『農地利用効率化等支援交付金』の目的・申請条件について

はじめに


なかなか理解が難しい『農地利用効率化等支援交付金』について。

『農地利用効率化等支援交付金』とは、どんな目的で制定されたものなのか?

どんな条件をクリアすれば申請できるのか?

『農地利用効率化等支援交付金』がどのような支援金なのか、

難しくて判らない方も多いと思います。

今回は、この『農地利用効率化等支援交付金』について

少しでもわかりやすく解説していきます。

『農地利用効率化等支援交付金』とは?

まず『農地利用効率化等支援交付金』は、地域が将来的に農業の集約化を目指し

その実現のため農業経営の改善に取組むのに必要な農業用機械・施設等を導入するための費用を

農林水産省(国)が支援してくれる交付金です。

集約化とは、農地の単位面積に多くの資本と労力を投じて、生産量と収益を増やすということです。

限られた農地でいかに効率よく生産性を向上させるかという点は、今後の農業の発展にも

重要な課題となっています。

この重要な課題の解決策として、この集約化に取組む農業者を支援する交付金となります。

令和4年度の予算は、20億5千万円でした。

令和5年度は、残念ながら前年より少ないようです。

  • 『農地利用効率化等支援交付金』事業の目標

     高齢化・農業従事者の担い手不足が問題となっている日本の農業ですが

     その結果、遊休農地も多くなっています。

     遊休農地も含めて、すべての農地を有効活用できるよう推進しています。

     令和5年度のこの事業の目標は、遊休農地を解消しすべての農地の8割を農業従事者が

     利用する面積を増大させることを目標としています。

     また新規就農者の促進を推進するためでもあります。

『農地利用効率化等支援交付金』の内容

農林水産省は、農家の高齢化・農業従事者の減少が進んでいるため、各地域で将来の農地利用の姿を明確化する「目標地図」づくりを支援に取組んでいます。

農地が分散して困っている地域・担い手不足で困っている地域などに

集約化を実現できるよう各都道府県を通じて、必要な農業用機械・施設の導入の支援をしてくれます。

(50万円以上の事業費用が対象になります。)

『農地利用効率化等支援交付金』には、2つのタイプがあります。

ご自身の農業経営の形態に該当するタイプでの申請となります。

『農地利用効率化等支援交付金』の2つのタイプについて

1⃣ 融資主体支援タイプ

融資を受けて、経営の改善に取組むために必要な農業用機械・施設の導入を

お考えの農業経営の方が対象です。

いくつか条件がありますので詳しく解説していきます。

  • 事業実施地区について】

以下のどれかに該当する地域となります。

  • ⑴ 【地域計画】 が立てられている地域
  • ⑵ 【実質化された人・農地プラン】 が作成されている地域
  • ⑶ 農地中間管理機構から賃借権の設定などを受けた者が営農する範囲 
    • ⑴ ⑵ が未実施の地域で、令和6年度末までに【地域計画】が立てられることが明確な場合のみ

※どの地域に該当するかは市町村の農政担当部局へお問合せください

  • 助成対象者】

以下の条件のいずれかに該当する農業経営体となります。

  • ⑴ 『地域計画】 のうち目標地図に位置づけられた者
  • ⑵ 【実質化された人・農地プラン】 に位置づけられた中心経営体
  • ⑶ 地域において継続的な農地利用を計画しており市町村が認定する者※
  • ⑷ 農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた者               ※ ⑶の「市町村が認める者」とは、市町村が設定する判断基準を満たす農業者です。そして、10年後に農業軽視の継続の意向があること・地域の将来的な集約化に重点を置いた農地利用の計画に向けた話合いなどへの参加の意思が明確になっていて、それらを証明する書面を市町村に提出していることが条件となります。

     

それぞれの項目について説明すると・・・

⑴ 認定農業者・認定就農者・集落営農組織・市町村基本構想に提示されている

  目標所得水準を達成している農業者・市町村が認める人のことです。

  事業実施年度内に目標地図に位置付けられることが明確であると市町村が認める方も含みます。

⑵ 事業実施年度内に中心経営体に位置付けられることが明確であると市町村が認める方も含みます。

  [1.事業実施地区 の項目の⑵ の場合限定です。)

⑶ [1.事業実施地区 の項目の⑵ の場合限定です。)

