北海道農家は儲かる?北海道以外の地域農家と徹底比較

日本の食料庫とも言われている北海道は2020年時点で日本の農産物のおよそ14%を占め、重要な役割を果たしています。
北海道は道全体で基本的に様々な農業が行われており、平均年収も日本の農家の中では北海道が常に1番高い数値を誇っています。

ここまで見ると、農業するなら北海道に行くべきなのでは?と思う方もいるかもしれません。
そこで、本記事では北海道農家は儲かるのか?北海道で農業をした方がいいのか?なぜ北海道農家の平均年収が高いのか?についても詳しく解説します。

北海道農業の特徴

まずは北海道農業の特徴について解説していきます。

その①

北海道農業の特徴は、なんと言っても広大な土地を活かした「稲作」「畑作」「酪農」など大規模で土地利用型の生産性の高い土地です。
北海道の面積は約8万3000km²と言われており、都道府県の中では最も広く東京都の約38倍と言われています。

また、北海道農業は「地域・産地特色を活かした農業」が特徴と言われています。
国内耕地面積の4分の1を占める北海道は、小麦、スイートコーン、じゃがいも、生乳など国内シェア1位のものが多く、北海道にしかない気候風土などを活かし多種多様な農作物を育てています。
北海道は「日本の食糧基地」と呼ばれる程で全国の国内生産の食料の1割を北海道で賄っていると言われています。

長年、全国で深刻化している農業の高齢化は北海道でも同様に進んでいるが、基幹的農業従事者の65歳以上の割合は64.9%と全国よりも比較的若い担い手が育っていると言われています。

その②

北海道農業は全国で最もスマート農業が進んでいると言われています。

スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業です。
【引用:農林水産省

北海道のスマート農業は特に農作業における省力化・軽老化などを進める為に行われており、酪農で使用する搾乳ロボットの導入や自動操舵装置などが年々増加している。
また露地野菜のキャベツや玉ねぎなどの収穫や運搬もロボット化・自動化に向けた取り組みが行われています。

そして北海道農業の大きな取り組みとして農林水産物の増加や食料自給率増加に向けた輸出拡大があります。
令和元年に発表された北海道の農林水産物の輸出総額は741億円に対して、米が5.9億円、畜産品が44億円と増加しています。

北海道農業と地域農業の収入格差について

ネットで北海道農業の収入について検索をすると「北海道農業の年収は高い」といった声が多く見られます。
本当にそうなのでしょうか?
北海道で農業を営んでいる人と他地域農家の年収を紹介します

農林水産省が発表した農業経営統計調査によると全国の農家の農家の平均収入は456万円に対して、北海道農家の平均収入は全国1位で787万円と発表されています。

その他の地域の平均収入は以下の通りです。

1位:北海道:787万円
2位:東海:524万円
3位:関東:496万円
4位:北陸:477万円
5位:近畿:451万円
6位:東北:448万円
7位:九州:446万円
8位:中国:438万円
9位:四国:404万円

引用:政府統計の総合窓口

確かに北海道がずば抜けて平均所得が高いです。
また年収1000万円を超える割合が高いのは、
1位:関東
2位:北海道
3位:東北
となっています。

またどの農業をするかも平均年収は変わっており、北海道の農業別平均年収は
水田作が285万円、畑作が1146万円、酪農が1935万円となっています。

なぜこんなにも平均年収に格差が出るのか?を紹介します。

収入格差の理由

北海道だけ異常に高い数値での収入には理由があります。

広大な土地
まず北海道が他の地域とは違うところが「広大な土地」です。
先程も説明しましたが、北海道は国内耕地面積の4分の1を占める割合を誇っています。

もちろん土地が広ければそれだけ収穫できる農作物の量も増えます。
もちろん広ければ人手を増やすことが普通ですが、今は農業の機械化が進んでおりスマート農業化も進んでいます。

つまり、人手を増やさずとも効率よく生産できる為人件費などのカットを行う事ができ結果的に収入が高くなります。

気候の特性
北海道は気候が他地域よりも寒く農作物を育てるには適した環境なのです。
なぜ気候が冷涼だと適しているのか?

1つは害虫問題です。
農家が常に頭を抱える問題として葉や実に害虫がつき農作物を荒らされる方も多いと言われています。
しかし、北海道では気候が他地域より寒く寒さに弱い害虫が問題になることはないのです。

2つ目は農作物の鮮度を保つ事です。
作物にもよりますが、夏は特に収穫をして出荷まで早く行動しなければ鮮度が落ちるのが比較的早いと言われています。
買ってきた野菜や果物を暑いところに置いておくか、冷蔵庫に入れるかを考えて頂ければ早いかと思います。

北海道は1年を通して比較的、気温が低い為鮮度を落とさずに農作物の収穫ができるのです。

紹介した2つのポイントは特に北海道の平均収入の高い理由となっています。

北海道農家以外でも収入を高くする事はできるのか?

