目次
1.新規就農者は必見!収益性の高い野菜ランキング!
1-1.儲かる農家の基本
1-2.時給換算も大切!
2.最も儲かる農家はどれか?
2-1.露地野菜とは?
2-2.施設野菜とは?
2-3.どちらが儲けやすいのか?
3.グンッと差が出る!農作物の選び方!
3-1.稲作の強み
3-2.露地野菜で儲けやすいのは…◯ャベツ
3-3.施設野菜で儲けやすいのはミニト◯ト
4.時給でみた儲かる野菜
5.まとめ
『新規就農者は必見!収益性の高い野菜ランキング!』
「農家をスタートしてみたい!」と考えてはみたが、イマイチ農家の生活というものがピンとこない…。
その中でも最も気になる問題。
それはズバリ「お金の問題」ではないでしょうか?
「農家で儲けるにはいったい何を育てたらいいんだろう?」
本記事では、初心者におすすめの「儲かる農作物」を解説します!
営農類型別の収益や必要な労働時間から、農業経営を安定させる考え方などを解説します。
ぜひこれからの農業ライフに役立ててくださいね。
「農業で儲けたい!高収入な作物は何か?」農業だって立派なビジネスです。
なかなか口には出せませんが…
・うまくお金を儲けたい!
・儲かる農作物を知りたい!
・収入をアップしたい!
そんな本音の疑問はあるはずです。
農家として、利益を上げることを考えることは極めて現実的で大切なこと。
その際にまず重要になるのは「どの作物が高い利益を出せるか」ということ。
これから農業をスタートするあなたに向けて、そして現役の農家の方にも知っていただきたい「金脈になる美味しい野菜」のお話を、収益や労働時間などの視点からご紹介します。
「儲かる農家の基本」
どの農作物がオススメかというお話の前に「農業経営の基本」を知っておきましょう!
めんどくさく感じるかも知れませんが基本的な事を知り地固めをしておくことは大切なことです。
基本となる収入や利益の計算方法と、その基準について解説しますね。
農作物の売上収入は「収量×平均単価」で求められます。
また売上で得た収入から経費を差し引いた額が農家の「利益」になるわけです。
ここで経費になるのは、ハウスや農機具などの設備費、種苗や肥料などの資材費、人件費など栽培にかかった費用などのすべて。
これらの費用を合計したものを収入から差し引くことになります。
もちろん経費が高くなれば利益は減少します。
このため、経営を行う上では収入とのバランスを考えることが大切です。
経費削減に関しては、中古の機械や設備を利用などでも可能です。
単価に関しては、作物の種類や人気によって差が生まれてくるわけです。
例えば反収が少ない作物でも、ブランド化で単価をアップできるのであれば高い利益を期待することはできます。
反対に、単価が低かったとしても、手のかからない作物で安定した収量が見込める場合は、設備費などの経費がかからずに高い収益が期待できるということになります。
「時給換算も大切!」
人件費にあたる作業者の労働時間当たりの利益(時給)も重要なポイントになります。
例を挙げれば、短い労働時間で栽培できる作物を選んだ場合、空いた時間で別の作物を栽培するなどの工夫をすれば増収が期待できます。
以上のことを踏まえると、儲かる農業をしたいのであれば「売上が多く、負担する経費や労働時間が短くても大丈夫な作物」の選択が重要なポイントとなります。
『最も儲かる農家はどれか?』
次に“儲かる農家”についてのお話です。
ひとくちに農家と言ってもさまざまな形があります。
今回は、大きく分けて稲作・露地野菜作・施設野菜作・果樹作とした上で最も儲かる農家を解説しましょう。
農林水産省が発表した2018年の営農類型別経営統計(個別経営)によりますと、以下のようなデータがまとまりました。
・稲作 約265万円
・露地野菜作 約836万円
・施設野菜作 1,590万円
・果樹作 約673万円
(農家1戸当たりにおける農業粗利益の平均)
このデータによれば、施設野菜が「最も儲かる農家」であることになります。
次に露地農家が「儲かる農家」ということになります。
それでは「露地野菜」と「施設野菜」の違いについて解説します。
「露地野菜とは?」
露地野菜とはハウスなどは使わず露天の畑などで栽培した野菜のことと言います。
野晒しでの畑で栽培する野菜のことです。
魅力としては四季を感じながら旬の野菜を収穫できるのは、露地野菜を生産している人にだけ味わえる喜びです。
露地栽培の経営的な特長としては、同一面積ならハウス栽培よりコストが安く、大規模化が比較的容易となり、連作障害が出る作物でも場所が変えることができるという面です。
「施設野菜とは?」
施設野菜とは、保温や雨よけのためにハウスなどで栽培した野菜のこと。
