『農研機構』と農業の関係とは!?

はじめに

『農研機構』というところはどのようなことをする機関なのだろう?

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

また『農研機構』というところ自体を知らないという方もいらっしゃると思います。

『農研機構』とはどういう機関なのか?

『農研機構』が農業とどのような関係にあるのか?

『農研機構』を理解していただくために今回はわかりやすく解説してみたいと思います。

『農研機構』とはどういう機関なの?

  • 『農研機構』のルーツ

まず『農研機構』の正式法人名は

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

です。

『農研機構』の起源は1893年(明治26年)、農商務省農事試験場として誕生しました。

農林水産省の試験研究機関として生まれ変わり、2001年に独立法人となりました。

その後2016年に現在の【国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構】になりました。

ここで研究開発された成果を広く活用するべく、国・都道府県・大学・企業などと連携し、

共同開発や技術を伝えたり、農業生産者や消費者への成果の紹介などを進めています。

『農研機構』は農業技術開発の総本山といえるでしょう。

  • 『農研機構』の役割

『農研機構』の役割は、農業をもっと強靭な産業にする科学技術を生み出すことです。

「国民への安全・安心・高品質な農産物・食料の安定供給」

「農業の強い産業化と海外市場への農産物・食料のマーケット拡大で、

政府の経済成長政策への貢献」を目指して、農業を強靭な産業にするサポートをしています。

  • 『農研機構』の目標

農業とと食品産業は、将来的に大きく成長するであろうと期待される産業です。

地方の活性化も促進し、且つ日本の経済成長にも貢献すると考えられています。

しかしその反面、温室効果ガスの排出削減が重要な課題となっています。

『農研機構』が掲げる目標は以下のとおりです。

1⃣ 「食料自給率向上と食料安全保障」

2⃣ 「農産物・食品の産業競争力強化と輸出拡大」

3⃣ 「生産性向上と環境保全の両立」

『農研機構』と農業の関係は?

