていないことが分かります。

しかし、就農後の経過年数別に農業所得で生計が成り立っている割合をみると、就農 1・2 年目は 20.3%であるが、3・4 年目は 33.5%、5 年目以上は 53.2%と増加傾向にあります。

つまり、すぐに生計を成り立たせることは難しいですが、多くの人は経験を積むことで農業収入だけで生活できるようになっています。

生計が成り立つまでは制度を活用している人も 

 足りない分の生計費の補填方法について「貯金を切り崩して生活している」人や「他の収入を足しにしている」人も存在しますが、全体の4割が利用しているのが「農業次世代人材投資資金」です。

これは経営が安定するまで年間150万円の補助金を受け取ることができるというものです。

農業を始めるにあたって、資金についての不安がある際にはぜひ活用することをおすすめします。

新規就農者の販売先は?収入を増やすために何をしている?

新規就農者はどのようにして収入を得ているのでしょうか。また、収入をより効率的に増やすためには何をしているのでしょうか。

調査の結果、多くの新規就農者に以下の特徴がみられました。

  • 販売先第1位は「農協」
  • 収入を増やすために「規模拡大」をしている

それぞれ詳しく紹介します。

参照:新規就農者の就農実態調査

新規就農者はどこで商品を売っているのか、野菜など生産物の販売先について販売金額の多い順にアンケートを取った結果、上位3位は以下のようになりました。

  • 第1位:農協 45.4%
  • 第2位:消費者に直接販売 14.6%
  • 第3位:小売業者 14.6%

この結果から、新規就農者が最も利用している販売方法は「農協」であることがわかります。農協を販売金額が多い販売先であると答えた人は全体のおよそ半数であり、かなり多くの人が利用していることが分かります。

農協で販売するメリットとは

 農協(農業協同組合・JA)とは、農業者が互いに助け合い、農家の経営と暮らしを守り、高めていくための協働組織のことです。

農家は農協に加入することによって、営農指導が受けられる、JAバンクで金利が優遇されるといった新規就農者には嬉しいサポート内容になっています。

農協で販売するメリットとして、規格内の作物を買い取ってくれるという点があります。

そのため、直売所やインターネットなど、自分の商品の販売先を確保する必要がなくなります。

野菜や果物などの作物と向き合う時間に集中したいと考えている農家さんにとってはメリットになります。

農協で販売するデメリットとは

農協は販売先に困らない半面、「手数料がかかる」、「買取の単価が低め」というデメリットがあります。

規格内の作物は全て買取してくれますが、その単価は全体的に低い傾向にあります。

また、JA職員が農家の代わりに販売を請け負うため、販売手数料も必要となります。

農協を利用しつつ、他の販売方法に挑戦する人も

農協は新規就農者にとって安定した収入が得られる貴重な販売先であり、実際に多くの就農者が利用しています。

しかし、多くの農家はより安定して収益を得るために複数の販売先を活用しています。

農家としての仕事に慣れたら、直接卸したり、規格外のものは「不揃いセット」としてインターネットで販売するなど、販売先を広げてみるのも良いかもしれません。

多くの新規就農者は規模拡大をしている

収入を増やすための方法の一つとして「規模拡大」があります。

実際、就農 1 年目の経営面積 から現在の経営面積までの倍率をみると、就農 1・2 年目でも 1.4 倍、就農 3・4 年目で 1.5 倍、就農 5 年目以上で 1.8 倍となっており、かなり多くの経営が規模拡大を行っていることがわかりました。

規模拡大のメリットとは

就農者が規模拡大をする理由として、収入が上がるためのメリットがあるからです。

たとえば

①作業労働時間の減少

②生産費用の削減

などがあげられます。

大半の農家はトラクターや田植え機などの農業機材を使います。農業機材の性能を活用して効率よく作業を進めることで、同じ作業内容でもより多くの生産物を収穫することができます。

「規模拡大するには農業機材や、より多くの資金が必要になるのでは?」と考えるかもしれませんが、農業機材がすでにあれば、変化するのは農地面積の大きさぐらいであり、作業時間にさほど変化はないといわれています。

規模拡大のデメリットとは

 規模拡大のデメリットとして「品質を維持しなければならない」という点があげられます。

規模拡大によって、大量に生産することが可能になる半面、品質が落ちることのないように注意する必要があります。品質の低下によって生産物の価値が落ちてしまうと、結果的に収入を上げることにつながらないからです。

また、農業は天候に左右されやすく、露地栽培などの天候の影響を受けやすい栽培方法を行っている場合は注意が必要です。台風等の影響で品質が低下、最悪の場合は農作物が全滅ということも考えられるため、天候に左右されない方法を選択したり、複数の生産物を取り扱うことでリスクを分散するなどといった工夫が必要です。

まとめ

新規就農者の就農実態調査を元に、新規就農者の年収分布や収入の状況、販売方法などについて紹介しました。

農家としてすぐに稼げるようになるのは容易ではありません。

しかし、経験を積むことによって多くの新規就農者の年収は増加しており、新しい販売方法や規模拡大によって、効率的に稼いでいる経営者も多くいます。

農家は会社員のように安定した給与が支払われるというわけではなく、経費のことも考えなければならないため、始める前は不安が付きまといます。

努力が必要な仕事ですが、頑張り次第で収入を増やすことは十分可能です。

毎日の通勤に悩まされることもなく、自分で仕事を管理し自由な暮らしができるという魅力もあります。

日本の農家は高齢化や跡継ぎ問題などで深刻な状況です。国や地域は新規就農者を増やすために多くの制度を用意しています。

「農家になりたい」、「新規就農したい」という気持ちを「お金の不安」で諦める前に、ぜひ新規就農者のための制度を活用することを検討してみてください。

また、「みんなで農家さん」でも新規就農者のサポートを行っており、制度についての紹介や指導も行っています。興味のあるかたはぜひ「みんなで農家さん」をチェックしてみてください。

参考:新規就農者の就農実態調査農業経営統計調査(令和3年)

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