持続可能な農業を目指す「クリーン農業」の特徴やメリット・デメリットを一挙紹介!

「地球環境にやさしいクリーンな農業を目指そう!!」

SDG’sの世界的な普及などにより環境保全意識が高まりを見せる中、注目を集めているのが「クリーン農業」というもの。

クリーン農業は、その名のとおりとっても地球環境に優しいうえに、長く農業を続けていっても土が”死なない”という持続可能型の農業でもあるのです。

クリーン農業とは、どういったものなのか?メリット・デメリットは何があるのか?

この記事では、巷で話題のクリーン農業についての概要と、その事例を紹介してきます。

クリーン農業とは?

そもそもクリーン農業とは、文字通り地球環境に優しい農業の事。

平成3年に開始されたクリーン農業ですが、世界規模で巻き起こる地球環境保護の流行りにも乗り、取り組む農家さんの数は年々増え続け、今では全体の3分の1の農家さんがクリーン農業に取り組んでいます。

慣行の農業と比べ、農業を営むにあたり発生するCO²が5%程減少したというデータも出ています。

では、一体何をもって”クリーン”なのか?通常の農業とは何が違うのか?

その答えは、通常の農業は化学肥料をメインに使用するのに対し、クリーン農業は有機肥料をメインに使用するというところに大きな違いがあります。

農業とは、使用する肥料が違うだけで結果に大きく差が出てくるものなんですね。自然を相手にした仕事は本当に大変です。

ということで、クリーン農業の概要を説明する前に、まずは肥料の種類について確認をしていきましょう。

化学肥料と有機肥料

農業で使用する肥料には、大きく分けて「化学肥料」「有機肥料」の二つがあります。

肥料を使わずに農作物を育てる「自然農業」というものもあるのですが、あまり一般的ではないため、ここでの詳しい説明は省きます。

肥料とは、人間でいえばプロテインのようなもの。肥料を使うことによって農作物の成長は促進され、短期間で質のいい作物を数多く収穫することができるのです。

化学肥料

まずは化学肥料。

化学肥料とは、化石燃料や鉱物資源を使用して人間が科学的に作り上げた肥料の事です。現在、市場に出回っている肥料のほとんどは化学肥料であると言われています。

肥料の3大要素として「窒素(N)」「リン酸(P)」「カリウム(K)」がありますが、これらのほとんどは化学肥料として認定されています。

化学肥料の良いところは、安価で即効性が高いこと。つまり、コスパがいいのです。

農作物の成長をピンポイントで刺激してくれるので、使用すれば作物はグングン成長していくことでしょう。

有機肥料

一方で有機肥料とは、生物由来の資源を原料として作られる肥料のことです。

一番わかりやすいのが、おしっこやうんちなどの排泄物を使った肥料。

昔は人の糞や尿も肥料として使用されていました(下肥え)が、伝染病や寄生虫を予防するという観点から徐々に使用されなくなり、今では牛や鶏の糞を使用するのが一般的になりました。

有機肥料は、使用することにより土中の微生物の活動を活発化させ、自然の力を使って農作物の成長を促そうというもの。

従って、化学肥料と違い効果が表れるまで時間がかかります。

化学肥料と有機肥料はどちらがいいのか?

