新規就農者を応援【農林水産省の7つの制度】

農林水産省では、農業の新規就農者を増やすために新規就農者への支援を行っています。

なぜ、新規就農者への支援をしているのか?

農業は昔に比べて高齢化が進み新規の就農者も減少してます。

しかし、日本の農業では食料自給率が低いことから生産性の向上と食料自給率向上が必須となっています。

また、高齢化も進む中で労働者の新規就農者がいないことで技術の継承も出来なくなってきています。

このように農業では新規就農者が減少することで農業の発展と生産性の向上などが出来なくなってしまいます。

国としては、農業が衰退していくことは日本の食料問題に直結することから新規就農者を増やすべく様々な取り組みをして、新規就農者を増やそうとしています。

ここでは、農林水産省がどのような取り組みをしているのかについてまとめて紹介していきます。

これから農業に新規で就農を検討している人にとっては悩んでいる問題があるかと思います。

支援を受けることで悩んでいる問題の解決やどうやって就農すればいいのかなど解決方法があるはずです。

ぜひ一度どんな取り組みがされているのか一読してみてください。

農林水産省の新規就農者支援

農林水産省のホームページでは農業に新規で就農者のためにいくつか政策が掲載されています。

ここでは農林水産省のホームページを参考に紹介していきます。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/

制度としては下記のようなものがあります。

・認定新規就農者制度

・経営発展支援事業

・就農準備資金、経営開始資金(農業次世代人材投資事業)

・青年等就農資金

・農協等向け新規就農者税制

・就職氷河期世代の新規就農者促進事業

・雇用就農資金

これらの7つの制度があります。

ここからはそれぞれの制度の概要について紹介致します。

認定新規就農者制度

新規就農者を就農の段階から農業の経営、改善まで一貫してサポートして将来の担い手として育成する農業経営基盤強化促進法の位置づけとしての制度です。

また、市町村の認定を受けた認定新規就農者に対して、早期の経営安定に向けたメリット措置を集中的に実施しています。

対象者はその市町村の区域内において新たに農業経営を営もうとする青年等です。

※ 青年(原則18歳以上45歳未満)、効率的かつ安定的な農業経営を営むために活用できる知識・技 能を有する者(65歳未満)、これらの者であって、法人が営む農業に従事すると認められる者が役 員の過半数を占める法人。

※ 農業経営を開始してから一定期間(5年)以内のものを含み、認定農業者を除く

新規で就農を検討している人の中で自営業を将来的に考えている人にとっては就農から農業の経営まで一貫してサポートしてくれるため新規の人にとっては心強い制度です。

国としても自己経営者が増加することによって就農者数を増やすことができます。

経営発展支援事業

経営発展支援事業では主に3つの支援があります。

1.経営発展のための機械・施設等の導入を地方と連携して親元就農も含めて支援

2.研修向け農場の整備、新規就農者への技術サポート、職業としての農業の魅力の発信等の取組を支援

3.就農に向けた研修資金、経営開始資金、雇用就農の促進のための資金の交付、農業大学校・農業高校等における農業教育の高度化等の取組を支援

農業への人材と定着を図ることを目的としており、上記3つの支援としてそれぞれ助成金を交付して新規就農者のサポートをしています。

このように農業を発展させ就農者を増やすために農業大学や高校の教育レベルを高めるとともに新規就農者が安心して農業ができるサポート制度です。

経営者にとっても機械や施設の導入に対する支援も含まれているため新規就農者を受け入れる前ための準備を図れるのも非常に有用な制度だと言えます。

就農準備資金、経営開始資金(農業次世代人材投資事業)

就農準備資金、経営開始資金では次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(2年以内)及び就農直後の経営確立を支援する資金(3年以内)を交付

する制度です。

交付対象者の主な要件として、7つの要件を全て満たす必要があります。

1.就農予定時の年齢が、原則49歳以下であり、次世代を担う農業者となることについての強い意欲を有していること

2.独立・自営就農または雇用就農を目指すこと 

3.親元就農を目指す者については、就農後5年以内に経営を継承する、農業法人の共同経営者になる又は独立・自営就農すること

3.都道府県等が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること

4.常勤の雇用契約を締結していないこと

5.生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと

6.原則として前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること

7.研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること

これら7つの要件を全て満たしていないと交付を受けることはできないので注意が必要です。

また、この要件を定める前提とし新規就農者の定着が第一であることと将来的に農業を継続してもらうことが大前提のためです。

この制度は条件が色々とありますが農業の就農者を定着させるために研修制度から経営開始までの資金についても支援が受けられます。

研修制度についても1200時間以上となっているためそれなりに学ぶ必要がありますが、継続する気がある人にとってはしっかりと基礎から学ぶことができる期間になるため農業を全く知らない人にとってもいい期間になると思います。

青年等就農資金

青年等就農資金では、新たに農業経営を営もうとする青年等に対し、農業経営を開始するために必要な資金を長期、無利子で貸し付ける青年等就農資金により支援する制度です。

対象者は新たに農業経営を営もうとする青年等

市町村から青年等就農計画の認定を受けた物となっています。

青年の定義については認定新規就農者制度と同様となります。

この制度では、無利子での貸付で資金を調達することができるため資金問題で経営を開始できない人にとって問題を解決することができる制度です。

しかし、返済ももちろんあるため無利子であっても計画的な経営を考えていかなければいけません。

農協等向け新規就農者税制

農協等向け新規就農者税制は、令和2年度に創立した新しい制度です。

この目的として新規就農者に農業協同組合等が取得した償却資産を利用させることで初期費用の削減と農協と市町村などの新規就農者の受け入れ体制を作ることを目的としています。