⑷ [1.事業実施地区 の項目の⑶ の場合限定です。)

  • 3.対象となる事業内容について

支援の対象となる事業内容を見てみましょう。

  1. 農産物の生産・加工・流通・その他の農業経営を始める場合や改善する際に必要な機械・施設の導入・改良・補強修繕
  2. 農地などの造成・改良・復旧

たとえば・・・以下のようなものが支援の対象となります。

  • トラクター・田植機・コンバインなどの農業用機械の購入
  • 乾燥機・集出荷施設などの導入
  • ビニールハウスの導入・整備など
  • 畦畔の除去・排水の整備など農地の改良など

支援対象となる事業の条件は以下のとおりです。

  • 融資を受けて機械・施設の導入を行う
    • 対象となる融資は、次の機関から受けた融資となります。
      • 農業協同組合・農業協同組合連合会・農林中央金庫日本政策金融公庫・銀行・沖縄振興開発金融公庫・株式会社商工組合中央金庫・信用金庫・信用組合・都道府県
  • それぞれの事業内容は、その年度内で完了する
  • 事業費は、内容ごとにそれぞれが50万円以上であること
  • 対象となる機械や設備などは、耐用年数がおよそ5年以上20年以下であること
    • 中古機械や中古施設の場合、上記の条件に加えて使用可能年数が2年以上と認められる必要があります。
  • 運搬用のトラック・パソコン・倉庫など、農業経営以外にいろいろと広く使われるようなものでないこと
    • ただし、フォークリフト・ショベルローダー・バックホー・GPSガイダンスシステム(農業用機械に設置するもの限定)などの機械は、下記の3つの条件すべてを満たす場合に限り対象となります。
      • ①m 農業の生産などの作業に使用する期間内では、他の用途に使用しないものであること
      • ②農業経営に必須であること
      • ③導入後に適正に利用が確認できるものであること

  • 4.優先枠ついて

以下のような特定の取組みには、優先枠が設定されています。

スマート農業優先枠

新たな技術を活用した農業用機械などの導入で、

労働力不足を解消するためなどの取組みを優先枠で支援してくれます。

具体的には以下のような取組みです。

  1. 農業用機械の自動運転システム
  2. 土壌センサー搭載型可変施肥田植機
  3. 農薬散布用ドローン
  4. 水田の高度水管理システム
  5. 施設園芸の高度環境制御システム
  6. 圃場環境などに応じた生産管理最適化システム
  7. 自動収穫・選果作業機

グリーン化優先枠

『みどりの食料システム戦略』を前提に、環境保護を考慮した農業経営に積極的に転向していく取組みを優先枠で支援してくれます。

以下の1.もしくは 2.について数値目標を設定して

取組んでいく方が対象となります。

  1. 温室効果ガスの削減 または、化学農薬・化学肥料使用量の削減
  2. 有機JASの認証を受けている面積の拡大(新規で有機JASの認証を受ける場合も含みます。)

 

集約型農業経営優先枠

土地の利用に制約などがあり、経営拡大するのを制限される地域などの方が、

集約型農業の導入で収益を向上させるための取組みに対して優先枠で支援してくれます。

以下の3項目を満たす方が対象です。

  1. 耕種農家であること ※1
  2. 目標年度に、1ヘクタール当たりの付加価値額が50万円以上であること ※2
  3. 目標年度に、経営面積が現状より縮小しないこと

※1 耕種農家とは、田畑で種などをまいて栽培する農業のことです。

※2 付加価値額とは、農業によって生み出された価値のことです。

  • 5.成果目標について】

支援を受けるためには、必須目標と、以下の選択目標のうちから1つ以上を選択して

目標年度の具体的な目標の数字を設定して、その目標を達成する必要があります。

例えば、令和5年度事業を実施する場合は、令和7年度の目標を設定します。

  • 必須目標
    • 付加価値額(収入総額 ー 費用総額 + 人権費)の拡大
  • 選択目標
    • ① 農産物の価値の向上
    • ② 単位面積当たり収獲量の増加
    • ③ 経営コストの削減

