日本が目指すSociety5.0とは?農業・食品版

農業とは人間が生きていくうえで欠かせない”衣食住”のうちの一つである”食”を生み出し続けることです。

農業には3つの影響があります。

天候に影響される

地力に影響される

人材の能力に影響される

この3つはSociety 2.0の農耕社会の時代からの課題であり永遠のテーマのように思えます。

ではSociety 2.0の農耕社会の時代とは何でしょうか?いつから言われている言葉でしょうか?

2016年に内閣府の総合科学技術・イノベーション会議で発表し3年ほど前から耳にするようになりました。

日本が提唱する未来社会のコンセプト。科学技術基本法に基づき、5年ごとに改定されている科学技術基本計画の第5期(2016年度から2020年度の範囲)でキャッチフレーズとして登場した

引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

今回は農業に関わりの強いSociety5.0の未来社会とはどんな時代なのかを解説いたします。

Society5.0とは?

Society5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

引用:内閣府

簡単にまとめると仮想と現実を融合し人間中心となった社会を発展させよう!と内閣府が発表しました。

では今までの時代はどのように表現されているのでしょうか?

狩猟社会(Society 1.0):今日を生きるため

            人が狩りをして生活する社会

農耕社会(Society 2.0):明日を生きるため

            食糧を育て、収穫することで安定した生活する社会

工業社会(Society 3.0):想像を形にするため

            機械により規格品を大量生産する工業化が発展した社会

情報社会(Society 4.0):栄えるため

            インターネットの普及により情報の処理能力も上がり経済の中心となった社会

未来社会(Society 5.0):人間中心の世界ため

            仮想空間と現実社会の融合により輪をつくり発展する社会

情報社会と未来社会の違い

画像引用:内閣府

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

現在みなさんはメルマガ「メールマガジン」を一つは登録して情報をもらっているのではないでしょうか?

例えば農家を集めた企業からのメルマガ配信があるとします。

情報社会(Society 4.0)では発信者は全員に同じ情報を送り、農家さんがその記事が必要かを選択をして読んでいました。

未来社会(Society 5.0)では顧客のデータをAIが分析し、農家さんに合った情報が送られてきます。

和牛農家には和牛情報・米農家には米情報・りんご農家にはりんご情報のように、その人が欲しい情報だけが送られてくるため読者も読む気になるのではないでしょうか。

メルマガの目的

メルマガには配信する側の目的があり、今回は代表的な3つを紹介します。

伝達目的:読者に通知する必要がある情報を届け目的

購買目的:新商品の情報やセール・キャンペーン情報など、読者に直接商品の購入を促す目的

送客目的:自社の商品やサービスに対する関心を高め、自社のホームページなどの媒体に誘導する目的

カラーバス効果

カラーバス効果とは「人は自分が見たいものに意識を向けている」

人混みの中で好きな芸能人のポスターを見つけたり、今日のラッキーカラーが”赤”と言われると一日中”赤”が目に入るようになったりする現象のことです。

このメルマガの目的×カラーバス効果の掛け合わせを読書の検索内容や質問からAIが認識し自分の求める内容が送られてくる「自分の求める内容だから読む」そのような世界が未来社会(Society 5.0)で可能になります。

政府が掲げるSociety5.0とは?

政府は農業・食品分野で下記のような内容でスピーディに実現すると掲げています。

「育種、生産、加工・流通、消費にわたるフードチェーンの全ての プロセスを「AI+データ連携基盤」でスマート化」

引用:内閣府

現代の農業

私たちが生きていく為に欠かせない”食”この食を供給する役割を担うのが「農業」。

”食”は大切だと認識しながらも現実は、農業の担い手の減少や高齢化の進行などによる「労働力不足」が深刻化しています。

永遠のテーマでもある3つの影響を受けない為にも先人はたくさんの知恵と技術を生み出してきました。

天候に影響されないためにビニールハウスなど環境制御する

地力に影響されないために科学的・生物的・物理的に土作りする

人材の能力に影響されないために農業学校や現役農家から学ぶ

でしたが近年、問題解決に求められている農業スタイルは超省力・高生産な「スマート農業」だと政府は述べています。

※スマート農業とは、ロボットやAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)などの技術を活用した農業のこと

期待するSociety 5.0時代の農業

Society 5.0時代の農業では、人手不足の解消・食品ロスの軽減や消費の活性化などが期待されています。

※消費の活性化とは生活の向上に資するように、消費の「質」を高めることである。

引用:大阪ガスネットワークエネルギー・文化研究所

スマート農業が普及するとどのような効果があるのでしょうか。

農作業

  • ロボットトラクタや農業用アシストスーツなどを活用し稲刈りや収穫をボタン一つで自動化・省力化が可能になることで人手を省くことが可能に
  • 天候予測と河川情報の水管理をひとつにまとめて自動管理が可能に
  • ドローンで田植えや農薬散布に活用
  • 経済管理アプリや作業記録を簡易的にデジタル化・自動化することで経験が浅くても営農が可能に