内容としては、農協等が機械設備や農業用ハウスを取得し、人・農地プランの中心経営体に位置付けられた認定新規就農者に利用させる場合、その固定資産税の課税標準が3分の2に軽減される制度です。

(根拠法令:地方税法附則第15条第38項)

あくまでも、認定新規就農者に利用させる場合、その償却資産に対して新たに課税されることとなった年度から5年度分に限ります。

対象者は、農業協同組合、中小企業等協同組合(事業協同小組合、企業組合を除く。)、農業協同組合連合会、農事組合法人となります。

この制度は農家側の受け入れ体制をしっかりと行うことで新規就農者が農業に携わりやすくなります。

これから農業の新規就農者を増やすためにも農家の受け入れ体制についても整備していく必要があるためこの制度の利用は非常におすすめです。

就職氷河期世代の新規就農者促進事業

就職氷河期世代の新規就農者促進事業では、1993年から2004年ごろに学校卒業期を迎えた世代でとくに新規学卒採用が厳しかった世代を後押しするために研修期間に必要な資金を交付する制度です。

交付対象者: 就職氷河期世代

※(事業申請時の 年齢が30歳以上で、かつ、就農予定時の年齢が49歳以下の者)

事業の目標として40代以下の農業従事者を増やすことを目的として就職氷河期で新たに職を検討している人に農業の就職をサポートするための制度です。

雇用就農資金

雇用就農資金では、雇用就農者の確保・育成を推進するため、就農希望者を新たに雇用する農業法人等に対して資金を助成する制度です。

また、農業法人等がその職員等を次世代の経営者として育成するために国内外の先進的な農業法人や異業種の法人へ派遣して実施する研修を支援しています。

雇用就農資金には以下の3タイプがあります。

1.雇用就農者育成・独立支援タイプ

2.新法人設立支援タイプ

3.次世代経営者育成タイプ

それぞれの支援金額や交付期間は異なりますが、目的としては農業に就農するための研修費用の支援や独立就農して経営していくための経営ノウハウや技術研修の支援です。

また、国内外の先進的な農業法人や異業種の法人に派遣して実施する研修についても支援として資金が交付されます。

このように研修の資金支援でも経営や技術、海外の技術を取り入れるための研修まで様々なことについても支援として資金を交付しています。

新規就農者向けの情報サイト

農業に新規就農を目標としている人に向けて情報サイトもありますので少しだけ紹介いたします。

1、農業を始める.JP(新規就農相談センター)

2、新・農業ハンドブック

この2つのサイトです。

このサイトはどちらも新規就農に向けて情報を掲載しています。

1、農業を始める.JP(新規就農相談センター)

「農業をはじめる.JP」は、日本中の就農に関する情報が集まるポータルサイトです。

農林水産省だけでなく、関係省庁や自治体、JAグループ等が行っている支援やサービス、民間企業等が実施する農業体験や農業研修、就農相談会等に関する情報が掲載されています。

農業が実際にどんな仕事をしているのか、活躍している農家の姿や、新規就農を積極的に受け入れている地域などについても紹介しています。

どんな地域が自分に合っているのかや実際に農業の体験や研修についての情報も得られるため一度見てみるのも有りだと思います。

2、新・農業ハンドブック

新・農業ハンドブックでは新規就農で誰に相談していいのか、どんな支援策があるのかを知りたい人に向けて就農相談窓口や就農体験(インターンシップ)等の情報が掲載されています。

調べるのが苦手な人や知っている人に聞いた方が早いと思う人は就農相談窓口で人に直接聞くことができるのでそちらの相談窓口を利用してみるのもありだと思います。

また、研修中に受けられる資金の情報、就農開始直後に受けられる資金や無利子融資等の情報、経営確立後も受けられる収入保険や補助金の情報などもあるので新規就農者以外の方も利用できるサイトになっています。

制度利用のメリット

新規就農者を増やすためにもこれらの制度の利用は非常にメリットがあります。

近年の食料自給率の向上と生産性の向上を目指していくためには農家の人口を増加させなくてはいけません。

この制度を利用することで新規就農を目指す人にとっては資金面の不安と研修制度を利用することで安心して参入することができます。

そのため新規就農者が農業に定着するのと就農人口が増加することで必然的に農業の労働力が増加します。

結果として新規就農者にとってもメリットがありますが現在の農家や農業業界にとってもメリットが多い制度内容となっています。

まとめ

農林水産省の新規就農者に向けての取組として7つの制度を紹介してきました。

新規で就農したい人にとっては資金面での不安や研修を受けるための資金援助等があり資金の問題で悩んでいる人にとっては助かる制度ではないでしょうか。

また、国の政策の目的として新規就農者の増加を図ることはもちろんのことですが、制度として新規経営についての援助にも力を入れていることがわかります。

これは新規就農者の定着を目的としていますが経営についてわからない素人でも経営ノウハウを学ぶための研修制度と資金援助は農業という業界に新たに参入を検討している人にとっては一歩を踏み出す後押しになる制度です。

今回紹介した7つの制度は新規就農者にとってかなり有効活用しやすい制度となっているので、現在農業に新規で参入したいと検討している人は一度制度の活用も視野にいれて一本を踏み出して頂ければと思います。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/

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