さらに、今後実施する取組みについてポイント化する際には、次の4点の対応する項目についても目標設定が必要になります。

  • 事業関連取組目標
    • ④ 経営面積拡大
    • ⑤ 労働時間の縮減
    • ⑥ 経営管理の高度化
    • ⑦ 他の産業との連携

  • 6.助成金の算定方法について】

それぞれの事業内容ごとに、下記の3つの計算方法でさんていした金額のうち

一番低い金額が助成金額となります。

ただし、計算した金額が上限金額を超える際には上限額が助成金額となります。

《計算方法》

1⃣  事業費 × 3/10

2⃣  融資額

3⃣  事業費 ー 融資額 ー地方公共団体などによる助成額

《上限額》

法人・個人 ともに  300万円

※ 目標地図に位置付けられていて、目標年度の経営面積が以下の基準以上となる場合は

  600万円

  • 水田作など    ⇒ 20ヘクタール
  • 露地作      ⇒  5ヘクタール
  • 果樹作      ⇒  3ヘクタール
  • 施設園芸作    ⇒  1ヘクタール

※ 先進的農業経営確立支援タイプの場合は、

   法人    1,500万円

   個人    1,000万円

  • 7.追加的信用供与補助事業について】

融資機関から融資を受ける際に、融資物件以外の担保や同一経営ではない方の保証人の確保が困難な場合であっても、適切な融資計画を立てた経営体には、農業信用基金協会によって確実な機関保証制度を取り計らってもらえます。

保証上限額は、保証を受ける方それぞれの各都道府県農業信用基金協会によって水準が設定されています。

農業制度金融での無担保・無保証人による債務保証額は、通常の2倍程度に拡大されます。

以下を参考にしてください。

2⃣ 条件不利地域支援タイプ

こちらのタイプ支援は、事業の実施地区によって細かい条件が設定されています。

下記の①~③のどれかに該当する地域が対象となります。

(外灯するかは市町村の農政担当部局にお尋ねください。)

項目都府県北海道
① 農家1戸あたりの平均農地面積が
右記の条件に該当する地域
概ね0.5ha未満、かつ0.5ha未満
の農家が概ね5割以上
概ね2ha未満、かつ2ha未満の
農家が概ね5割以上
② 販売農家(※1)に対し
副業的農家(※2)の割合が右記の条件に該当する地域
7割以上、かつ主業農家(※3)の
割合が1割以下
3割以上、かつ主業農家の割合が6割以下
③ 事業実施主体(市町村)が認める右記の条件に
該当する地域
平均農地面積が概ね1ha未満、かつ1ha未満の農家が概ね5割以上の地域 平均農地面積が概ね2ha未満、かつ2ha未満の農家が概ね5割以上の地域
       〃上記の条件を満たす地域で、
周辺の地域と比較して、
農産物販売金額が低い、
または高齢化率・耕作放棄地率が高いなど、経営体を育成・確保する必要性があると事業実施主体が認める地域
上記の条件を満たす地域で、
周辺の地域と比較して、
農産物販売金額が低い、
または高齢化率・耕作放棄地率が高いなど、経営体を育成・確保する必要性があると事業実施主体が認める地域
  • ※1:販売農家  ⇒経営耕地面積が30a以上 または農産物販売金額50万円以上の農家
  • ※2:副業的農家 ⇒年間60日以上自営農業で働いている65歳未満の世帯員がいない農家
  • ※3:主業農家  ⇒農家所得の5割以上が農業所得で、年間60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家 

まとめ

少し難しい内容の【農地利用効率化等支援交付金】について

解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?

細かい条件が多くて、該当するかどうかも判らない方も多いかと思います。

解説の中にもありますが、該当するかそれぞれの都道府県によって条件が違う場合も

ありますので確認されることをおススメします。

前年度より多少予算は減額されているようですが、新規就農者の方へも対象が広げられた

ようですので、もし条件に該当すれば活用すべき支援金です。

私がおすすめする、一般社団『みんなで農家さん』も日本の農業の発展のための

お役立ち情報や助成金・支援金などの情報も満載です。

新しく農家にチャレンジされる新規就農の方や、ベテラン農家さんのみなさんにも情報提供や

サポート体制もあり安心して農業に取り組めると思います。

みんなで農家さん (minnadenoukasan.life)

extension://elhekieabhbkpmcefcoobjddigjcaadp/https://www.maff.go.jp/j/keiei/sien/R5_nouchiriyou/attach/pdf/index-2.pdf

人・農地プランから地域計画へ:農林水産省 (maff.go.jp)

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