ここまで見てみると、化学肥料が圧勝なのではないか?と思ってしまいますが、実は必ずしもそうとは言えません。

化学肥料は、自然界にない物質を使用するという意味で、少なからず生態系にダメージを与えます。具体的には、土の中の微生物が死んでしまうのです。

微生物は、”生きた土”を作るうえでは欠かせない存在。化学肥料を使い過ぎると、微生物が失われた”死んだ”土になってしまう危険をはらんでいるのです。

逆に有機肥料は、土中の微生物の活動を活発化させるので、時間はかかりますが”生きた土”を作り上げることができるのです。

一長一短がありどちらが良いとは一概には言い切れませんが、今回紹介するクリーン農業とは、化学肥料をほとんど使わずに有機肥料をメインに使用する農業のこと。

生態系を維持しつつも息の長い農業が可能です。

クリーン農業のメリット・デメリット

ではここで、クリーン農業のメリット・デメリットについて紹介していきます。

クリーン農業は、先ほどから触れてきたとおり化学肥料を使用しません。

このことが、一体どのような影響を及ぼすのでしょうか。

メリット

①地球環境に優しい

クリーン農業は、化学肥料を使用していないことから土壌を汚染させる危険性がありません。

SDG’sの流行などの影響もあり、今後は何をするにしても地球環境に配慮した行動が求められます。

クリーン農業の考え方は、まさにこれからの時代にマッチした発想であると言えるでしょう。

②長期的に持続可能

化学肥料を使用しないため、土中における微生物の生態系が維持されます。

これにより、時間はかかるものの土が”良い土”へと変化し、長期的に農作物の収穫が可能になります。

即効性はありませんが、後からボディーブローのように効いてくるのが有機肥料の良いところと言えます。

③圧倒的な安心感

北海道では、クリーン農業において生産された農作物を「クリーン農作物」として売り出しています。

クリーン農作物には「YES!cleanマーク」が付けられており、これは環境や身体に対して安心・安全であることの証明とされています。

クリーン農作物は、昨今流行を見せている健康ブームの流れにも乗り、高齢者や小さな子供を持つ主婦層を中心として徐々に人気が高まっている商品分野なのです。

④世界の潮流に乗る

日本ではあまり人気のないオーガニック野菜(クリーン農作物)ですが、世界を見渡せば、ヨーロッパを中心として既にオーガニック野菜が主流になっています。

今後はさらに、オーガニック野菜の流通が活発化すると見られています。

オーガニック野菜後進国の日本も、いずれは必ずオーガニック野菜中心の国へと変わっていくことでしょう。

デメリット

①実施可能地域が限定的

クリーン農業の大きなデメリットの一つは、実施可能エリアが限られてしまうという点です。

クリーン農業は、化学肥料を使用しないという点以外にも、化学合成農薬の使用を必要最小限度に留めるという特徴もあります。

農薬を使用しない場合に発生する問題点といえば、害虫の発生や雑草の増加などが挙げられます。

具体的には、アシナガグモ、テントウムシ、カメムシ、アブラムシなどの数が増加したという報告が上がっています。

これらの虫たちは、クリーン農業を営む上ではまさに天敵ともいうべき存在でしょう。

このためクリーン農業は、温暖な地域での実施が非常に困難なのです。

事実、北海道などの冷涼な地域ではさかんに行われているものの、温暖な地域ではあまり盛んではありません。

害虫や雑草が多い地域で農業を営んでいる方々にとっては、”やりたくてもできない”という厳しい現実があるようです。

②収穫量の減少

クリーン農業は、化学肥料を使用しない分どうしても収穫量は下がってしまいます

農家の方々には生活が懸かっています。

特に最近は、ほぼ毎年が異常気象と言われており、安定的な収穫を確保することが非常に困難です。

農業を始めたてでまだ軌道に乗り切れていない新人農家さんや、昨年の不作などで被ったダメージを引きずっている農家さんは、収穫量を犠牲にしてまでクリーン農業に取り組むのは酷な話であると言えます。

今後のクリーン農業

まだまだ課題を抱えるクリーン農業ですが、日本では今、北海道が中心となって将来的なクリーン農業の普及に力を注いでいます。

【具体的な取り組み事例】
・最新の科学技術を駆使した化学肥料を使用しない害虫予防策
・土壌診断や栄養診断の実施
・害虫などに強い品種の開発

他にも、実際に消費者にクリーン農産物を食べてもらう交流会、有識者による講演などを開催し、クリーン農作物の需要拡大を図る活動も行っています。

今後は、クリーン農業の活動はさらに活発化すると予想されます。

クリーン農業の事例紹介

では最後に、実際にクリーン農業を行った事例について紹介していきましょう。

JA新しのつピーマン部会さんの事例

まずは、北海道石狩郡新篠津町で活動するJA新しのつピーマン部会さんの事例。

作付け前には土壌診断を実施、基肥の適正施用と葉面散布剤や液肥を利用し、生育状況に合わせて施肥を行うなどの工夫が見られます。

これにより、化学肥料の量を慣行よりも60%削減することに成功しています。

他にも、防虫ネットと粘着トラップの設置などによる害虫対策、近紫外線カットフィルムを利用した疫病対策を行っています。

これらの活動によりピーマン部会は、化学肥料や化学合成農薬の使用量など、一定の基準をクリアした農産物に与えられる称号「Yes!clean」を獲得。

「新しのつのピーマンが欲しい」と、全国からの注文が増加したということです。

しかし、従来と比べて必要経費は増加。今後は、戸数や面積を増やしてこの問題に対処していくとのことです。

JA旭川青果連さんの事例

次に、北海道旭川市に所在を持つJA旭川青果連さんの事例を紹介します。

北海道といえば…そう、競馬場が最も多い地域です。

JA旭川青果連さんはその点に目を付け、競馬場から堆肥(有機肥料)を大量に購入。

施肥時には、堆肥のほかに米糠や魚粕等有機質肥料も併せて使用し、化学肥料の削減に努めています。

他にも、近くにある土壌分析施設に依頼して、徹底した土壌分析を実施。

pHの適正改良と残存硝酸態窒素に基づく適正施肥に尽力しました。

この結果、JA旭川青果連さんが栽培する作物の全てにおいて化学肥料使用量が減少。

しかも、ほとんどの作物が削減率50%以上という数字を叩き出しました。

今後もこの活動を継続し、「Yes!clean」の称号を取得できるように努力を続けていくとのことです。

まとめ

以上、北海道を中心に行われているクリーン農業のについて紹介してきました。

地球環境保護の重要性が高まりを見せる中、クリーン農業は今後さらに発展していくと予想されます。

近い将来、「クリーン農産物しか食べない!」なんていう、クリーン農業スタンダードの時代が来るかもしれませんね。

「みんなの農家さん」では、農業に関する最新情報や気になるトピックスなどを逐次配信しています。

 興味が湧きましたら、是非とも他の記事も読んでみてくださいね。

報告する

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。