農業世界基準のグローバルGAPとは?徹底解説!

みなさんは農業におけるG.A.Pを耳にしたことがありますでしょうか?
GAP(Good Agricultural Practices:農業生産工程管理)とは、農産物(食品)の安全を確保し、より良い農業経営を実現するために、農業生産において、食品安全だけでなく、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みです。
そしてこのGAPも1つでなく、「JGAP」「ASIAGAP」など日本やアジアで取り組む制度があります。

その中で世界的に取り組む制度としてあるのが、本記事のタイトルにもある「グローバルGAP」です。
本記事では世界で取り組みが行われている「グローバルGAP」についてわかりやすく解説していきます。

グローバルGAPとは?

グローバルGAPとはヨーロッパを中心に世界120カ国以上で実践されている世界基準の農業認証であり、農業生産・取扱における農産物の安全管理手法や労働安全、持続可能な農業を行うための環境保全型農業実践のためのチェック項目が具体的に定められたものです。

ドイツに本部を置いており、日本国内でも平成31年度で702の経営団体が認証を取得しています。
日本でも様々な企業(イオン株式会社や日本マクドナルド株式会社)が「グローバルな調達基準」としてグローバルGAPを採用しています。

このグローバルGAPの認証を受けることで日本だけでなく世界的に優良企業ということを証明できます。
またASIAGAPやJGAPなどの「一般財団法人日本GAP協会」が認証を行う農場やJA等の生産者団体が活用する農場管理の基準もありますが、違いとして認証する第3者機関や認証基準があります。
もし海外への輸出を考えている場合はグローバルGAPを取得し、アジア圏での輸出はASIAGAPを、国内のみならJGAPを取得することが良いでしょう。

次にグローバルGAP認証までの流れについて解説します。

グローバルGAP認証までの流れについて

ここからはグローバルGAPの「認証対象品目」「認証基準」「取得までの流れ」についてそれぞれ解説します。

グローバルGAP認証対象品目

【農作物】
・青果物
・コンバイン作物
・茶、花卉

【観賞用植物】
・種苗

【家畜】
・牛
・羊
・豚
・酪農
・家きん

【水産養殖】
・魚類
・甲殻類
・貝類

認証の種類

次に認証の種類について紹介します。
認証は大手企業だけでなく個人事業主なども認証を取得することが可能です。

【グループ認証】
・グループや複数農場を一括管理する事業者に対する認証
・全体を管理する事務局の設置が必要
・グループ又は事業者に対して認証書が発行
・認証の有効期限は1年間

【個別認証】
・個人生産者や一事業者に対する認証
・生産者又は事業者に対して認証書が発行
・認証の有効期限は1年間

認証取得までの手順

グローバルキャップ認証取得までの手順について解説します。
認証取得・維持するために内部監査または自己評価の実施後、認証機関による外部審査を受けないといけません。

①グローバル基準の文書とチェックリストのダウンロード
②チェックリストを使用して自農場の現状を把握、確認する
③認証基準を満たしていないポイントを修正するよう取り組む
④グローバルGAP認定の認証機関との面談を行う
⑤認証機関の検査簡易立ち入り検査をしてもらう
⑥グローバルGAPの保証規格証明書を受け取る

審査を受ける前にまずは「ASIAGAP/JGAP農場用 管理点と適合基準という基準書を入手して基準内容を理解し、自分の農場に不足している点を確認する事前準備をする必要があります。
また、団体の場合は「農場用」だけでなく、「団体事務局」も基準書を認証して共有のルールや団体事務局と各農場の役割分担を明確にし、団体・農場管理マニュアルを作成します。
また基準に照らして共有のルールに不足があれば補います。

認証を取得するには必要な条件に対して95%以上適合する事が大切です。

もし95%以上満たしていない場合は、作業や生産環境の確認などを行い運営改善をしていく必要があります。
また①〜⑥までの一連の流れをクリアしてグローバルGAPの認証を取得することができます。
①〜⑥までの審査は半年から1年ほど期間がかかると言われており、初回の審査は原則収穫期であることを考慮しなければなりません。
その為、業務に影響が出ないよう計画的に認証の取得を行うことをオススメします。

