「半農半X」は自分らしい新しい生き方!メリットやはじめ方について解説

毎日仕事に追われて余裕のない日々を過ごしていると、このままずっとこの生活を送るべきなのか疑問に感じることもありますよね。

自然に触れながら自分で育てた野菜を食べて、やりがいのある仕事をする毎日に憧れを抱く人も多いのではないのでしょうか。

そんな人におすすめなのが、「半農半X」という暮らし方です。

近年、コロナ禍によるリモートワークの普及により地方へ移住することに対する関心が高まっています。

また、1つの仕事のみをする時代は終わりを迎え、副業や多業を認める動きが広がってきています。

「半農半X」は、住む場所や働き方に縛られない暮らし方であり、今の時代に合った生き方のひとつであるといえます。

この記事では、半農半Xについて詳しく解説し、そのメリットや半農半Xのはじめかたについて紹介しています。

「忙しい毎日から抜け出して地方でゆっくり過ごしたい」、「農業に興味はあるものの農業一本で暮らすのは不安」、「農業とやりたい仕事を両立した生活を送ってみたい」という方はぜひ参考にしてみてください。

「半農半X」とは?詳しく解説!

「半農半X」は1995年に塩見直樹氏によって生まれた言葉

「X」にはその人に合った仕事が入る

「農業」の規模は小さくても良い

半農半Xは魅力がいっぱい!そのメリットとは?

生活費が抑えられる

心身共に健康的な生活が送れる

家族との時間を大切にできる

農に関する問題の改善につながる

環境問題の改善につながる

半農半Xのはじめかたとは

家庭菜園からはじめる

畑を借りてはじめる

「半農半X支援事業」を利用してはじめる

まとめ

「半農半X」とは?詳しく解説!

「半農半X」とは、「半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方」のことを指します。

ここでは、「半農半X」がどのようにして生まれた言葉で、どのような暮らし方を指すのか、より詳しく解説していきます。

「半農半X」は1995年に塩見直樹氏によって生まれた言葉

参照:半農半Xという生き方【決定版】 (ちくま文庫): 塩見 直紀 + 配送料無料 (amazon.co.jp)

「半農半X」は塩見直樹さんが名付けた言葉であり、1995年に塩見さんが自身の著書である『半農半Xという生き方』で紹介したことで広まりました。

塩見さんによると、「半農半X」とは、生き方や暮らし方のひとつであり、「小さな農業で食べる分だけの食を得て、ほんとうに必要なものだけを満たす小さな暮らしをし、好きなこと、やりたいことをして積極的に社会とかかわっていくこと」であると説明しています。

実際に塩見さんも「半農半X」の暮らしをしており、農業をしながら里山と都市部の人々の交流、定住を促進する「ミッションサポート」という仕事とを両立した生活を送っています。

「X」にはその人に合った仕事が入る

半農半Xの「X」に入る仕事は、人によって異なります。

その人の持つ個性や長所、特技によって社会に貢献できることが入るのです。

たとえば、医者、調理師、ライター、デザイナー、ヘルパー等さまざま。

自分自身がやりがいを持って生き生きと働ける仕事であれば、それが正解です。

「農業」の規模は小さくても良い

「半自給的な農業」と聞くと、規模の大きな農業をイメージしてしまうかもしれませんが、決してそうとは限りません。

塩見さんの著書では、「半自給的な農業」について「食料を自給し、消費する欲望を楽しく抑えるシンプルな暮らしをすること」だと紹介しています。

農業で収入を得る「兼業農家」とは異なり、あくまで自分が消費する分を作るのが「半農半X」の考え方です。

そのため、農園でもベランダ菜園でも立派な「半自給的な農業」であり、無理なくその人が楽しめる規模であることが重要です。

半農半Xは魅力がいっぱい!そのメリットとは?

半農半Xにはどのようなメリットがあるのか、詳しくみていきましょう。

生活費が抑えられる

半農半Xの生活は基本的に地方での生活が中心になります。

都心から地方に生活の拠点を移すことによって、生活費が抑えられるというメリットがあります。

地方であれば駐車場つきの戸建ての賃貸物件も多く、空き家バンクなどを活用することによって家賃を安くすることが可能です。

また、自給自足の生活のため、食費も抑えることが可能です。

規模の小さな農業であれば機材や資材などの初期費用も抑えられます。

これらから考えてもお金の面でのメリットが大きいといえます。

自治体によっては移住者を対象とした補助金や助成金等の制度があるため、移住時の初期費用も抑えることができます。

半農半Xの暮らしでは、自分の理想とする生活を追及するため、収入が減る可能性は高いですが、生活費を抑えることができるため、好きなことで必要最低限の収入を得ながら暮らすことが可能となります。

心身共に健康的な生活が送れる

働くことは生きる上で重要ですが、ストレスを抱えながら無理して過ごす日々は健康的とはいえません。

自分で育てた物を食べながらやりたい仕事をする日々は、本当に必要なものだけに集中して楽しみながら過ごすことができるストレスの少ない生活です。

作物を育てることはある程度の体力が必要であり、簡単ではありません。

しかし、太陽の光を浴びながら自分自身の手で農地を耕し、毎日自然と向き合う生活は、心身共に健康的な生活につながります。

実際に半農半Xの生活を送っている元コンビニ経営者の夫婦は、「コンビニと農業では同じ忙しさだとしても農業の方が精神的にかなり楽になった」と言っており、半農半Xの暮らしをはじめたことで体調が良くなったことを実感している人は多くいます。

