【徹底活用】有機肥料と化成肥料の違い

農業を行う上で、お世話になる肥料。
肥料にはさまざまな種類がありますが、その違いをご存知ですか?

今回は有機肥料と化成肥料について。
その違いと活用方法について解説いたします。


目次

1. どこが違うの?有機肥料と化成肥料
2. それぞれの定義

2-1.有機肥料とは?
2-2.化成肥料とは?
2-3.重要なのは使い分け
3. 有機肥料を使用上注意!

3-1.要注意!有機肥料の使い方
3-2.「有機=善 化成=悪」というイメージ
4.肥料の成分を理解しよう
4-1.肥料の表示
4-2.保証成分量の見方
5.まとめ



1. どこが違うの?有機肥料と化成肥料

国際的に、消費者側の食の安心安全志向が向上しています。
SDGsにおいても「持続可能な農業」が目標として掲げられています。

有機農業や肥料も農薬も使わない自然農法などで、
栽培される農作物も多くなってきました。
それに伴って、有機肥料も注目され始めています。

しかし、極端な偏見も拡大しています。
それは、「化成肥料=悪」というイメージです。

もちろん、化成肥料を過剰に用いた農法は、
環境に多くの弊害を与えてきたというのは確かです。

しかし、逆も然りであり…
有機肥料も過剰に使えば環境に対して弊害を与えます。

つまり有機肥料も化成肥料も使い方次第ということになります。
消費者が望んでいる「美味しく安全な野菜」を作るためには、
何事もバランスということです。

オーガニック神話とも言える
「化成肥料や農薬未使用の有機野菜だから、安全、美味しい」
というイメージもまた危険な考えとも言えます。

消費者側に明確に肥料を用いる意図を理解してもらうことも大切です。
有機肥料と化成肥料について改めて復習しませんか?

そして、もう一度「臨機応変に肥料を活用」していきましょう。


2. それぞれの定義

農業をする女性


2-1.有機肥料とは?
有機肥料は植物に必要な栄養分(窒素・リン・カリウムなど)を含む。
肥料を動物や植物といった有機物から生成した肥料のことを言います。

有機肥料と言えるものは法律で定められています。
この規格に沿っていないものは「有機肥料」と呼ぶことはできないのです。

つまり、有機物で出来ている「堆肥」「米ぬか」「家畜糞尿」など。
これらの素材は、農業において活用できる素材ではあります。

しかし、有機肥料ということはできないのです。

〈肥料としての効果〉
土に施すと、元々土壌中に生育している微生物によって分解されます。
肥料としての効果は比較的ゆっくり表れてくるのです。

しかし、成分含量が低いため、
ある物質だけが過度に濃くなったり、塩類集積といった問題は発生しにくいです。
継続的に農作物を生育しやすいというメリットがあります。

土壌の微生物相を豊富にする場合にも、
化成肥料よりは有機肥料の方が適しています。

有機肥料は土壌微生物への影響力も過剰ではありません。
土壌微生物相を豊かにする役割も担ってくれるはずです。

有機肥料によって土壌微生物の活動がアクティブになれば、
彼らの分泌物によって土の団粒構造が形成されます。

良質な「ふかふかの土」「肥料持ちの良い土」に変化するでしょう。
団粒構造によって保水性、通気性がよくなれば、
農作物のより良い成長へとつながります。

しかし、有機肥料は化学肥料に比べ効果が表れるのはゆっくりしています。
価格も高いため、使うことに躊躇することも多いでしょう。
化成肥料と比べると、大量生産などには不向きでもあります。

農業を行うにあたって安定的な供給が必要なのも確かです。

高い生産性を狙うのであれば、有機質肥料の効果がゆっくりなことは、
デメリットと言えます。



2-2.化成肥料とは?
化学肥料は、無機質原料から化学的に生成された肥料のことです。

なお、無機質原料を使っているもの、有機化合物から化学的行程でつくられたもの。
これらも化学肥料と命名されています。

特徴として、肥料としての効果の即効性や、
必要となる栄養成分の割合を調整しやすいところにあります。

有機肥料だと、どうしても必要となる栄養分の配合量が未明瞭な部分があります。
しかし化学肥料であれば、単一の肥料の場合、
窒素なら窒素、リンならリンと必要な成分だけを土に施すことができます。

そのため、量の調整がしやすいのです。
また化学的工程によって大量に製造できるのです。

化成肥料の価格が高騰しているとはいえ、
それでもコストを安くすることができ、使いやすいでしょう。


2-3.重要なのは使い分け
一概に「有機だから」「化学だから」ということはできません。
どちらも一長一短があるのです。

とは言っても、消費者に誤解を生まないために、
「有機肥料」「化成肥料」どちらの肥料を使うにしても、
それらの違いや特性を分かった上で使い分けること。

農作物のより良い生育には重要になるのではないでしょうか?

