ブランド米とは?ブランド化の方法や競争に打ち勝つ対策

近年では消費者のお米離れが深刻化しています。
こういった問題を打破する方法の1つとして、他の農家との差別化を図る方法として「ブランド化」をするお米が増えています。
お米をブランド化すれば消費者にとって特別なモノとして注目が集まり、売り上げを増加させることも可能になります。

この記事では「なぜ米離れしているのか?」「ブランド米とは?」などお米に関する情報を解説していきます。
稲作農家にとって経営の売り上げを増加させる糸口となりますので、ぜひ参考にしてみてください。

なぜお米離れが進んでいるのか?

そもそもなぜお米離れが進んでいるのでしょうか?
国民1人あたりが1年間で消費するお米の量は、1962年時点で118.3kgとなっており2022年時点では50.7kgと半分ほどの消費量になっています。
こういったお米離れが進んでいった大きな要因として、「食生活の変化」にあります。

そして食生活の変化には理由があり主に3つの理由です。

1つ目は、麺やパンなどの輸入増加です。
日本では戦後間もないころパンや麺を食べる習慣がありませんでした。
しかし、輸入に頼っていくうちに日本は西欧の食文化が取り入れられ、パンや麺などお米に変わる主食を食べるようになってきたのが理由の1つと言われています。

2つ目は、コンビニや外食で手軽に食べられるようになってきたことです。
コンビニに行けば手軽にお米やパンが購入でき、戦後に比べると飲食店も増えました。
こうした理由は、家でお米を炊いて食べなくとも時間や手間をかけずに食事をすることができるといった変化によってお米の消費が減ったと考えられます。

3つ目は働き方の変化です。
2020年に新型コロナウイルスの流行により、在宅ワークを行う企業が多くなりました。
在宅ワークでは会社に出勤していた時に比べると消費カロリーが減る一方で、「太りやすくなる」「お腹が空かない」といった方も多く増えます。
お米は糖質も多く特に若い世代では体型を気にすること人増えており、糖質制限ダイエットの流行によりお米の消費が減ってきた理由の1つです。

お米離れの理由について解説しました。
初めに「お米離れ」について説明した理由として、日本のお米が単純に美味しくないという理由ではないということを知ってもらいたいと思い、お米には可能性があるということを認識して頂きたいという理由です。

ではお米のブランド化について詳しく解説していきます。

お米のブランド化とは?

「ブランド米」という言葉を耳にしたこともある方もいるのではないでしょうか?
ブランド米とはブランド化されたお米を指す言葉であり、明確な基準や審査によって「ブランド化になります」というのはありません。

ブランド米とはその地方特有の銘柄をつけたりすることで「ブランド米」と呼ぶようになります。

ですが一般的なお米と違って差別化を図っているのは確かです。
例えば「世界一〇〇なお米」や「〇〇水を使用したお米」など付加価値をつけて初めてブランド化ということになります。

この「お米のブランド化」は先ほど説明したお米離れで売上が落ちている農家に対して所得向上を期待できるものとして注目を集めています。

ではお米のブランド化する方法や戦略について解説していきます。

お米のブランド化戦略について

お米のブランド化というのは実は簡単にできます。
特に明確な基準や審査はないわけですから稲作農家であればできます。

問題なのは、

  • 差別化の図り方
  • マーケティングの方法

この2点が重要になってきます。
この2つに焦点を当てて解説していきます。

差別化の図り方について

日本で品種登録されているお米は800種類を超えます。
つまり競合が多く、インパクトの弱いお米などは競合に埋もれていきます。
ポイントとしては消費者のニーズを考えながらブランド米を作ることです。

例えば、先ほど「お米離れの理由」で働き方の変化について紹介しました。
この働き方の変化は在宅ワークが増えたことにより外に出る機会が少なくなり「太ってしまう」という理由が多く挙げられます。

しかし裏を返せば「食べても太らないお米・太りづらいお米」があれば消費者は食べてくれるかもしれません。
また太ることを気にしてなくとも健康に気をつかっている消費者も増えています。
これに関しては抗酸化作用のあるものや美肌効果のあるお米などを需要があるかもしれません。