ここまでの記事を読んで北海道で農業をしないと儲からないのでは?と思ったかもいるかと思います。

結論から言うとそんな事はありません。
確かに北海道の方が選択肢は多く有利に農業をできるのは間違い無いですが、
抑えるポイントとしては、
・作りやすさ
・売りやすさ
・農地の広さに対してどのくらい売上があげるのか
・人手が必要か(機械化できるのか)
・初期投資を抑えることができるか

この5つがポイントになってきます。

作りやすさ、売りやすさから考えると自分が育てたい農作物に対して生産性をどれだけ高めることができるかです。
品質はある程度維持する必要がありますが、多く生産できればそれだけ収入に有利になってきます。
売りやすさに関しては「どれだけ他の商品と差別化」を図ることができるかがポイントです。
希少価値や付加価値をつけるなど工夫をする事が大切です。

農地の広さに対してどのくらい売上が上がるのか?
これは「単位面積あたりの売上高の高さ」を重要視して育てる農作物を選ぶことが大切です。
市場規模が大きいほど、年間の売上は期待できます。

人手が必要かどうか?
自分が育てる農作物、土地の広さに対してどれだけ人手が必要なのかを見極めることです。
人を雇うという事は人件費が当然必要になってきます。

無駄に人を増やせばいいというわけではありません。
資金があるのであれば機械を使って農業をするという事も結果的には人件費を払わなくて済むので自分の取り分が大きくなってきます。

最後に初期投資が抑える事ができるのか?です。
育てる農作物に対して費用というのはかなり変わってきます。
「施設を立てる必要があるのか?」「どんな機械が必要なのか?」を知っておきましょう。

結論、北海道で農業をやった方がいいの?

最後に「北海道で農業をやるべきなのか?」メリット・デメリットを踏まえて説明していきます。

結論から言うと、儲かるために北海道で農業を行う必要はありません。

ここまで収入に差があると「北海道で農業をした方がいい」と思うかもしれません。
しかし、いきなり北海道に行って、計画も立てずに農業をすると失敗の原因になります。

まず大前提として「どのくらいの規模で」「何を育てるか」が重要になってきます。

例えば、北海道の気候や土地に適していない農作物を育てても意味がありません。
自分が育てたい農作物があるならばどの地域の気候に適しているかリサーチしなければいけません。

また「どのくらいの規模」で農業をするのか?を考えるのも大切です。
人手が足りないのに大きな土地で農業を始めてもその土地の広さを活かした農業をしなければ意味がありません。

このように計画性を持ちながら北海道で農業をするかどうかを考える必要があります。

北海道で農業をするメリット

北海道で農業をするメリットについて紹介します。

北海道で農業をするメリットは
・農作物を育てやすい気候
・害虫問題が少ない
・広大な土地
・台風の被害をほとんど受けない

が代表的な例になります。

北海道はとにかく多種多様な農作物を育てることに適しています。

ここで紹介するのは北海道にしかない「海流の影響」です。
北海道は太平洋、日本海、オホーツク海の3つの海流に囲まれている特殊な地域です。

なぜ3つの海流に挟まれているといいのか?
北海道は農業地域が4つに分かれています。道央、道南、道東、道北です。

道央、道南では北海道内では比較的温暖な地域だと言われています。
これは道央・道南の沿岸に流れる暖流が影響しています。

次に道東・道北では太平洋の海流、オホーツク海の寒流の影響を受けるため気候が冷涼で農作物が育ちにくいと言われています。なので酪農農業が主流となっています。

こうした北海道内でも気候に差がある為、様々な農作物を場所を選んで育てる事ができるのはメリットと言えます。

北海道で農業をするデメリット

北海道で農業をするメリットは冬を中心にかなりの積雪があることです。
他地域にはない問題ですが酷い時には毎日のようにかなりの積雪が続き農業ができない可能性もあります。

また、ビニールハウスなどで行う施設農業ではビニールハウスが雪に耐えられず壊れてしまうケースもあります。

また、夏でも比較的涼しい為、夏野菜など温かい地域で取れる農作物の農業には適していません。
北海道で農業をする事が必ずしも全て良い方向にいくわけではないので、頭に入れておきましょう。

そしてメリット・デメリットを踏まえて北海道で農業をするか検討しましょう。

まとめ

本記事では、北海道での農業の特徴、儲かるためには北海道で農業をするべきなのか?詳しく解説しました。

地域別に見た農家の収入でも北海道は確かに大きく、儲かっている人も多くいるのは確かです。
しかし、北海道にいって農業をしたからといって必ずしも儲かるわけではありません。

農業をする上で大切なポイントも紹介しましたので、本記事を読んで北海道で農業をする必要があるのか?を参考にしてみてください。

また「みんなで農家さん」というサイトでは農業に関する情報が掲載されています。
地域別に栽培できる作物などの情報も載っており、これからの農業を始める方には参考になるサイトが数多くあります。
まず育てたい農作物を決める段階の方などはぜひ参考にしてみてください。
https://minnadenoukasan.life/

最後までご覧いただきありがとうございました。

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