家族との時間を大切にできる

仕事が忙しくて家族の時間を持てない、夫婦の会話もないという人は少なくありません。

しかし、半農半Xの暮らしでは、通勤や残業で消費されていた分の時間が増え、家族との時間を大切にできます。

野菜などの作物を家族みんなで育てることで必然的に家族と過ごす時間は増え、子どもの食育にもつながるでしょう。

「半農半Xという暮らし方」の著者である塩見さんも未就学児の子どもを2人連れて地方へ移住しており、家族のために移住を選ぶ人も少なくありません。

農に関する問題の改善につながる

日本の食料自給率は38%で先進国では異常に低く、全人口わずか3%の農家のうち3人に2人は60歳以上というのが、今の日本の現状です。

また、農家の高齢化や若手不足は、国内でも大きな問題となっております。

さらに、輸入依存も問題になっており、円安による物価高騰も多くの家庭の負担になっています。

しかし、「半農半X」には、農に関するこれらの問題を解決できる可能性があるといわれています。

人々が自給自足の生活を送ることで、食糧自給率は上がり、農業の人手不足の問題が改善されることが期待されているからです。実際、国の政策でも半農半Xを勧める動きがあります。

環境問題の改善につながる

半農半Xの暮らしは「脱炭素」にもつながります。

現在の日本の食生活は海外からの輸入に頼っており、輸入する際に使用する船や飛行機からは二酸化炭素が排出されます。

地球温暖化につながる二酸化炭素の排出を抑えることは世界的な目標となっており、日本は2030年までに46%削減することを表明しています。

半農半Xによる自給自足の暮らしをすることで輸入食品に依存する割合は減るため、結果的に脱炭素へ繋がります。

また、日々農業に関わり自然に触れることで、環境問題にも関心を持つようになるかもしれません。

半農半Xのはじめかたとは

「半農半X」をはじめるには、まず農業をやってみることが大切です。

どの程度の規模から農業をはじめるのかは、その人の経験ややる気、住んでいる住居や周辺の環境によって異なります。自分に合った規模で無理なく農業に触れてみましょう。

家庭菜園からはじめる

まずは無理なく手軽にはじめてみたい方におすすめなのが、自宅で家庭菜園やベランダ菜園から始める方法です。

ラディッシュや小松菜など、初心者でも簡単に栽培できる野菜を選んで、まずは農業を楽しんでみましょう。

ちなみに、おすすめの家庭菜園の野菜についてはこちらで詳しく紹介しています。

畑を借りてはじめる

せっかくなら畑でしっかりと農業をしたい、という方には、畑を借りてはじめるのがおすすめです。

自治体が提供する市民農園や、民間のレンタル農園を利用するという方法があります。

市民農園は空いている土地の有効活用や地域活性化のために多くの自治体で提供されていますので、気になる方はぜひ確認してみましょう。

また、レンタル農園であれば市民農園よりも費用がかかるものの、道具の貸し出しやスタッフによるサポートが受けられるため、初心者にはおすすめです。

ちなみに、レンタル農園についてはこちらで詳しく紹介しております。

「半農半X支援事業」を利用してはじめる

半農半Xの暮らしをするにあたって、必ずしも農家になる必要性はありません。

しかし、農業の割合を増やし、兼業農家に就農することで自治体の移住支援を受けるという選択肢もあります。

たとえば、島根県では、2010年より「半農半X支援事業」を開始し、島根県外からU・Ⅰターンして半農半Xを実践する方に就農前の研修費用を月12万円、研修を終えて定住を開始した後も農業に必要な経費を月12万円支給し、さらに施設整備費用も100万円を上限に

必要額の3分の1を補助する制度を設け、積極的に支援を行っています。

また、長野県では2016年に「田舎暮らし『楽園信州』推進協議会」が設立され、「一人多役」の働き方・暮らし方を地元企業も参加してリアルに提案をするセミナーが定期的に開催されています。

さらに、北海道では2020年に農業と他の仕事を同時並行でこなす「パラレルノーカー」を呼びかけるPR活動をしています。

このように、全国各地で半農半Xの希望者を支援する動きは広がっています。「自分はどんな暮らしをしたいのか」を明確にした上で、制度や支援活動を有効活用しましょう。

まとめ

半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる暮らし方である、半農半Xについて、その概要とメリット、はじめかたについて紹介しました。

自給自足の生活と聞くと、「今の生活を大きく変えなければならないのではないか」とハードルが上がりますが、半農半Xの暮らし方はその人によってさまざまです。

ベランダ菜園からはじめるのも良し、支援制度のある地方へ移住して畑で農業をするのも良しです。

農業に関わりながら自分らしい生き方を追求した暮らしができれば、それが「半農半X」です。ぜひ、この記事を参考に自分に合った半農半Xを探してみてください。

また、半農半Xをする際に初心者におすすめなのがレンタル農園やシェア農場です。

シェア農場では、農業を始める際に必要な農機具や苗などを用意する手間も不要です。

栽培方法で分からないことはスタッフに質問することも可能であり、農場に行けないときもスタッフがサポートしてくれるので働きながらでも農業経験を積むことが可能です。

「みんなで農家さん」では、シェア農場の運営とともに新規就農者のサポートをしています。

農場は全国に複数存在するため、都内にいながらでも畑で農業をすることが可能です。

「今の生活を大きく変えないで半農半Xをはじめてみたい」という方は、こちらから詳細を確認してみてください。

参考:塩見直紀「半農半Xという生き方」ソニーマガジンズ,2003年

   塩見直紀,藤山浩,宇根豊,榊田みどり「半農半X~これまで・これから~」創森社,2021年 

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