【エコフィード】畜産農家コスト削減にも有効

畜産農家で最もコストがかかっているのは、家畜を育てるための飼料になります。

最近では世界の情勢の影響で飼料の値段が高騰して畜産農家の経営に大ダメージを与えています。

この飼料の高騰が畜産農家では経営ができなくなり廃業や離農に繋がるほどの問題になっています。

そこで今回はエコフィードについて紹介していきます。

エコフィードについては聞いたことがないひとが多いと思います。

エコフィードは造語になります。

内容としては環境にやさしい”(ecological)や“節約する”(economical)等を意味する“エコ”(eco)と“飼料”を 意味する“フィード”(feed)を併せた造語からなっています。

つまり環境を考えて再利用しながら家畜の飼料にするといった内容になります。

畜産農家では飼料の問題が常についてまわる問題ですので、このエコフィードについても利用することが経営の改善や飼料の高騰から切り替えることができる可能性があるため少少しでも知って頂ければと思います。

エコフィードとは

まずエコフィードとは何か?

環境にやさしい”(ecological)や“節約する”(economical)等を意味する“エコ”(eco)と“飼料”を 意味する“フィード”(feed)を併せた造語になります。

具体的にどんなことが環境に優しく飼料とするのかですが、

食品製造副産物として醤油粕や焼酎粕等、食品の製造過程で得られる副産物。

売れ残った食品、例えばパンやお弁当等、食品として利用がされなかったもの。

調理残りの野菜のカットくずや非可食部等、調理の際に発生するもの。

農場残りの規格外農産物。

これらを等を利用して家畜用飼料を製造します。

原材料が基本的に残り物から飼料を生産するため再利用となり環境に優しく節約することに繋がります。

飼料としても混合・乾燥、サイレージ(発酵)、リキッド(液化)などの飼料を製造することができます。

エコフィードの製造数量

実際にエコフィードがどれくらい製造されているのでしょうか。

エコフィードのデータとして平成15年から令和4年にかけて製造量が約2倍近く増加しています。

平成30年からの令和に入ってからは減少傾向にありますが、これは一部の現在使用の減少による影響になります。

濃厚飼料としては全体の5%になります。

目標としては、令和12年度には濃厚飼料自給率を15%にすることを目標にしています。

この目標設定は「食料・農業・農村基本計画」によって定められています。

エコフィードの意義

エコフィードの意義としては大きく2つの意義があります。

1、食料自給率の向上

2、食品リサイクル

この2つがエコフィードとしては大きな意義があるとされています。

ではそれぞれ一体どういうことなのかについて説明していきます。

1、食料自給率の向上

日本の家畜を飼育するための飼料の多くは海外からの輸入に頼っています。

また、飼料は畜産農家の経営コストとして3〜6割を占めています。

つまり、近年のように世界情勢によって飼料の値段が高騰すると畜産農家のコストは単純に跳ね上がってしまうことになります。

そもそもなんで飼料が高騰しているかですが、今回の飼料の高騰にはロシアとウクライナ戦争が大きく関わっています。

日本にいる私たちには関係ないこと思っていたかもしれませんが、この戦争で飼料の原料となる豆類やとうもろこしを世界でもトップクラスで輸出していた国が輸出しなくなったことが原因になります。

単純に需要と供給のバランスが崩れたことによって値段が高騰しています。

日本は輸入に頼っている国になります。

しかし、このままでは世界の情勢や輸入ができなくなったさいにどうすることもできなくなってしまいます。

そのため飼料自給率の向上は必ず必要になってきます。

「食料・農業・農村基本計画」において、令和12年度の飼料自給率を目標として34%に国は設定しています。

これは輸入に過度に依存している現状がまずいことを国も理解しているためです。

そして食料自給率を向上させていく取組として地域の未利用資源や食品残さ等を利用したエコフィードの生産と利用の推進を図っていくことにしています。

2、食品リサイクル

エコフィードには食品リサイクルにおいて3つの効果があるとされています。

1、食品の大量廃棄や最終処分場のひっ迫等により、廃棄物処理をめぐる問題が深刻化している状況です。

食品に係る資源の有効な利用の確保及び食品に係る廃棄物の排出の抑制を図ることを目的として、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法 律(食品リサイクル法)が平成13年に施行されました。

