【農作物にも疫病】原因と対策で未然に防ぐ簡単な対応方法とは

農作物の疫病

農作物にも疫病があることを知っているでしょうか。

人間にも疫病があるように農作物にも疫病が存在します。

疫病が起こると農作物は直ぐに感染して広がっていってしまいます。

一度疫病になった農作物は収穫することができなくなり大きな損失になってしまいます。

また、一度疫病になった畑は適切な処理をしていかなければ次の年も疫病が起きる可能性が非常に高くなってしまいます。

近年の農業は食糧問題や生産性向上など農作物生産を増加していかなければいけない問題があります。

しかし、疫病が拡大していってしまうと生産性の向上や食糧自給率の向上も難しくなってしまう要因の一つとなります。

農作物の疫病は原因がある程度判明しているため適切な対策と処置を行い未然に防止していくことが非常に大切です。

この記事では農作物を生産している人に向けて疫病に対する知識と原因や対策について紹介していきます。

農作物が疫病に汚染されないようにぜひ参考にして頂ければと思います。

農作物の疫病とは

一般的な疫病は流行病や伝染病を指していますが、農作物の疫病はカビが原因で起こる特定の病気のことを疫病と言われることが殆どです。

農作物の疫病のカビ菌としてフィトフトラというカビの菌が主な病原体になります。

このカビは土壌にいることが多く温度が15〜20度と低温かつ雨などが多い湿度が高い時期に繁殖しやすくなります。

疫病での農作物の症状

疫病の大きな症状として根や葉、茎、果実に暗褐色の斑点ができます。

特に葉が水に浸ったように腐ってきり、茎が黒くなってきている場合、株が萎れているような症状がででいる場合には疫病の可能性が高いため要注意になります。

葉の症状として、わかりやすいのが葉が腐ることで溶けるように腐っていきます。

見た目も黒くなるためぱっと見で異変に気づける程です。

他にも霜のような白いのが葉にできる場合もありますが、これはカビによって霜のように見えている場合もあります。

茎、根の症状では黒褐色で凹んだ斑が茎や根に出来ます。

茎や根にこの症状がでてしまうと土壌から実に水分が行き渡らなくなるため身の成長が損なわれてしまいどんどん萎れていく傾向にあります。

茎や根はぱっと見では分かりづらいため実が萎れている場合にはしっかりと確認しなければなりません。

感染する原因

次に農作物に疫病が感染してしまう原因についてです。

疫病の80%をしめているカビ菌などは基本的には土壌に存在しています。

根などは直接土壌に触れているため感染しやすいのはわかると思いますが、葉や茎に症状が出るのは何故でしょうか。

これにも一つの要因がきちんとあります。

それは「雨」です。

梅雨の時期などはゲリラ豪雨のような強い雨も降り雨の勢いで土が飛び葉や実に付着することがあります。

この飛散によって土壌に存在している菌が葉や実に付着することで感染してしまうのです。

感染する経路として第一次伝染と第二次伝染があります。

第一次伝染では、カビの菌が水分によって発芽しその後、菌が雨などによる水によって葉に付着することで感染します。

雨による土壌の飛散による付着はこの第一次感染に該当します。

多くの葉や実の感染はこの第一次伝染であることが殆どです。

次に第二次伝染についてです。

第一次伝染で、感染後の植物から遊走子ができます。

遊走子とは無性生殖を行なう胞子の一種で 鞭毛をもち水中で遊泳運動をする胞子です。

そのため、水を通じて次の葉や実、根や茎へと次々と感染していってしまいます。

このため、第一次伝染で感染してしまうと第二次伝染とどんどんと感染していってしまうというスパイラルになってしまうのです。

そもそも、環境によってもカビが繁殖しやすく感染が拡大する原因もあるので紹介致します。

菌が繁殖しやすい環境・条件

カビが繁殖しやすい条件として低温多湿だと繁殖しやすくなります。

分かりやすい場所でいえば種類は違いますがお風呂場にカビが繁殖しやすいのもこの条件と同じになりやすいためです。

外の場合でもこの条件になる時期があります。

その時期は梅雨になります。

梅雨の時期は皆さんご存知かと思いますが春から夏にかけて気温が少しずつ上昇する中雨が降るため低温多湿になりやすい時期になります。

この時期は農作物を栽培するなかでも春の4月から仕込み成長して夏に収穫する農作物にとってはちょうど同じくらいの時期になっています。

そのため、疫病が最も発生しやすいのはこの梅雨の時期になります。

また、窒素が多く土壌に含まれている場合に植物が軟弱な状態で成長していると感染しやすいといった場合もあります。

ここまではもっとも多い時期の梅雨で説明しましたが、秋口と冬の時期でも低温多湿の条件が揃えば菌は繁殖するため全く疫病がないわけではないので注意して下さい。

疫病にならないための対策・予防

まず、農作物が疫病に感染する場合3つの要素が重なった時に感染します。

3つの要素とは

1.抵抗性

2.病原体

3環境

これらの3つ要素が全て揃ってしまうと農作物は疫病に感染します。