グローバルGAP認証にかかる費用

グローバルGAP認証に「個人」と「法人」で金額は異なりますが、取得までに費用がかかります。

個人の場合

取得するGAPの認証機関にもよりますが、個人で認証を受けるには、およそ10万円〜55万円の費用が必要になってきます。
また出張してくる審査員の旅費や備品やコンサルティング費用なども負担しなければいけませんので準備する必要があります。
また、認証を受けるには設備や備品、従業員の待遇を整えるには投資が必要となる場合もあります。

おおよそ必要な費用は100万円ほどは合った方がいいでしょう。

団体の場合

団体として認証を受けることで例えば30名であれば1名あたりの審査費用は3万円〜18万円ほどになり審査費用を抑えることができます。
またコンサルティング費用なども抑える事ができます。
地域と団体として認証を得ることで地域ブランドとして認証を得る事で地域ブランドとしての付加価値が生まれ、全体の単価底上げも可能となります。

グローバルGAP認証を取得するメリット

ここまで聞くとお金もかかるし、時間もかかるという印象を持った方も多いのではないでしょうか?
しかし、グローバルGAP認証を行うと費用や時間がかかりますがその反面、メリットも多くあります。ここからはメリットについて解説します。

生産物の評価の上昇

グローバルGAP認証を取得することで生産物の評価の上昇が期待できます。
世界的な認証というのは日本のみならず世界でも安心・安全という事が証明されますので、直接的に収入が上がることではないですが輸出を行えるようになるので販路拡大や世界でのPRにも役に立てることができます。

世界各国の小売業者にも販売が可能

ヨーロッパではスーパーで販売する野菜にもグローバルGAPへの適合を求めるのが一般的です。もし自分が育てた農作物を海外でも販売したいと考えた時に認証を取得することで販売ができる可能性が出てきます。

消費者への証明となる

グローバルGAP認証を取得する事で安全性が証明されています。
そのため、消費者などは安心・安全であると信頼を持つことができます。
GAP認証の認知度も向上しているため、消費者への信頼を得るだけでなく他の作物との差別化を図ることができますので、売上増加を見込むことができます。
これは日本のみならず世界で販売する際にも大きなメリットとなります。

人材確保に繋がる

グローバルGAP認証を受けることは何も作物の安全を保証するだけではありません。審査には労働環境も含まれています。
農業には今でも深刻化している問題として「人材不足」があります。その問題を解消するには労働環境の整備も必須条件となってきます。
これから新規就農者にも安心を与えることができますので、グローバル認証を取ることで人材確保にも繋がります。

ここまでメリットを紹介しましたが、なんといっても国内だけでなく様々な国で農産物を輸出できることが大きなメリットと言えます。
もちろん、グローバルGAP認証を受けていなくても可能です。

しかし、近年健康意識が世界的に高まっている中で大きな武器となることは間違いないと言えるでしょう。

グローバルGAP普及によっての農家の課題

これまでの日本の農業は家族経営が中心で農協と個人の信頼によって取引が行われることが多くありました。
しかし、SDGsをはじめとした世界では「環境負荷の低減」や「安心・安全な農作物の供給」などの認証制度が増え、国際基準の作物がより重要になってきます。

また、農業では企業などの参入も増えてきており、農協を通さず海外への取引も増えてきています。
その企業に対抗するとなると、今回紹介した「グローバルGAP」などの世界基準での認証を必然的に取らなければいけなくなる可能性も0ではありません。

そして、日本での取引も認証が必然的になってくると認証がない農家では取引ができなくなり経営難に陥ってしまうケースもあります。
これから農家を始める方や現役農家の方でも売上増加や販路拡大を目指すのであれば「グローバルGAP」といった認証を取得する事を検討してみたはいかがでしょうか?

まとめ

本記事では、グローバルGAPについて詳しく解説しました。
グローバルGAPの取得はまだ国内で大きく認知が広がっている訳ではありません。

なので、グローバルGAPを取っておくことで「差別化」を図ることもできる上、販路拡大や消費者への健康意識への高まりの需要に対しても大きな効果があります。

取得には大きな金額がかかりますので、もし取得が可能であれば検討してみてはいかがでしょうか?

また「みんなで農家さん」ではグローバルGAPだけでなく色々な認証制度も紹介しています。自分にあった認証を探してみる事もできますのでぜひ参考にしてみてください。農業に関する情報も日々更新していますので、ブックマーク等お願い致します!
https://minnadenoukasan.life/

最後まで閲覧いただきありがとうございました!

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