2、 食品リサイクル法は、食品廃棄物等の発生抑制に優先的に取り組んだ上で再生利用等を実施することとしています。

再生利用に あたっては、食品循環資源が有する豊富な栄養価を最も有効に活用できるものとして、飼料化が最優先となっています。

3、令和2年度の食品廃棄物等の1,624万トンのうち、1,143万トンが再生利用されており、そのうち約7割の864万トンが飼料として利用されています。

このようにエコフィードでは環境問題として取り上げられていることについてもメリットがあるとして期待されています。

特に食品の大量廃棄についてはエコフィードによって再利用することが可能となれば飼料としてだけではなく廃棄物問題についても改善することができます。

食品リサイクルにおける取組の優先順位としては、

1、発生の抑制→2、再生利用(飼料化を優先)→3、熱回収→4、減量とされています。

令和元年7月に公表された新たな基本方針における再生利用等の実施率に係る目標は、2024年度(令和6年度)までに、食品製造業:95%、食品卸売業: 75%、食品小売業:60%、外食産業:50%となっており、2019年度(令和元年度)までの目標と比べ、食品製造業及び外食産業においては据え置き、食品卸売 業及び食品小売業においては+5%となっており、更なる再生利用等の促進が必要です。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_siryo/attach/pdf/ecofeed-144.pdf

活用のメリット

次に活用していくことについてのメリットについてですが、メリットについては大きく3つに分けられています。

1、飼料コストの削減

2、家畜の生産性・畜産物の品質向上

3、食品産業におけるメリット

この3つがエコフィードを活用するメリットとして挙げられています。

1、飼料コストの削減

食料自給率の向上でも説明していますが畜産農家の飼料のコストは3〜6割と高いコストを占めています。

そこでエコフィードに飼料を代替した場合にどれくらいのコスト削減に繋がるかですが、約2割の配合飼料をエコフィードに変えた場合には肥育豚の場合だと1頭当たり約4300円削減に繋がり約13%もの飼料費の削減になります。

これは畜産農家の規模にもよりますが家畜の数が多いほどコストとしてのメリットは非常に高くなります。

2、家畜の生産性・畜産物の品質向上

イメージがつきにくいかと思いますが廃棄物から飼料の製造によって家畜の生産性と品質が向上することがあります。

これはいったいどういうこと?と疑問に思うかと思います。

廃棄されてた物の方がいいの?となるかと思いますので理由について説明します。

まず、廃棄物というと私たちの中ではゴミのイメージがありますがあくまでも残り物ですので品質は高いものが多いです。

品質がよくないものはそもそも売れに出されていません。

そこで余った物を飼料としているために元の飼料と比較しても品質が著しく落ちるわけではないのです。

次に、パン屑に加え、米ぬか、ピーナツ屑、酒米の米粉、米ぬか、野菜屑等に原料受入を増やし、加工したエコフィードとトウモロコシ等との配合利用したことによって配合飼料給与時に比べ、嗜好性が高まりました。

パン主体のためサシが入りやすく、オレイン酸増加などによって家畜事態の品質の向上に繋がりました。

3、食品産業におけるメリット

食品産業の食品残さ等をエコフィード原料として提供するメリットは、

1、廃棄物処理費の削減、

2、SDGs(持続可能な開発目標)推進

上記のようなものが挙げられます。

単純な話ですが、一般廃棄物排出量が年間200トンの食品事業者の場合、 年間の廃棄物処理に係る費用3,200千円/年の削減が可能となります。

また、大量に廃棄されている食品を再利用することでSDGsにも繋がります。

このように畜産農家だけではなく食品産業にも大きなメリットがあります。

まとめ

エコフィードは畜産農家だけではなく環境や食品産業においても非常にメリットがある取り組みです。

現在環境問題についても取り上げられることが多いため食品などの大量の廃棄物が環境にとってよくないことが話題となることや、畜産農家の飼料高騰問題など現在の問題についてどうしていくべきなのかを考えさせられることが多いです。

今回紹介してきたエコフィードではまだまだ製造量が少なく流通量が少ないで少ないですが、色々な問題を解決するのに有効な手段であると言えます。

まず、国内の食料自給率向上としてエコフィードによる供給が高まれば循環して継続的に生産が可能となります。

現在の海外からの輸入に頼っているリスクを減らすことができるため、製造量の増加は飼料の自給率としては一から生産性を向上させていくよりも現実的に可能な取り組みであると言えます。

飼料の値段も減少させることができることから畜産農家にとってもコスト削減に繋がります。

次に、食品のリサイクルですが大量に毎年廃棄されている食品を飼料として有効活用することで廃棄物の量を減少させることが物理的に可能となります。

特に食品リサイクル法によって抑制もされているためエコフィードによって減少させることができるのは食品産業にとっても意義のある取り組みになります。

エコフィードは取り組みを行うことで畜産業だけではなく、食品産業にとってもメリットがあります。

特に現状の環境問題や飼料の高騰問題にはかなり有効な手段であると言えます。

畜産農家はこういった取り組みを利用して少しでもコスト削減に繋げて頂ければと思います。

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