温度・湿度等の生育状況をコントロール可能なため、収集したデータを活かすIT化が進んでいたりと、高付加価値の野菜を栽培することも今後期待できるでしょう。
施設栽培の場合、通年で安定した生産が可能なことから、栽培・加工・販売までを一貫して行う6次産業化も進行しています。
加工品の企画や販売など、生産だけにとどまらず様々な仕事を経験するチャンスがあるのです。
「どちらが儲けやすいのか?」
もちろんどちらにもメリットとデメリットはあります。
ですが、「儲けやすい野菜」という観点で見れば、まずは露地野菜に比べて施設野菜は総じて高い水準にあります。
これは、露地野菜は根菜類・葉茎類が中心なのに対して、施設野菜は果菜類が中心で収穫期間が長く収量が多いため。
また、施設野菜の方が卸業者に好まれるという話も聞いたことがあります。
例えば、トマトを例にとってみましょう。
露地栽培だと、鳥害や天候などにより出荷できる水準の収穫量が不安定なため、安定供給できる施設栽培のトマトの方を仕入れたいそうです。
但し、施設栽培になるとコストも大幅に掛かるようになります。
簡易なパイプのビニールハウスでも3aのハウス1棟の資材が約60万円、鉄骨やアルミの頑丈なハウスだと10aで1000万円〜。さらに加温して栽培するならその設備や燃料・電気代、また、ランニングコストとして補修や張替えも必要。
結論から言うと一番儲かる農家がどちらなのかというと、施設野菜農家なのです。
『グンッと差が出る!農作物の選び方!』
さて、まずは営農類型と平均的な農業粗利益を紹介しました。
ですが、もちろん同じ類型でも栽培する作物によっては収益にグンッと大きな差が生まれてきます。
「稲作の強み」
まずは、稲作は栽培されている作物が水稲のみであるため、作物による収益の差はありません。
しかし稲作は、作付面積によって粗利益の平均が大きく変化するという特徴があります。
稲作の農業粗利益は、平均で約265万円。
ですが、あくまでも平均であり、20ha以上の作付面積を持つ経営体から、農業粗利益の平均が約2,253万円と一気に利益が高くなるのです。
そして、30ha以上の作付面積を持つ場合、約2,685万円と面積が広くなるほどに利益が高くなるという点も大きな魅力といえます。 大規模かつ効率的な栽培を行うことで、高収入を狙うことが可能です。
稲作を始める場合は、まず作付できる土地の確保と大型農機の調達が必要不可欠になります。仲間との法人化も視野に入れておきましょう。
「露地野菜で儲けやすいのは…◯ャベツ」
農林水産省では、2007年まで「品目別経営統計」として、作物別の労働時間や農業粗利益の集計、公表を実施していました。
若干古いデータからの引用にはなりますが、露地野菜はこのデータをもとに「儲かる作物」について解説致しましょう。
上記の統計によれば、露地栽培で最も高い農業粗利益が出るのはシシトウ・
10a当たり201万円、最も少ない大根や玉ねぎが32万円であるのに比べて169万円もの利益が出る計算になります。
しかしその一方、シシトウは労働時間も全品目の中で圧倒的に長く、合計で2,155時間かかってしまうという面がネックです。
利益が高く出ても労働時間がかかれば、時給換算では低い値段になってしまいます。これでは割に合いませんよね。
そこで改めて「時給換算の高い」露地野菜を調べたところ、キャベツが「時給2,000円」で最も高収益と判明したのです。
キャベツは農業粗利益が10a当たり39万円と低いです。
ですが経費が少ないこと、労働時間が90時間に抑えられることが幸いして、高収益になっているのです。
キャベツは手のかからない野菜で、初心者が取り組みやすい作物です。
しかし、規模によっては定植機や収穫機などの導入も考える必要が出てきます。
ちなみに次に時給が高いのはレタスで、農業粗利益は10a当たり48万円、労働時間は133時間で時給は1,700円程度となります。
「施設野菜で儲けやすいのはミニト◯ト」
施設野菜作も露地野菜作と同様に、2007年の「品目別経営統計」によると、最も農業粗利益が高い作物は407万円のミニトマト。
最も低いスイカの75万円と比べて332万円もの利益の差が出ます。
そして、ミニトマトの労働時間は1,488時間。
これは、最も高いシシトウの2,983時間や、イチゴの2,092時間に比べると労働時間はかなり抑えることができているのです。
時給換算でも、ミニトマトは1,400円程度で最も高収益の出る「儲かる野菜」と言えます。
施設野菜では大玉トマトとスイカも時給が高く、ミニトマトとほぼ同程度の時給になる高収益の作物です。