どういったことかというと農作物が病原体に対して抵抗性を持っていない。

病原体が繁殖しやすい(低温多湿)環境であること。

そのため、疫病にならないための対策としてこの3つの要素について対策と予防を行う必要があります。

1.抵抗性

1.の抵抗性に関しては病原体に抵抗性を持っている品種や苗を使用するのも対策になります。

近年ではこの病原体に抵抗性を持っている品種や苗の開発が進んできてはいますが全ての種にあるわけではありません。

しかし、対応している物があれば疫病に感染してからの被害を考えれば導入した方が得策です。

2.病原体

2.病原体に関してはまず第一に持ち込まないことです。

次に土壌を消毒、入替を行うことです。

病原体を持ち込まないことについては言わずもがなですが、持ち込まないための対策として、前年度の植物や枯れた葉には病原体が付着している可能性があります。

そのため、前年度のものに関しては畑からきちんと除外することが大切です。

つまり、他の畑から肥料として土を持ってくる際にはこういった対応をきちんとしているかも注意しなければいけません。

それでも種苗として使用した農作物が既に感染している場合もあります。

その際には根から引き抜き処分するしかありません。その時には感染している根から汁などが飛散して他の農作物に付着しないように十分に注意して下さい。

疫病が発生した土壌や何年も続いて疫病が繰り返される場合は土壌を消毒や入替を行う必要性があります。

農薬を使用する方法ももちろんありますが、もう一つ有効な手段として太陽光による熱消毒があります。

太陽熱消毒の場合は土壌をしっかり濡らしてビニールで表面を覆い20日〜30日ほど放置します。

※この消毒を行う場合は夏の気温が高い時期に行う必要があります。

この消毒を行うことで土壌にいる菌を死滅させることができます。

3.環境

菌が繁殖しにくい環境を整えるこれは具体的にどういったことをするのかと思うと思います。

特に環境といっても雨や気温湿度などについてはどうしようもないと思う人が殆どだと思います。

しかし、対策としては意外と簡単な方法でも十分に対応することは可能です。

一番手っ取り早く対応できるのは水捌けを良くすることです。

菌は水分が多いと感染しやすく拡大もしやすいため、周囲に溝ぼりを行ったり土壌改良材としてパーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどを入れることで水はけを良くすることができます。

次に簡単な方法として畝を高くすることです。

その際にマルチングも同時に行えばより効果的になります。

マルチングとはビニールなどを土壌の表面に設置することで土壌の跳ね返りを防止することです。

このように環境の対策といってもそこまで難しいことをしなくても十分に対策することができます。

疫病に感染しやすい農作物

疫病は梅雨の時期に一番なりやすいため、必然的に夏に収穫する農作物は比較的疫病になりやすい傾向があります。

代表的な農作物として

・トマト

・ナス

・ピーマン

・イチゴ

・キュウリ

・スイカ

・タマネギ

・ジャガイモ

上記のような農作物は比較的かかりやすいとされています。

対策と予防で紹介した物を参考にこれらを栽培している農家や家庭栽培をしている人は対応することをオススメいたします。

人体に影響はあるのか?

農作物が疫病になった物を食べた場合には人体に影響はあるのかについても気になるところです。

結論から言うと疫病にかかることはありません。

農作物の疫病は基本的にカビによるものであり、それを食したり触れたりしたからといって感染することはありません。

しかし、感染している農作物には抵抗作用として人体に害になるような毒素を出している場合があります。

そのため、食べても疫病になることはありませんが食べたりはしないほうが賢明です。

まとめ

農作物にも疫病が存在します。

農作物の疫病はカビが原因であるため、対応をしっかりとすれば被害が拡大することはありません。

しかし、逆に対応をきちんとしなければ感染はどんどんと拡大してしまいます。

カビは繁殖力が高いため繁殖できる環境が整っていると何度でも農作物がダメになってしまいます。

このような被害を抑えるためにも簡単な方法で疫病の感染を抑制することができますのでぜひ対策をしっかりと行っていただけたらと思います。

疫病の被害で困るのは何も農家に限ったことではありません。

生産したものが出荷できなくなれば輸入に頼るしかありませんが、農業業界の課題の食料自給率の向上と生産力の向上も難しくなってしまいます。

結果として日本は他国に依存するようになってしまうため、農林水産省も提唱しているように輸入にはリスクが伴います。

色々なリスクを回避する意味でも農家のしっかりとした対応は意味があります。

一度疫病で失敗してしまった農家やこれから栽培する農家はぜひこの記事で紹介した対策などを活用して疫病に農作物がかからないようにしていただければと思います。



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