FarmFiとは?特徴やメリット/デメリット,事例について徹底解説!

近年、スマート農業、有機農業など、新たな展開を見せている農業分野。

そんな農業の展開として、農業の新しい資金調達の形をつくる「FarmFi」と呼ばれる概念が非常に大きな注目を集めています。 今回は、FarmFiの概要や実際の事例について解説をしていきます。

FarmFiの意味

FarmFiとは、近年生まれた造語です。 具体的には、「Farm(農業)×DeFi(分散型金融)」のことを指しています。

そもそもDeFiとは

DeFi (Decentralized Finance)とは、ブロックチェーン技術を使用して金融サービスを提供する分散型の金融システムのことを指しています!

従来の金融システムとは異なり、中央集権的な機関を必要とせず、ユーザー同士が取引を行える点に特徴があります。

DeFiの最大の特徴は透明性にあります。

具体的にはオープンソースであること、自動化されたスマートコントラクトによるトランザクション処理、高いセキュリティ、ハイスピードで低コストな取引が可能であることです。

DeFiを活用したわかりやすい例としては、お金の貸し借りが挙げられます。

DeFiをもとにしたプラットフォームでやり取りをすることで、借り手と貸し手が直接貸し借りを行うことができ、仲介業者を省略することができるため、貸し手にも借り手にもメリットがあります。

FarmFiとは

少し前置きが長くなりましたが、FarmFiとは、農業と前述のDeFiを結びつけたプロジェクト全般のことを指します。

DeFiという技術を農業分野に適用したもので、様々な活用方法があります。NFTの発行や独自の仮想通貨の発行など、世界中で取り組みが広まっています。

FarmFiの概要

ここからは、さらに詳しくFarmFiの概要を見ていきましょう。

FarmFiは、世界中の農家が必要とする資金を供給するための分散型金融プラットフォームです。

FarmFIの役割

FarmFiは、従来の金融システムでは難しい農業投資を可能にすることで、農業の成長を促進することを目的としています。

農業はスケーラビリティ(拡大可能性)や気候変動などのリスクの観点で、一般的な投資対象となることがあまりありませんでした。

特に、中小規模の農家が資金調達をすることは非常に難しい状況でした。 そこで、この次世代型金融の仕組みである「DeFi」は、資金調達の機会の提供という非常に重要な役割を担っているわけです。

FarmFiでできること

FarmFiは、農家と投資家の間のマッチングを行います。

農家は、投資家から資金を調達することができます。投資家は、FarmFiのプラットフォーム上で農家に投資することができ、農家からの収穫物に応じて投資元本と利益を受け取ることができます。

FarmFiのプラットフォームは、スマートコントラクトを使用して、投資家と農家の間の取引を自動化します。クラウドファンディングのように仲介業者もいないため、より両者にとって利益が大きい状態を実現できます。

農家が収穫物を販売すると、収益はスマートコントラクト上で分配され、投資家が元本と利益を受け取ることができます。

このように、FarmFiのプラットフォームを利用することで、農家は低いコストで資金を調達することができます。

農家は、従来の金融システムでは投資や融資を受けられたとしても、高い利息や保証金を支払う必要がありました。FarmFiはそのような負担を大幅に減らす、画期的な仕組みであると言えます。

FarmFiのメリット

FarmFiには、非常に様々なメリットがありますが、ここでは特に代表的なものに絞ってみていきましょう。

農家の資金調達をサポート

FarmFiは、農家が必要とする資金を調達するためのプラットフォームであり、従来の金融システムでは難しい農業投資を可能にします。農家は、従来よりも低いコストで資金を調達することができます。参入も非常に容易であるため、農家の規模感にかかわらず資金調達機会にアクセスすることが可能になります。

投資家にとって魅力的な投資機会の提供

FarmFiのプラットフォームを利用することで、投資家は、これまでアクセスできなかった農家に投資することができ、収穫物に応じて元本と利益を受け取ることができます。

これは、投資家にとっても魅力的な投資機会を提供します。例えば、東南アジアの小規模農家に対して、日本の投資家が投資をするようなことが可能になります。

持続可能な農業の促進

FarmFiは、農家が環境に配慮した方法で生産することを奨励し、持続可能な農業の発展を促進することを目指しています。

また、FarmFiは、農業に関するデータを分析することによって、農家の収益を向上させることも目指しています。

農作物の品質向上

FarmFiは、単に資金調達機会を提供をするだけでなく、農家が生産する農作物の質を向上させることを目指しています。

具体的には、これまでにあまり市場で注目されてこなかった地域ごとの独自性の高い農作物への資金提供を行うことで、多様性のある質の高い農作物の安定的な生産に寄与します。これからはFarmFiを起点に、様々な地域ブランド農作物の販売が広がっていくかもしれません。

FarmFiのデメリット

FarmFiに大きなメリットがあることは明確ですが、まだまだ発展途中の技術でもあるため、デメリットも存在します。 ここでは、デメリットの中でも特に重要な項目について紹介していきます。