スイカに関しては前述した通り、収益が低いのですが、経費も労働時間もほかの作物と比べて圧倒的に少ないということが、結果的に高収益の理由にもなっています。
このように施設野菜は総じて高い水準にあります。
収穫期間が長くて収量も安定して多いことが大きなメリットです。
しかし施設栽培は経費も高くなりがちで、簡易なビニールハウスでも1棟3aの資材に約60万円ものコストがかかります。
そのほか加温に使う燃料や電気代、補修や張替の費用がかかってくるのです。
結果的に「時給面では路地野菜より低くなる野菜もある」という面があるのです。
『時給でみた儲かる野菜』
さて、それでは今度は時給という面でどの野菜が儲かるかを解説しましょう。
以下は農水省のデータから、時給換算したデータを表にしました。
施設野菜と露地野菜の分類も参考に表記しました。
順位 品目 労働時間あたりの農業所得(円)
1位 ミニトマト(施設野菜) 1,790
2位 キャベツ(露地野菜) 1,581
3位 レタス (露地野菜) 1,574
4位 にんじん(露地野菜) 1,548
5位 サトイモ(露地野菜) 1,512
※儲かる基準として、「労働時間あたりの農業所得」を採用しています。 「所得」なので経費等は差し引かれた後の金額となります。
・1位「ミニトマト」(施設野菜)
1位はミニトマト。「単価が高い」「収穫できる量が多い」「高い需要がある」ので儲けやすい農作物堂々のベスト1に輝きました。
少し注意する点を追記すると、夏の栽培には向かない面はあります。
ビニールハウスも夏場は暑くなりやすいため、農作業は辛くなり実もなりにくいという弱点があります。
ミニトマトの向いているシーズンは春か冬。
この時期を狙って栽培するようにすると、高い単価を保持しつつも売上を向上することが可能です。
・2位「キャベツ」(露地野菜)
2位はトンカツの付け合わせにも野菜炒めにも大活躍の露地野菜、キャベツ。
前述した通り、キャベツは、手がかからない育てやすい野菜です。
結果的に、労働時間あたりの農業所得が高くなるのです。
ただ、大きい作物なので労働自体は肉体労働が多くなりハードな面もあります。
広い畑も必要です。
さらに、キャベツの市場での単価は100円台から400円台にまで、価格変動は激しい面があります。
この部分は注意が必要な作物でもあります。
・3位「レタス」(露地野菜)
3位はレタス!こちらも食卓によく並ぶお野菜のひとつですよね。
そんなレタスも儲かりやすいお野菜です。
夏場に涼しい気候の地域では、他の農家さんを出し抜いて、高単価での販売が可能になります。
つまり、売り上げを赤くすることが可能です。
レタスは夏場に需要が大きいので、夏場は特に勝負できる農作物です。
・4位「にんじん」(露地野菜)
4位はにんじんです。
カレーや肉じゃがなどにも大活躍!ベータカロチンなどを豊富に含む、おなじみの美味しい野菜ですね。
にんじんも、手がかからない育てやすい作物であることが大きな強みです。
適温は、15℃~25℃と比較的幅が広く、初心者の方にも簡単に栽培がしやすいのです。
比較的、労働時間の少なくなることから、労働時間あたりの農業所得が高い結果になりました。
・5位「サトイモ」(露地野菜)
5位はサトイモ!煮物や汁物の具材として大活躍!サトイモも管理が少なくて済む農作物です。
高温の気候を好み、3月〜10月までが栽培期間。
回転率自体は高い農作物ではありませんが、作業時間が少ないのが特徴。
価格がピークを迎える11月~2月に出荷できれば、利益をしっかりと出すことは可能ですね。
しかし、収穫は人の手がメインになることがネックです。
広い土地で本格栽培などは難しい農作物になります。
栽培するならば、サイドビジネス。
これなら「いい味を出している」利益が見込めます。
時給換算の1位は施設野菜である「ミニトマト」。
しかし2位〜5位は露地野菜である「キャベツ」「レタス」「にんじん」「サトイモ」がランクインしています。
このようにどちらにも経費や手間などが関係してくるため、儲け方にも違いが生まれてくるということがわかってきますよね。
『まとめ』
今回は、作物選びの参考となるよう営農類型別の作物の収益や労働時間の解説と、「儲かる野菜」を中心にご紹介しました。
同じ営農類型でも栽培する作物によって収益には、大きな変化が生まれます。
ほ場の環境、作物の栽培しやすさなどを考えながらも、儲けやすい作物を選ぶことが将来の大きな収益の非常に大切なポイントになってきます。
農家になるからには、是非、食べる意味でも儲ける意味でも「美味しい農業」に挑戦してくださいね!
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