一本の値段が約1、000円?国産バナナの神バナナ

若者の仕事不足で過疎化… 地方の抱える大きな問題のひとつ。
長引く不況の背景もあり「情熱を持てる仕事が少ない」…。
そんな現実が未だに大きな壁となっています。

ですが、九州の南端に近くにあるこの農園では、
1年で20人近い若者たちが集結し、「バナナの栽培」に夢中になっています。
その名も『神バナナ』。
皮の薄さと濃厚だがさわやかな味わいが特徴のバナナ。
一本の値段がなんと約1,000円。
高額にも思えるバナナですが人気が加熱しています。
「神」は地名の神殿にちなんで命名。
実家の畜産業を継いだ社長の東晃氏が、地元に若者の雇用の場を作ろうと栽培を始めました。
情熱を込めた創意工夫とアイデアで「捨てるところのない農業」への道を歩んでいます。

『通常の2倍で生長!日本国産バナナ苗』

日本に流通している99%以上を占めるのは輸入バナナ。

輸入バナナは栽培期間中の農薬以外に収穫後にも防かび剤として薬剤が使用されることが多くなっています。

もちろんそれは長期間の輸送を経る輸入農産物には必要な処置なのですが、「国産バナナ」なら無農薬で価値を高めることができるのです。

バナナは樹上で完熟させると柔らかくなりすぎてしまうため、家庭菜園以外では基本的に青いうちに収穫し、室と呼ばれる貯蔵庫で追熟させます。

おかげで山の中にもかかわらず鳥獣害の被害はほとんどないのですが、困るのが虫の被害です。

完全無農薬栽培で育てている神バナナの園地では、ハダニ、アブラムシ、ヨトウムシなどを発見しても農薬で駆除できません。

これらの害虫を見つけ次第、手でつぶしたり葉を取り除いたり、または灌水用のホースで水を勢いよくかけて落としたりと地道に駆除しています。

カビの被害も課題ですが、こまめに風通しを良くする事で防止しています。

無農薬栽培はこのような大変な面も多いのですが、手をかけた分だけ美味しく育つバナナが生産者の頑張り甲斐につながっています。

通常、定植から収穫まで1年半かかるバナナが、神バナナの園地では、昨年5月の最初の定植から9ヵ月後の2月に収穫を始めることが出来たのです。

同社のバナナの栽培ハウスは全部で約30棟。

これをA~Cの3つのエリアに分け、順に定植を行われています。

国産バナナの生長が早いため毎日、背丈や葉の繁り方などで姿が目に見えてみるみる育っていくのです。

もちろん手入れをサボってしまうと、すぐに結果が反映されます。

バナナは大量の水分を必要としているので「水やり」は欠かせない…

「面倒だな」という気持ちも「バナナの木の生長」を考えると身体も自然と動いてくれる。

生長の速さは生産者のモチベーションにもつながっています。

皮まで食べられる!国産無農薬バナナ!

バナナは基本的に熱帯・亜熱帯で栽培される果物です。

実はバナナの糖度を上げるにはやはり寒暖差が必要なのをご存じでしたか?

「神バナナ」の園地は南九州市は鹿児島県の南端…全国的にも有名な知覧茶の産地です。

山間部では夏でも朝晩の気温は低くなり、冬には霜が降りたり雪が舞うことも多い地域なのです。

糖度の上がる凍結解凍覚醒法の苗から無農薬栽培された同社のバナナは、

この気候も味方し、ねっとりとした甘い「皮まで食べられる」バナナとして生長します。

輸入バナナとの差別化に成功した同社のバナナは「売価が1本1000円弱」という大きな付加価値を生み出しました。

一般的なスーパーで買える輸入バナナにはない、大きな個性を持ったバナナが誕生したのです。

オリジナルブランド神バナナ誕生

国産バナナは、オリジナルブランド「神バナナ」のネーミングで徐々に公開をスタート。

収穫の始まった年の4月頃からネットを中心に直売をスタートすると、「国産」「無農薬」「皮まで食べられる」というフレーズに、各種メディアから注目を浴びました。

ローカル局3つから取材を受け、全国紙でも取材。

その特集を見た企業から問い合わせがあり成立した取引された例もあります。

グループ会社を通じての納品を含めると、A棟850本の収穫だけに頼っている現在は、需要に供給が追いついていないほど人気が加熱。

もうすぐ収穫が始まるB棟、C棟もフル可動できる目処がついたとき、本格的な「神バナナ」のプロモーション戦略を開始することになりました。

話題が話題をよび不足気味の供給を増やすためにも、同社は奄美大島に子会社を展開。

台風被害の比較的少ない南部で、4haに広がるバナナ園を拡大しました。

奄美は年間の平均気温が、バナナの生長の限界値といわれる20℃を上回っているので、露地栽培も可能となります。

ハウスでも加温機なしで育つので生産費も抑えられるのが大きな強みです。

専業農家はほとんどおらず、ましてや農業で給料を払う地元法人は皆無という奄美大島。

しかし、国産バナナ栽培の適地ではあるのです。

高級バナナの可能性

バナナが1本1000円と聞くと「え?高い!」という声も多いのではないでしょうか。

一般的なスーパーで1本100円以下の安価で売られる輸入バナナには、見えづらい問題が存在します。

農薬の問題はもちろん、今後は新パナマ病のため収穫量が減る可能性もあるのです。

神バナナは「無農薬栽培」「ねっとりとした甘味」という付加価値で大きな差別化を図ることが出来ています。

本当に美味しいバナナを求めている人ならば、「1本1000円近い」という高級バナナでも買ってくれる可能性はあるのではないでしょうか。

神バナナの園地は日本最大級のバナナ園…輸入バナナの定番となったキャベンディッシュ種ではなく、かつて日本でバナナが高級品だった頃に主流だったグロス・ミッシェル種なのです。

ご高齢のお客様には懐かしい思い出と共に愛されるのではないでしょうか?

