「うわあ、やられた…。」
目の前には齧られた農作物が…。
農家にとっての天敵の一つ…それが「害虫」です。
栽培した農作物が食い荒らされてしまっては、
それまでの苦労が水の泡になってしまいます…。
今回は、キャベツやブロッコリーに食害を与える「アオムシ」を解説します。
万全の対策を練って、被害防止をしておきましょう。
目次
1.大食漢で大迷惑!アオムシに気をつけろ!
2.アオムシの生態とは?
2-1.アオムシの定義とは?
2-2.アオムシの生態について
2-3,アオムシの好物とは?
3.アオムシ対策 五選!
3-1.天敵の力を利用する
3-2.防虫ネットや寒冷紗
3-3.コンパニオンプランツを植える
3-4.農薬
3-5.手で捕獲
4.アオムシ被害対策の心得
5.まとめ
1.大食漢で大迷惑!アオムシに気をつけろ!
春が来ると、畑の上をひらひらを舞うモンシロチョウがよく見られます。
蝶はかわいい虫ですし、まさに春が到来したというのどかな風景。
…にも見えますが農家にとっては悪夢にも見えるのです。
モンシロチョウは白い悪魔にも見えてきます。
モンシロチョウがいる…ということは…。
その幼虫である…アオムシがいるということです。
アオムシは作物を食い荒らす立派な害虫。
被害の大きさによっては、畑に植えたキャベツが丸ごと食害を受ける事もあります。
アオムシはかなりの大食漢であり、農作物をムシャムシャとカジってしまいます。
丹精込めて育てた農作物を守るためにも、万全の対策で備えましょう。
2.アオムシの生態とは?
2-1.アオムシの定義とは?
さて、「アオムシ(青虫)」という名称なのですが…。
実はこの言葉は、明確に定義されている…というわけではないのです。
アオムシ(青虫)は、チョウ目(鱗翅目、チョウやガ)の幼虫のうち、長い毛で体を覆われておらず、緑色のもの。緑色でないものを含めイモムシ(芋虫)といい、長い毛で体を覆われているものをケムシ(毛虫)という。
出典元:アオムシ Wikipedia
“長い毛に覆われておらず、緑色のもの”
これは「モンシロチョウの幼虫」だけではないのです。
ガの幼虫のアオムシもいます。
アオムシ状の幼虫の中にはチョウ目ですらないものもいるのです。
今回は、明確に害虫と言える「モンシロチョウのアオムシ」を解説していきます。
2-2.アオムシの生態について
まずは、アオムシの生態について知っておきましょう。
アオムシはどんな成長をしていくのでしょうか。
・卵
モンシロチョウは畑の上を低空でヒラヒラと飛び回りながら、
「小さくて黄色く細長い卵」を葉の裏に産み付けていきます。
モンシロチョウが飛び回っている周辺の葉の裏を見てみると。
卵を発見することができるでしょう。
・幼虫(若齢)
モンシロチョウの幼虫の孵化直後の体色は黄色。
緑色の葉を食べ、成長していくに伴って、緑色になります。
食べているものが体の色にも影響していたのですね。
・幼虫(中齢〜老齢)
5齢を過ぎると体長約30mmほどに成長します。
食欲旺盛な幼虫は葉っぱをムシャムシャと食べ尽くしてしまいます。
ボロボロの葉脈だけにしてしまいます。
〈アクティブに活動する時期〉
4〜6月頃
9〜11月頃
…以上の時期には特に動きが活発になります。
その時期に植えられるアブラナ科の作物を、食べ尽くしてしまうのです。
・蛹
アオムシは体長約40mmほどに成長すると、蛹になるための準備スタートします。
葉から落ちないように糸を分泌し、体を固定します。
一週間程度蛹の状態となり、蛹の中では、成虫になるための変化をしていきます。
・成虫
成虫となったモンシロチョウ。
大好物のアブラナ科の植物の葉を探し求めて、
菜の花畑やキャベツ畑を飛び回ります。
2-3,アオムシの好物とは?
アオムシの食害に遭う農作物にはどのようなものがあるのでしょうか。
アオムシが好んで食べる野菜類と草花類について解説しましょう。
〈野菜類〉
・キャベツ
・ブロッコリー
・白菜
・ルッコラ
・小松菜
アブラナ科は昆虫を寄せ付けないために「カラシ油成分」を出してきます。
この成分は大根などのピリッとした辛味成分。
アオムシは、身体の仕組み上、その成分を解毒することができるのです。
それゆえ、アブラナ科の植物に関しては、独占状態で食べるというわけです。
〈草花類〉
・コスモス
・ミント
これらの草花やハーブ類にも食害を与えてくることもあります。
〈アオムシの発生してくる時期〉
・4〜6月頃
・9〜11月頃
以上の季節に発生します。特に多く発生するのは5〜6月。
真夏には数が減少しますが、涼しい季節がやってくると再び姿を表します。
3.アオムシ対策五選!