農作物

  • 生育状況を判断し収穫の自動収集
  • 天候予測に合わせた適切な栽培計画
  • 市場のニーズに合わせた収穫量の設定
  • 自動搬送車により消費者のニーズに合わせて適時自動配送が可能に
  • ドローン配達により山間部などに人件費や交通費を抑えて届けることが可能に

スマート農業事例

・ジェイエイフーズみやざき

品目:ほうれん草、キャベツ、にんじん

  • ドローンや自動収穫機等の省力化
  • 無人トラクターで作業の質は保ちながらもより早く圃場整備を行う
  • 土壌環境のモニタリングすることで時期を逸することなく最適な管理が可能
  • クラウド型生産管理システム導入により生産から出荷までのデータ集約を社内共有

・アグリサポート南大東(株)

品目:さとうきび

  • GNSSインフラを整え自動操舵化
  • 南大東島7ヶ所に微気象ポストを設置し観測データーを農家と関係者で共有することで農作業意思決定の判断として活用
  • 微気象ポストで観測したデーターをもとに農地以外の場所から自動潅水が可能に
  • GISベース営農支援システムにより生育状況・生育環境・農作業を「見える化」

現代の食品問題

消費者庁が令和2年度食品ロス量を発表しました。

食品関連事業者から275 万トン

一般家庭から247 万トン

合わせて522 万トンが日本で年間破棄されています。

引用:消費者庁「食品ロス量(令和2年度推計値)の公表」について

これは毎日10トンの大型トラック約1,430台分に相当し世界ランキング3位となります。

Society 5.0時代では、個人のアレルギー情報・食品情報と各家庭の冷蔵庫内の食品情報・店舗の在庫情報や市場情報などのビッグデータをAIで解析することで消費者・提供者・生産者全ての問題解決につながります。

消費者:アレルギー情報や個人の健康状態に合わせた食品を提案され、購入の利便性を向上につながる

提供者:冷蔵庫の食材管理が自動化され、必要な分だけ発注・購入することができ、食品ロスを削減することができる

生産者:顧客ニーズ(消費者)に合った生産や発注・在庫管理を行うことで生産者は営農計画がたてやすくなる

一足先にスタートしているサービス

・「食×テクノロジー」で食事嗜好プラットフォーム事業を手がけるCAN EAT社。

アレルギーや苦手なものなどを記録し、友人や飲食店にシェアすることで、すべての人が外食や食のギフトを楽しめるようになるサービスです。

アレルギー管理サービスでは、スマホで原材料欄を撮影するだけでアレルギー表を正しく作成できることで利用者も飲食店側も情報共有でき、メニューごとのアレルギー表も作成できるため、両者とも便利です。

・「おやつ時間を価値あるものに」をコンセプトにsnaq.meは現代のニーズに合わせた新しい『おやつ体験』として毎月変わる100種類以上のおやつを食べきりサイズで8つお届け。

おやつ診断から好みや除外食材を答えることで、自分好みかつ人工添加物やショートニングや白砂糖不使用でヘルシーなおやつがサブスクでお届け。お子様のいるご家庭でも安心です。

まとめ

Society5.0とは内閣府が出した今後の日本が目指す方向性であり、それは現実離れしているようで実際は近い未来のように思えます。

現在よりも情報化が進み生活がより便利に、豊かになると日本人の心は本当の豊かさを感じるようになるのでしょうか?

Society 5.0時代の農業では消費の活性化などが期待されていますが、消費の活性化とは生活の向上に資するように、消費の「質」を高めることであり「質」とは経済を潤すためにお金を使ってね!と言うことです。

つまりこれから様々な機械が開発され「導入するためには」や「補助金を申請するためには」必要のないことにもお金を払う仕組みがあると踏まえたうえで選択していく必要があります。

老子の格言に「授人以魚 不如授人以漁」「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける」と言う教えがあります。

人間が生き続け、受け継いでいくのは時代など関係ない事なのかもしれません。

私たち「みんなで農家さん」では”釣り方”であるノウハウや技術を学びながら『稼げる農家さん』をコンセプトに安心安全の無農薬国産バナナを栽培しています。

参考資料

Society5.0 農業・食品版の実現とSDGs | 農研機構

Society5.0時代のスマートで持続可能な農業

農業・食品産業における Society 5.0実現に向けた農研機構の改革

配配メール

ニッセイ基礎研究所

【スマート農業】は農家のための技術ではない

農業分野でのSociety5.0の実現に向けた取組み

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