現在の日本の農業は、世界的に見ても農業や食品産業の状況は重要な局面を迎えています。

日本の農業は、後継者不足・自然災害の頻発・地球温暖化の影響への対応など問題が山積みです。

その一方で、世界では大幅な人口増加による食料不足が懸念されており、

日本の農業や食品産業も世界市場に輸出を拡大する大切なチャンスとなります。

この大切な局面を『農研機構』と農業・食品産業は協力して切り拓いていかなければなりません。

日本はもとより世界にも貢献できるよう、

研究開発・成果の実用化・組織連携・人工知能などのⅰCTの導入・知財・国際標準化・広報・人材育成

など多方面の改革が必要です。

具体的には

「アグリ・フードビジネス」

「スマート生産システム」

「アグリバイオシステム」

「ロバスト農業システム」

この4本柱で研究を推進しています。

  • 「アグリ・フードビジネス」

「アグリ・フードビジネス」とは、 

農業を中核として、種子・肥料・農業機械・農薬など生産に必要な資材を供給する部門から

農産物を加工する部門・運送・貯蔵・貿易・卸売・小売などの流通部門、

さらには飲食店などの外食サービスなどの部門を総括して行うことを目指しています。

  • 「スマート生産システム」

農業の現在の最大の問題である後継者不足を解決するために、

若者がもっと農業に参入しやすいよう「スマート農業」を拡大していく必要があるといわれています。

すでに自動航行ドローンによる農薬散布など取組みはスタートしています。

作業管理の面でも、システムを活用して作業を効率化する取組みも進んできています。

将来的には、農業用ロボットやAIの導入でさらに重労働から解放され農業のイメージも一新することでしょう。

ほかにも、ハウス栽培などの施設管理もシステムを運用して一括管理できるなど

最新技術を活用した「スマート農業」が後継者不足を解消に貢献してくれるでしょう。

  • 「アグリバイオシステム」

農業においても品種改良や新品種の開発もかなり進歩しており、バイオ技術もかなり重要になってきます。

異なる2つ以上の細胞を使って両方の機能を持ち合わせた新しい細胞を作る技術や

害虫に強い、除草剤の影響も受けない大豆、病気に強いトマトなども遺伝子組み換え技術で作られています。

このように遺伝子や菌などの生物の特性を研究し技術として農業に活用していくシステムも重要になってきます。

  • 「ロバスト農業システム」

農業においても気候の変化や地球温暖化などの影響も課題となってきます。

この対策として、「ロバスト農業」が掲げられています。

気候の変動や人口増加に対応していける【持続可能な食料生産】

どのような環境下でも乗り切っていける【強靭な農業】を目指します。

『農研機構』の研究センター・部門

未来の農業をもっと強力な産業に発展させるために『農研機構』は重要な役割を担っています。

特に農業AIの研究を本格化させています。

『農研機構』では、分野ごとに研究・開発をより迅速に強化できるように細分化しています。

それぞれの部門で専念でき、研究のスピードが加速するためです。

ではどのような専門的な部門に分かれていて、どのような研究をされているか簡単にみていきましょう。

  • 農業情報研究センター

ここで『農研機構』のデータ資産の利用戦略、方針などを取決めています。

データ利用の推進、農業・食品分野でのAI研究のスピードアップ・強力化

そして農業データを多方面との連携する基盤の構築と運営を行う研究センターです。

  • 農業ロボティクス研究センター

農業生産や食品製造のロボットの設計、開発を行ったり、システム化に関する研究開発を行う研究センターです。

  • 遺伝資源研究センター

農業生物遺伝資源をいかに特性を活かして活用できるかの研究開発を行う研究センターです。

  • 高度分析研究センター

農業・食品産業技術に関する研究開発の中で、高度な分析機器などを利用してさらに質の高い研究開発ができるよう支援を行う研究センターです。

  • 食品研究部門

食品産業に関する研究開発を行う部門です。

試験や研究のために加工した食品やその原料の配布を行う部門でもあります。

  • 作物研究部門

稲・麦類・大豆などに関する種子や栽培技術の研究開発を行う部門です。

  • 果樹茶業研究部門

果樹・茶業に関する種子や栽培技術の研究開発を行う部門です。

  • 野菜花き研究部門

野菜や花きに関する種子や栽培技術の研究開発を行う部門です。

  • 生物機能利用研究部門

生物資源を農業や関連産業に活かせるように開発し、利用できるように研究う開発を行う部門です。

  • 農業環境研究部門

農業生産の対象となる生物の生育環境に関する研究開発を行う部門です。

  • 農村工学研究部門

農業土木や農機具以外の農業工学に関する研究開発を行う部門です。

  • 植物防疫研究部門

植物の病害・虫害や雑草を防いだり、除草する研究開発を行う部門です。

  • 種苗管理センター

植物の品種登録にかかる栽培試験・農作物の種苗の検査・ばれいしょとサトウキビの種苗(原原種)の生産や配布を行うセンターです。

  • 生物系特定産業技術研究支援センター

基礎的な研究開発した結果を、連携している大学などへ委託して実施し、研究開発の成果の普及などを行うセンターです。

以上、『農研機構』の中で農業に関する研究や開発を行っている

【研究センター】と【部門】、そして【研究部門】 について簡単にご紹介しました。

この他に

[北海道] ⇒ 北海道地域

[東北]  ⇒ 東北地域、東日本大震災によって生じた農業に影響する放射能物質対策

[中日本] ⇒ 関東・東海・北陸地域

[西日本] ⇒ 近畿・中国・四国地域

[九州沖縄]⇒ 九州・沖縄

それぞれの地域の農業に関する研究開発を行うセンターが、各地に配置されています。

『農研機構』には、《農業》だけでなく《 畜産》《動物衛生》に関する研究や開発も行われています。

『農研機構』の今までに新聞記事になった成果

  • サツマイモ基腐病をすばやく診断

~病原菌を最短1日で検出・特定~

新型コロナウィルスの検出でおなじみの[リアルタイムPCR法]を利用して、サツマイモ基腐病菌を最短で約1日で検出し特定する技術を開発しました。

従来では2週間かかっていたので早期の診断が可能となり、被害を最小限に抑えることができます。

  • 2万円で自作できるloT監視システム

~自宅からスマホでハウスの見回り~

ビニールハウスなどの施設内の温度などをスマートフォンなどで確認できるシステムを2万円ほどで自作できるよう開発に成功しました。

メッセージアプリで希望の時刻や間隔を、生産者の状況に合わせて施設内の情報を取得できます。

ハウスの監理のための労力や時間を削減できます。

  • 圃場の病害虫をスマホで診断

~AIを利用した画像診断技術を開発~

精度の高いAI病害虫の画像判別器の開発に成功しました。

システム利用者の画像が増えることで診断の精度が高められると期待されています。

病害虫の防除対策にとても役立ちます。

今回は2021年の成果の一部をご紹介しました。

他にも

▷玉ねぎの植付作業がとても楽になる農機具の開発

▷2つの腕で果実を収穫できるロボット

など、『農研機構』と企業や大学などと協力して農業を省力化でき

農作業が楽になるような研究・開発が進められています。

まとめ

あまり馴染みのなかった『農研機構』について

簡単に解説してみました。

名前は聞いたことがあったけど・・・

こんな研究や開発を行っている機関だということを理解していただけたでしょうか。

日本だけでなく、世界でも大きな課題となる【地球温暖化】や

人口増加に伴う【食料不足】などの問題を乗り越えていくために『農研機構』の研究や開発は

とても重要な役目を担っていることが理解していただけたかと思います。

また『農業』も日本の未来、いえ世界の未来のために大きな役割を担っているといえます。

日本の農業もこれから大きく発展していくでしょう。

一般社団法人【みんなの農家さん】も農家さんの心強い味方になってくれることでしょう。

日本の農業の発展のために情報を提供してくれたり、サポートをしてくれたりと新規就農者の方も

楽しい農業の道しるべとなってくれるでしょう。

みんなで農家さん (minnadenoukasan.life)

農研機構の基本データ | 農研機構 (naro.go.jp)

農業界・産業界にとって頼りになる農研機構に|ニュース|農政|JAcom 農業協同組合新聞

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