それぞれの特徴を明確に理解して、使いましょう。

農作物を育てる基盤となる土づくりには有機肥料。
農作物の生育過程で必要になってくる追肥には化成肥料。

バランスを考えつつ、臨機応変に活用しましょう。


3. 有機肥料を使用上注意!

農業をする女性

3-1.要注意!有機肥料の使い方
有機肥料は農作物を植え付ける前の土づくりに大いに役立ちます。
しかし、使用上の注意点があります。

有機肥料と化成肥料の違いとして効果の出る速度の違いを挙げました。
しかし、有機肥料を施してからの焦りは禁物です。

施肥したからすぐに植え付けができるという訳ではありません。
長くても1ヶ月程度は土づくりに時間をかける必要があります。

例を挙げると、有機質が大量に含まれている肥料や、
未完熟の堆肥を土に投入してしまうと、
微生物が増殖する過程で農作物に与えるべき窒素を消費してしまいます。

農作物に必要な分の窒素が不足する「窒素飢餓」が発生する危険性があります。

さらに、「ガス障害」といった有機物の分解で生じたアンモニアが、
土壌中にたまることで発生するガスにより、
作物の葉などへ障害が発生してしまうケースもあるのです。

この様な被害が起きないようにするためには、
農作物を植え付けず、土の状態が落ち着くまで「待機する」のが鉄則です。

または、すでに分解されやすい有機物が分解されている「完熟堆肥」。
こちらを用いて土づくりを行ないましょう。

3-2.「有機=善 化成=悪」というイメージ
大量安定供給が求められていた時代に、
化成肥料は「早く効き、長持ちする」というメリットもあって、
沢山使いこまれ重宝されていました。

農作物に対して、質より量が重視されていた時代があったのです。
化成肥料が過剰に使用されて、環境にダメージを与えたのは確かです。

しかし、農業も立派なビジネスなのです。
現実的に、収益を得るためには、安定供給は重要なものです。

そのため、「化成肥料=悪」というのは正しくありません。
適量に使えば、便利なものです。
そして、有機肥料も過剰に使えば先ほど解説した弊害は起きます。
「有機=善」というのもまた正しくないのです。

それぞれの肥料を正しく理解し、うまく使い分けることで、
美味しい農作物づくりと、収益的にも安定する農業を実現しましょう。

消費者に向けても「有機肥料」と「化成肥料」の正しい情報が伝わること。
これも農業の未来のために非常に重要なことと言えます。



4.肥料の成分を理解しよう

より明確に肥料を理解するために大切な「肥料の表示」について解説します。

4-1.肥料の表示
肥料の裏面を見てみると、成分が表示されているかと思います。
商品名だけでどのような肥料か分からなかったとしても、
原料の種類や保証成分量を見ることで、
肥料自身の特徴を理解することができます。

まず「肥料の名称」。
これは、肥料が販売される前、登録や申請のために使われた名称です。
つまり、正式名称となります。

「原料の種類」はこの肥料に何が含まれているのかを具体化できます。
食品表示と同様、割合の多い順に書き並べられています。
主原料が何なのかを把握することが可能です。

その原料内にウシが利用されている場合であれば、
BSEの原因となる脳や脊髄が含まれていないことを示す記述が加えられます。


4-2.保証成分量の見方
肥料の表示で最も注目すべきは「保証成分量」なのではないでしょうか。
肥料の成分表示は3つの数字で簡易的に表示されます。

8-8-8や4-6-6と表示されます。
これは「窒素:リン酸:カリウム」の配合比率を表示したものなのです。

この要素は植物が健康な生育のためにも、必要不可欠な存在です。
窒素はいわば葉を作る主成分。リン酸は実を、カリウムは根を作る成分。

窒素成分が少なめの肥料であれば、イモ類や豆類に用いることが多いです。
「専用肥料」を見かけた場合には裏の「保証成分量」を比較してみましょう。

多くの場合、その野菜の生育に必要な割合で配合されているはずです。
肥料を用いる前には、育てる野菜が必要とする栄養分の条件を理解する必要があります。

しかし必要な養分を理解できれば、肥料選びもスムーズに進むでしょう。
ただし実際の含有量はあくまで保証値です。
示されている数値より多いことがあります。

「肥料取締法に基づく表示」の場合には、
「主要な成分の含有量等」と表示されており、実際の含有量が記載されます。
確かな含有量を把握したい場合には、
「肥料取締法に基づく表示」がなされている肥料を選びましょう。


5.まとめ


今回は「有機肥料と化成肥料の違い」についての解説でした。
どちらの肥料も使い方次第では、便利な肥料です。

極端な偏見から、使い方を誤れば思わぬ弊害に遭うこともあります。
農業を行う上では、現実的な目線が大切です。

これからも便利な情報をお届けしてまいります。

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