あくまでも1例に過ぎませんが、「消費者のニーズ」を調べてそれに合わせてブランド米を作ることは競合との差別化を図るポイントになります。

マーケティングの方法

マーケティングとは、「商品やサービスが売れる仕組みを作る」ことです。
ブランド米を作ることができたとしてそこがゴールではありません。そこからどうやって売っていくのかが重要になってきます。

基本的に農家は作物を収穫し出荷を行い消費者に届けてもらいます。
それだけでは商品は売れないとは言い切れませんが、消費者により知ってもらうために広告やPRをしていく必要があります。

例えばSNSで実際の作業の工程を配信すること。
これは作っている農家がどんな人か知ってもらうことで消費者に安心感を与えることができます。

方法は様々ですがブランド米を作って終わりではなくどのように消費者に知ってもらい売るのか?が重要なポイントになってきます。

紹介した2つの戦略は特に大きなポイントとなります。
次にお米をブランド化した際のメリットについて紹介します。

お米のブランド化のメリットとは?

お米をブランド化すると様々なメリットが挙げられます。

所得の向上

お米のブランド化は所得の向上を期待できます。
事例として群馬県沼田市にある「真田のコシヒカリ小松姫」というお米の「ブランド化」に成功した農家があります。

このお米は真田家が整備した真田用水から流れてくる綺麗な雪解け水を使って育てたお米をブランド化しています。
一般的なお米は5kg約2600円で売られているのに対して、真田のコシヒカリは5kg5400円で取引されています。
一般のお米に比べると2倍の値段で売られていますが、ブランド米として人気があります。

ブランド米として成功しお米の値段を上げることができれば大幅な所得の向上に繋がります。

農家の認知度向上

2つ目は農家の認知度向上になります。
お米をブランド化し認知度が上がれば必然と農家の認知度も向上します。
農家の認知度が向上すれば、販路拡大や農家の経営規模の拡大など様々なメリットがあります。
また新しい農地を借りて収穫した作物を売ればある程度の認知度があるわけですから、商品を売りやすくなります。

お米のブランド化における課題

最後に農林水産省が発表している「ブランド化」の課題について紹介します。

①「発掘・創出」段階の課題
・「ブランド化」の最終目標の明確化
・地域ブランド化を進める地域全体の意識の集約
・地域ブランド化を引っ張る人材の確保
・どの層を対象にし、どのような品質のもの誰にどのように販売するかのブランドコンセプトの明確化
・地域ブランド化をスタート前の情報取集

②「形成」段階の課題
・品質を安定したものにする事
・知的財産権制度を活用すること
・消費者の意見を取り入れること

③全体の課題
・最終目標を意識しつつ臨む事
・全体戦略を立てて臨む事
・継続的に取り組む事画できる体制を整備する事
・自分達でできない事を認識すること
引用:農林水産省

紹介したのは農林水産省はお米のみならず作物をブランド化するための課題についてです。
この課題というのは現在の日本の農業に必要なものを表しているものであり、ブランド化の明確な目標でもあります。

お米のブランド化を始める際は目を通しておきましょう。

まとめ

この記事ではお米のブランド化に対する基礎知識や戦略について解説しました。

日本人のお米離れは「稲作農家の所得減少」や「食料自給率の低下」などにつながる問題であり早めに対策を打つ必要があります。
その対策の1つとして「お米のブランド化」が挙げられます。

品種登録されているお米は多く、それだけ競合も多くいます。
その中で買っていくには大きな差別化を図るなど工夫や改善が必要になってくる上、簡単なことではありません。
しかしこれから競合に打ち勝っていくためにも検討してみてはいかがでしょうか?

また「みんなで農家さん」ではお米のブランド化以外にも様々な農業に関する情報が掲載されています。
新規就農者向け記事・現役農家向けの記事などありますので、ぜひご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/

最後までご覧いただきありがとうございました。

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