近年、野菜・果物のネット販売(EC)が急速に拡大しています。
特に、新型コロナウイルス感染症の流行を機に巣ごもり消費が拡大したのを背景に、自宅にいながら新鮮で安全な野菜・果物を手軽に購入できることが大きなメリットとして注目が集まっています。
この記事では、野菜・果物のネット販売の始め方や特徴、どこで販売すれば良いのかについて詳しく解説します。
これから野菜・果物のネット販売をしてみたい!と考えている、農家の方や趣味で農業をやられている方にはとてもおすすめの内容になっています!
野菜・果物のネット販売(EC)とは?
野菜・果物のネット販売とは、インターネット上で野菜・果物を購入することができる販売形態のことです。
消費者にとっては、野菜・果物専門店のオンラインショップや、スーパーマーケットのネットショップ、専門の生産者直売所のサイトなどで新鮮な作物を購入することができるという利点があります。
生産者にとっては、市場や卸売業者を経由することなく直接消費者に商品を届けられるため、利益率を高くすることができるという利点があります。
市場や卸売業者への販売は新規就農者にとっては非常にハードルが高いものです。
そこで、こういったネット販売を活用することで誰でも簡単に販売チャネルを整備することができます。
消費者側へもネット経由での購入が普及しているため、手軽なネット販売の導入をぜひ検討してみてください。
野菜・果物のネット販売(EC)の特徴
ここからは、ネット販売の特徴についてまとめていきます。
1. 新鮮な商品を届けることができる
野菜・果物のECサイトでは、自分で生産した新鮮な商品を提供することができます。
スーパーマーケットなどの小売店では、商品が長期間陳列されることがあるため、新鮮さが保たれない場合がありますが、ECサイトでは、受注に合わせた生産を行えるため、常に新鮮な商品を提供することができます。
2. 地域限定商品や珍しい品種の商品を提供できる
ECサイトでは、地域限定商品や珍しい品種の商品を提供することができます。
生産者が直接販売することができるため、地域限定の特産品や、こだわって育てた珍しい品種の野菜・果物などを提供することができます。
これにより、消費者には、スーパーマーケットなどではなかなか手に入らない商品を購入することができます。
3. 高い利益率
通常の販売活動とは異なり、卸売業者や市場を介さずに消費者に商品を届けることができます。
そのため、手数料などの負担を最小限に抑えることが可能になり、従来よりも高い利益率を確保することができます。
また、セット販売などの商品の見せ方を工夫をすることができるため、従来よりも幅広い訴求を行うことが可能になります。
4. 幅広い消費者にアクセスできる。
ECサイトでは、ネット上で商品を購入することができるため、スーパーマーケットなどに比べて、手軽に利用することができます。
また、ECサイトは24時間営業しているため、時間や場所を選ばずに購入することができます。これにより、様々な職業、幅広い地域の消費者により深くアクセスをすることができます。
5. 購入履歴のデータを活用して、サービス向上につなげることができる
ECサイトでは、購入履歴のデータを取得することができます。
このデータを活用することで、年齢や性別などの顧客像をより精緻に把握することができます。そういった知見をもとに新たな訴求の考案や生産計画の見直しを行い、売上の改善、サービス向上を持続的に行うことができます。
野菜・果物のネット販売(EC)の始め方
ここからは、具体的な野菜・果物のネット販売の始め方について説明をしていきます。
1.商品のラインナップを決める
生産計画に合わせて、販売する商品のラインナップを決めます。
商品の種類や数量、価格、出荷日などを調整し、商品を確保します。
商品の選定にあたっては、市場やスーパーマーケットで人気の高い商品や、珍しい品種の野菜・果物など、消費者の需要に合わせた商品を選ぶことが重要です。
2. オンラインストアを開設する
商品を用意したら、オンラインストアを開設します。
オンラインストアには、商品情報や画像、価格、送料、支払い方法などを記載し、消費者が商品を選択できるようにします。
また、オンラインストアのデザインや構成にもこだわり、使いやすく見やすいデザインにすることが重要です。 基本的には、「食べチョク」などの専用プラットフォームを利用することをおすすめします。
3. 配送方法を決める
商品を注文した消費者に配送する方法を決めます。
配送方法には、宅配便や郵便局の定形外郵便、自社配送などがあります。 配送方法によっては、送料がかかる場合があるため、送料の負担についても検討する必要があります。
4. マーケティングを行う
オンラインストアを開設したら、消費者に知ってもらうためのマーケティングを行います。
SNSやブログ、メールマガジン、広告などを活用し、自社の商品やサービスを宣伝します。また、消費者からのフィードバックを受け付け、商品やサービスの改善に取り組むことも重要です。
モールEC、産直ECなど、どこで販売すれば良い?