投資リスク / 適切な資金循環が行われない

FarmFiのプラットフォーム上で農家に投資する場合、当然投資リスクがあることに注意する必要があります。

具体的には、農家が収穫物を生産できない場合や、市場価格の変動により投資元本が損失する場合があります。

特に、近年の気候変動は大きなリスクです。大企業の経営する植物工場などはそういった気候変動の影響はほぼ受けませんが、中小規模の通常の農家は大きな影響を受けることが予想されます。

そういった構造を踏まえると、中小規模の農家、すなわちこれまで投資機会に恵まれなかった農家たちがFarmFi上でも資金調達ができないリスクすらあるわけです。

こういったリスクを回避するためには、適切なリスクの開示、投資目的に応じた投資先の紹介等の対策が必要となります。

農家と投資家間の情報共有コスト

FarmFiを介した投資を受けるには、適切な情報を農家-投資家間で共有をすることが前提になります。

ただし、そもそも農家と投資家の間には情報の格差があります。

農業は、自然を相手にした産業である以上、様々なリスクを内包しています。

ITなどの先進産業に投資する以上に詳細なリスクがあるため、農業そのものへの深い理解が投資家側には求められます。

しかし、農業に対する知識が投資家側に不足しているケースが多いため、その情報を適切に共有する必要があります。

例えば、農業の前提となる収穫頻度、季節ごとの生産性の違い、想定収穫量、気候リスクなど様々な情報を網羅的に開示することになります。

こういった綿密な情報共有が農家側にとっては大きな負担になりえます。

したがって、投資家側のリテラシー向上、農業の一般的な知見の情報インフラ整備などを通して、長期的に情報共有コストを圧縮していくことが必要でしょう。

FarmFiを活用した事例

FarmFiは、比較的新しいプラットフォームであり、現時点では多くの事例がありません。そこで今回は、代表的な国内事例をご紹介いたします!

しまだスイカ農園様

しまだスイカ農園は、スイカ出荷量日本一の熊本県で生産したスイカを活用したNFTプロジェクトです。

スイカをモチーフにしたNFTを購入することで、実際のスイカを受け取れるプロジェクトです。

購入したNFTは他の人にさらに販売することが可能です。

具体的には、

・NFTを購入

・限定サイトにアクセス

・NFTを認証&情報登録

・スイカの受け取り

・NFTの利活用(転売等)

というようなステップでNFTとスイカ生産を融合させています。

こういった事例の他にも、トマトなど様々な農作物を使ったFarmFiプロジェクトが全国に広がっています。 さらに、FarmFiに参加する方が増えていくことで、よりNFTの価値も高まり、投資的な機会も拡大していくことが予想されます。

今後の展望

FarmFiはまだまだ発展途上の分野ですので、今後はさらに幅広い分野で活用されることが予想されます。 そこで、今後のFarmFiの展望について主要なものをまとめていきます。

小規模分散型の食品供給の実現

FamrFiは、農家に対する金融支援を提供することで、食品供給網の整備に貢献することができます。

例えば、投資家自身が自身が参画するFarmFiの価値の向上のために、特定の農作物情報の発信を行い、より幅広い消費者に農作物が購入されるようなこともあるでしょう。

そういったFarmFiプロジェクトごとのユニークな取組みを通して様々なブランド農作物を分散的に社会に広げていくことが可能です。

このように、FarmFiには大量生産的な現代の農業生産方式を変えることのできる大きなポテンシャルを秘めています。

DeFiの成長

DeFiは今後も急速に成長し、FamrFiもその成長に伴って発展することが期待されます。さらに、FamrFiでは、他のDeFiプロジェクトとの連携を通して継続的に新しいアプリケーション等の開発が進められるでしょう。

もしかすると、あらゆる農園/農家が独自のNFTを発行し、消費者とよりスムーズなコミュニケーションを行うようなことも実現しえるかもしれません。

デジタル化の促進

FamrFiは、デジタル化が進まない地域の農家に金融サービスを提供することができます。

これにより、デジタル化が進んでいない地域の農民も、より効率的な農業を行うことができます。さらに、農業を起点に二次産業、三次産業への参画(投資)機会を得ることもできるはずです。

エコシステムの拡大

FamrFiは、SNSなどの他サービスとの接続を通じて、より多くのユーザーを獲得するポテンシャルがあります。

ユーザー数が増えることでFarmFiに内包される仮想通貨などの価値向上、投資機会のさらなる拡大が見込まれます。 現代の株式のように、農作物というリアルな価値を起点に様々な形式での価値循環が広がっていくでしょう。

まとめ

ここまでFarmFiの概要、事例、そして今後の展望についてまとめてきましたがいかがでしたか?

近年急速に新たな技術を活用している農業分野ですが、FarmFiという技術の活用も大きなポテンシャルがあります。

FarmFiを起点として、より様々な農家、農業関係者が資金調達を行い、新たなイノベーション生まれていくことでしょう。 今後の展開にも注目しましょう!

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