畑のアブラナ系の農作物を食い荒らしてしまうアオムシ。
キャベツなどが無惨に食われてしまえば、被害は大きくなってしまいます。
アオムシによる食害から、キャベツなどを守るためにはどうすれば良いのでしょうか。
葉の裏側を1枚1枚確認して、卵や幼虫がいないか確認する?
もちろんそんな方法もあります。しかし、これは手間がかかりすぎます。
人間の目では、見逃してしまうこともあるでしょうし。
ここでは、有効なアオムシ対策を5つ解説します。
うまく活用して、畑を被害から守りましょう。
3-1.天敵の力を利用する
畑を守るために、アオムシの天敵を活用する対策があります。
捕食性・寄生性の天敵の働きの活用で、アオムシの発生を抑制することができます。
・アオムシコマユバチ
アオムシコマユバチというハチがいます。
なんと、このハチはアオムシに寄生するのです。
まだ若いアオムシを発見すると、産卵管を刺して卵を産み付けます。
卵はアオムシの体内で孵化。
孵化したハチはアオムシを内面から食い破ります。
寄生率が9割を超えたことすらあります。
アオムシにとっては正真正銘の凶悪な天敵といえます。
しかし、アオムシコマユバチは、
アオムシが食害した葉の食い痕に反応してアオムシを探します。
つまり、アオムシの食害が発生する前には役に立たないかも?
しかし、次世代のアオムシの数を減らすことはできます。
うまく活用させてもらいましょう。
・アシナガバチ
アシナガバチは肉食、そしてアオムシをエサとして食べてくれるのです。
アシナガバチは子供のエサとして、アオムシを利用します。
親バチはアオムシを捕獲すると、噛み砕き、肉団子状にするのです。
それを巣に持ち帰り、子供たちにエサとして与えるというわけです。
3-2.防虫ネットや寒冷紗
モンシロチョウが作物に近づいて産卵しないようにする対策です。
防虫ネットや寒冷紗で畑を覆います。
隙間なく覆うことができれば、産卵防止することができるので、
大きな効果を期待することができます。
ただし、ネットの隙間からチョウに侵入されると卵を産まれ放題になります。
また、作物の世話をする時に防虫ネットを外してしまうと…
その隙に卵を産まれることがあるので要注意です。
3-3.コンパニオンプランツを植える
コンパニオンプランツもアオムシ対策に有効です。
近くに植えることにより、害虫駆除や成長促進の効果がある植物です。
キャベツなどアブラナ科の植物には、
コンパニオンプランツとしてレタスを植えると良いでしょう。
注意したいのは、レタスの方が早く育ってしまうということ。
先に収穫の時期を迎えてしまうのが難点です。
アオムシを避ける効果は高いようです。
農薬を使わず害虫駆除をすることができます。
さらに、レタスも収穫できるので一石二鳥な方法です。
3-4.農薬
「すぐに効果を出したい!」
そんな即効性を考えた場合、農薬の出番となります。
コンパニオンプランツを植えた場合ならば、その作物の世話をする必要があります。
防虫ネットを使った場合はネットに隙間がないか点検する必要が出てきます。
それらの手間に比べると、農薬散布は手間が少ない対策とも言えます。
しかし、農薬にもデメリットはもちろんあります。
「野菜自体の栄養価劣化」「病原菌の抵抗力劣化」「益虫まで駆除してしまう」…。
その他、環境への配慮からも控えれるのであれば、控えたい人も多いでしょう。
無農薬や有機栽培を目指している農家にとっては、避けたい対策と言えます。
3-5.手で捕獲
章の冒頭で「オススメできない」とは言いましたが、
アオムシや卵を見つけて捕獲し、駆除するという対策もあります。
発見できたものは確実に駆除することができます。
しかし、人間のやることなので、見落としがあるかもしれません。
さらには、駆除をしている最中もモンシロチョウは卵を産み続けているのです。
大きな畑を持っている場合はかなりの重労働になります。
比較的小さな畑であれば、やってみる価値はあります。
もっとも、駆除だけを単独で行わず、
雑草を抜いたり水をやったりなどの畑のお手入れと、
同時に駆除を行う人が多いでしょう。
4.アオムシ被害対策の心得
アオムシは小さい虫ですが、大量に発生することがあります。
そして、その身体に似合わず非常に大食漢なのです。
そんな害虫が大量発生したともなれば、被害は甚大なものになります。
アオムシが発生してから対処するのは、難しいでしょう。
ですから、あらかじめ被害の予防を考えておくことが大切です。
予防を取っていても、畑を飛び回るモンシロチョウを発見したら要注意です。
作物をよく観察してみましょう。
もし、葉に穴が空いていたら「アオムシがいるかもしれない」のです。
葉の裏や隙間などを入念にチェックしましょう。
葉に穴が空いていなかったとしても、卵がある場合はあります。
地道に手作業で駆除するか、
被害が拡大しかねない場合は、農薬を使う事も考えましょう。
5.まとめ
今回は「アオムシ対策」を解説しました。
モンシロチョウが舞い始めれば、春の予感でウキウキもしますが、
農家にとってはザワザワしてしまう光景ですね…。
万全の対策を練って被害防止をしておきましょう。
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