糖度に関してもキャベンディッシュ種の糖度が約18度前後なのに対し、神バナナの糖度は約25度前後。

とても甘くねっとりし香り豊かなその味わいです。

そういう神バナナだからこそ、贅沢品として生き残る可能性が高いのです。

更なる展開として、バナナの実のみならず葉と茎も商品にする事業が進行中。

パワーフードと呼ばれるアサイーと並ぶ栄養価のあるバナナの葉を粉末にし、健康食品の原料にするというプロジェクトも計画されています。

成分分析の結果、なんとアサイーの数十倍の含有量のあるアミノ酸が発見され、

バナナ以上の収益が見込めるという可能性を’秘めているのです。

同社代表が掲げる理念として『捨てるところのない農業をしよう』という言葉があります。

実以外もすべて商品にするつもりで調べ、発想を変えて考えることがこれからの農業の課題になってくるのではないでしょうか?

神バナナの商品展開

輸入バナナにはない独自の魅力を持った「神バナナ」。

お菓子や飲み物まで数々の加工品が展開されています。

いくつかの商品展開をご紹介いたします。

「佐賀県みやき町農場で作られた「ビール」「ジェラート」「ロールケーキ」」

「みやき神バナナプレミアムエール」

神バナナを使った、バナナビール。

ヨーロッパでは有名なフレーバービールですが、シロップや人工甘味料等を使わず、精度の高いバナナビールです。

「みやき神バナナジェラート」

佐賀県みやき町産の神バナナで作られたジェラート。

「皮ごと食べられる」特徴を生かしたを皮ごと贅沢に使用しました。

国産バナナ本来の甘みをそのまま味わえます。

口触りの滑らかさ、ミルクのコク、国産バナナの芳醇な風味がお楽しみいただけるジェラートです。

「みやき神バナナプレミアムロール」

佐賀県みやき町産の神バナナをまるごと1本使用したプレミアムなロールケーキ。

クリームはふわっふわ、バナナはとろーりとして濃厚。

外側は贅沢にバナナの皮を入れ込みふっくら焼き上げたプレミアムにふさわしい逸品です。

※佐賀県みやき町のふるさと納税にてお取り扱いされてます。

「神バナナチーズケーキ」

ミシュランの星を5年連続で獲得した表参道にあるレストラン「LATURE(ラチュレ)」でシェフ務める、室田拓人氏によるチーズケーキ。

神バナナを1本を贅沢に使用して1つ1つ丁寧に作られた、無添加・無着色のケーキ。

※アグレボヘルスフーズ株式会社にてお取り扱いされてます。

「神バナナチップス(きゃんでーばなな)」

神バナナを使ったバナナチップス(ドライフルーツ)。

『きゃんでぇーばなな』という名前の通り、他社製品とはまったく違いパリパリはしておらず、ソフトキャンディーのような甘さと舌触りが楽しめます。

砂糖未使用なのが信じられないくらい甘く芳醇な香りが口の中に広がります。

天然のサプリメントとも呼ばれ、豊富なビタミンB群含んでいます。

お子様のオヤツとして、また、バナナ好きな方々にも愛される商品です。

※※amazonなどでお取り扱いされています。

「神バナナペースト9910」「神バナナパウダーGOD」

無農薬国産バナナは保存管理が難しいため、すべてを生鮮用として活用するのが難しい。

そのため「神バナナ」を加工用途にすることで、無駄なく活用することのできるようにするためにペーストとパウダーを開発しました。

〈神バナナペースト9910〉はドリンクやケーキなどのスイーツ用に、

〈神バナナパウダーGOD〉はプロテインやスムージーなどへのバナナ風味の付与と、『神バナナ』使用によって差別化メニューの広がりを期待されています。

※大石化成より発売中。

「神バナナジュース専門店 タナカバナナ」

神バナナを使用したバナナジュース専門店。

JR鹿児島中央駅近くに開店しています。

メニューは、牛乳、豆乳、アーモンドミルクの3種類、サイズはそれぞれレギュラーとラージ。

氷や砂糖を使用していないため、神バナナ本来の味や甘さを堪能することができます。

チョコレート、キャラメル、ストロベリー、変わったところではバナナの葉っぱといった様々なトッピングも楽しめます。

「神バナナと野菜の栄養デザート」

お手軽に栄養補給のできるペーストタイプのサプリメント。

食後のデザートとしても喜ばれています。

神バナナを主軸に20種類の国産野菜、16種類の乳酸菌、5種類のビフィズス菌を配合。

※オンラインショップ「けんこう物語」でお取り扱いされてます。

日本人とバナナ

バナナの歴史を振り返ると東南アジアを栽培起源地として、アジア、アフリカ、中南米の各地に広がり、熱帯の各地域で多様な食文化が生まれた歩みがあります。

日本人にとってバナナは熱帯作物。

これまでは沖縄を除けば、ほとんど栽培されてきませんでした。

そんな中に「国産のバナナ」として生まれた神バナナの存在は、日本人にとって改めて「身近な食べ物」として見直すチャンスなのではないでしょうか。

輸入バナナにはない「ねっとりとした甘味」「無農薬栽培」といった神バナナの付加価値は日本の農業ブランドをより高め、地方創生のひとつとしても注目され始めています。

生産者の方々のバナナへの情熱。

同社代表の農業の未来への尊い熱意。

神バナナに込められた数々の想いは地方創生の大きなきっかけにつながるでしょう。

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