最後に、ネット販売を実際に始める上で、オンラインストアの開設はマストになります。
ですが、モールEC、産直ECなど様々な開設方法があるので、結局どこで販売すれば良いか悩みますよね。
そこで、ここからは各開設方法の特徴についてまとめていきます!予算や実際の商品展開の状況に合わせてどこで販売するのか、検討してみてください。
(1) モールECで販売する
楽天などのモールECで、野菜などのセットを見かけたことのある方も多いのではないでしょうか?
実際に、莫大な利用者数を誇るモールECで野菜を販売する農家も増えているようです。
・Amazon
・楽天市場
・Yahoo!のモール
などが挙げられます。また、バラ売りというよりもまとめ買いのニーズが高い傾向にあるため、セット商品などを作り、高い単価設定で販売することができる点は非常に魅力的と言えます。
ただし、いずれも商品点数が非常に多いため、大切に育てた野菜が検索結果上位にそもそも表示されず訴求にも至らない、という可能性も否めません。
このように消費者へのリーチが難しい点は、留意が必要です。
いずれのモールサイトも、上位表示されるための方法やモールサイト内での広告もあるので、そういったマーケティング的な手法もセットで対策を行うことが必要でしょう。
また、こういった難しさは一定あるので、「メルカリ」や「ラクマ」などのフリマサイトを活用するのも1つの手です。
フリマアプリのほうが比較的競合は少ないため、ファンを獲得することができれば継続的に購入してもらえる可能性も高まります。
(2) 産直ECで販売する
産直ECとしては食べチョクやポケットマルシェが非常に有名です。
特に健康志向が高い消費者が集まる傾向にあるため、ピーナッツかぼちゃのようなユニークな野菜なども買ってくれる方が多く、幅広い商品の展開が可能です。
また、生産者への還元意識も高い傾向にあるため、ストーリーをベースにした商品訴求をするにも非常に適しています。
消費者に合わせた訴求を行うことで、継続的な購入も非常に期待できます。
こういった傾向は、どの産直ECもある一定の基準を満たさないと出品できないブランド力があるからこそ見られる特徴といえます。
注意点としては、利益率の確保という点が挙げられます。
売り上げの約2割が販売手数料として差し引かれるケースが多いため、収益を圧迫しないような価格設定が必要です。
付加価値をしっかりと訴求することで市場価格より少し高い価格設定をするのもよいでしょう。
まずは産直ECで認知度を高めてから独自のネットショップを持つという手も考えられます。SNSでの訴求なども交えて、中長期的に消費者と関係構築をしていくことが非常に重要と言えます。
(3) 自社の農家直送サイトから販売する
SNSなどを駆使してコツコツとブランド認知、集客をしながら、独自のネットショップを開設する農家さんもいらっしゃいます。
Twitterなどで生産のプロセスなどを訴求して、認知を獲得することができれば、自社サイトを持つことを検討してみてもよいかもしれません。
最近ではBASEなどの初期費用も月額費用もかけずに運用できるネットショップ作成サービスが増えていることもあり、コストをおさえたネット販売方法として注目を浴びています。
他にも、Squareでは、ネットショップを無料で作成できるプランがあります。
パソコンが苦手でも操作がしやすく、テンプレートが用意されているのでデザインやコーディングなどの専門知識も必要ありません。
何より商品のコピーやストーリー訴求など、非常に自由度高く商品展開が行えること、基本的に決済手数料しか費用がかからないことが魅力的です。
そのため、産直ECやモール型ECで必要となる販売手数料を別のマーケティング費用や商品開発に当てることも可能です。
例えば、果物農家であればジャムやシロップなどの商品を開発し、販売することも1つの手でしょう。ぜひ様々な訴求を行い反響の良い方法に注力をしていきましょう!
まとめ
いかがでしたか?
ここまで野菜・果物のネット販売(EC)の特徴や始め方、どこで販売をすればよいのか、という点について解説をしてきました!
これまでの市場や卸売業者を介した販売活動とは異なり、手数料の負担が非常に軽く、多種多様な形で消費者との接点を持つことができるネット販売は今後もよりいっそう普及していくことが予想されます。
初期費用等も基本的にほとんどかからないため、これからさらに販売を拡大していきたいと考えている農家の方や趣味で農業をやられている方にとって非常に魅力的な手法であることは間違いありません。
実際の商品展開やリソースを踏まえて、ぜひネット販売の導入を検討してみてください!
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