会社への「就職」と同じように、農家への「就職」というのがあります。
略して「就農」と言います。
近年では、就農に興味のある学生や社会人に向けて、就職先として農業という業界があることを知ってもらうために「農業インターンシップ制度」があります。
実際に、その地域に溶け込んで農業を行うことにより、自身が思っていた農業像と実際の農業像の間にギャップを感じることなく、農業とはどういうものかを身をもって理解することができます。
また、インターンシップと聞くと「大学生」の印象が強いですが「社会人のインターンシップ」と言うのもあり「今の会社を辞めるほど不満はないけれど、ずっとこのままでいいの?」「すぐ転職したいわけではないが、将来に備えて他の会社のことも知っておきたい」今の仕事をしたまま別の「気になる企業」「気になるサービス」に「長期」「短期」「1day」で参加出来る制度で農業インターンシップが終われば、正社員として就農できる可能性もあります。
今回は、社会人の農業インターンシップについて農家が多い県ランキング1位の長野県のインターンシップ受入農業法人の紹介と共にご紹介いたします。
農業インターンシップとは
就職先として農業という業界を知ってもらうことを目的にした、農業法人で就業体験ができる制度です。
学生さんはもちろんですが、求職中の社会人の方へも同様に就業体験の受け入れが行われています。
農業インターンシップでは、先輩社員とともに農業を体験し、仕事に必要なものは何か、自分にはどんな農業が合うのか、現場の体験を通して確認できます。
社会人のインターンシップの目的
農業界へのインターンシップ事業を推進する目的は、新規就農の促進・定着です。農業の課題として真っ先に挙げられるのは「人材不足」ですが、それに拍車をかけている要因の1つに「就農の”ミスマッチ”」があります。
農作物の種類・栽培方法が違うだけでも働き方が変わるのが農業の面白いところですが、やりたい農業のビジョンがあいまいだと理想と現実のギャップが大きくなり、「こんなはずじゃなかった」と後悔して早々にリタイアしてしまいます。農業インターンシップを通して就農前に現場から学んでもらい「こんなはずじゃなかった」という転職のミスマッチを解消し、ゆくゆくは本腰を据えて農業を営んでもらうことを期待しています。
インターンシップの概要
○参加資格○
18歳以上(高校生は要相談)
○体験期間○
・2日以上から6週間まで(1日原則8時間、1週間のうち40時間を超えないよう休日等を設け るよう努めることが定められている)
・連続した期間の体験が不可能な社会人には、土日等に体験日を設定している(週末体験 コース等)
○体験内容○
・作業中にはできるだけ責任者が付き添うことになっている
・単純作業だけではなく、幅広い業務に対応させる内容になっている
○費用○
・参加費は無料
・通いの場合、交通費は体験者負担
・就業体験時の食費・宿泊費は原則として受け入れる先が負担(通いの場合は昼食提供か昼 食費の補助がある。宿泊費は受け入れる先が場所を提供する場合がある)
○報酬○
報酬がある場合と無償の場合がある
- 報酬:仕事への対価として支払われます。雇用契約型の場合は「給与」、業務委託 型の場合は「業務委託料」などと呼びます。
- 謝礼:報酬より金額は少ないことが多く、協力や貢献に対しての感謝の意味合いが 優先されます。
- 経費:参加者が支払った交通費、資料購入費などの金額に応じた支払いです。
長野県インターンシップおススメ5選
”農家が多い県ランキング”で発表された1位の長野県の中から社会人の週末等コースの受入可を選別したおススメ5選をご紹介します。
(本データでの「農家」とは「経営耕地面積が10a(アール)以上の農業を営む世帯または農産物販売金額が年間15万円以上ある世帯)
①(有)アマリファーム
代表者: 甘利 崇雄
所在地: 長野県小諸市塩野
従業員数 28人
経営主作目・事業内容: レタス、キャベツ、ネギ、白菜、野菜の栽培全般、土づくりから出荷まで
経営理念と将来の事業展開・ビジョン :野菜作りより土づくりに重点を置いて農業に取り組んでいる会社です。
提供できる住居 その他:社宅・寮等
食事提供の方法 その他:その他(社食)
採用計画: 有
参加者の目的で重視すること: 農業体験、就職先検討
メッセージ・どんなことを学べるか :野菜の栽培全般・土づくりから出荷まで
②(有)ウッドベルファーム
代表者: 鈴木 三千夫
所在地 :長野県上田市武石小沢根
従業員数: 5人
経営主作目・事業内容: トマト、アスパラ、インゲン、ブドウ、水稲
経営理念と将来の事業展開・ビジョン: 減農薬栽培、観光農園、有機養液栽培
提供できる住居 その他:社宅・寮等
食事提供の方法 その他:自炊(食費補助)
採用計画: 有
参加者の目的で重視すること :農業体験、就職先検討
メッセージ・どんなことを学べるか: 作目が多いのでいろいろな体験が可能です
③農地所有適格法人(有)ワタミファーム(東御農場)
代表者: 門司実
所在地: 長野県東御市
経営主作目・事業内容 :畑作
経営理念と将来の事業展開・ビジョン :未来の食の安全と安心、環境を守るため、生命を循環させ、有機農業を発展させていくこと
提供できる住居 その他:通いのみ受入れ
食事提供の方法 その他:昼食費を受入先で負担
採用計画: 有
参加者の目的で重視すること: 就職先検討
メッセージ・どんなことを学べるか :有機農業の必要性と具体的な営農技術、農業経営について
④(有)永田バイオ研究所
代表者 :永田 栄一
所在地 :長野県須坂市墨坂南
経営主作目・事業内容: りんご、小麦、ソバ、アップルタイザー、キノコ
経営理念と将来の事業展開・ビジョン :未知への挑戦
提供できる住居 その他:経営者宅に間借り
食事提供の方法 その他:基本的には自炊(食材負担)
採用計画: 有
参加者の目的で重視すること :農業体験、就職先検討
メッセージ・どんなことを学べるか :多様な生物、体験を通じての発想力の獲得
⑤(株)マッシュアンドフルーツ
代表者: 大川 明彦
所在地 :長野県上水内郡飯綱町大字赤塩
経営主作目・事業内容: ぶなしめじ、ヒマラヤヒラタケ、りんご、加工トマト、水稲
経営理念と将来の事業展開・ビジョン: 農業後継者または農業従事者の育成と地域での担い手の育成。キノコと露地作物の複合経営と有機物の社内循環。
提供できる住居 その他:社宅・寮等
食事提供の方法 その他:自炊(食費補助)
採用計画 :有
参加者の目的で重視すること :就職先検討
メッセージ・どんなことを学べるか: 農業の魅力とその必要性。農業を通して人間力、コミュニケーション力を高めていきましょう。
今回は長野県のみをご紹介しましたが、農業をはじめる.JPでは「地域から選ぶ」「営業作目から選ぶ」から検索出来るためご希望のインターンシップが見つかるかと思います。
農業をはじめる.JP (TOP→ 体験する→ 農業インターンシップ→受入農業法人一覧)
体験談
農業には興味がある!けど・・・分からないことばかり!
例えば、「お金のこと・働く環境のこと・やりがいのこと」などなど体験者の話を聞くと納得や安心した状態でインターン体験を望む事ができますね。
農業をはじめる.jpでは体験者の紹介を多数投稿していますので参考にしてください。
今回は2名の方をご紹介します。
①社会人 女性
研修先 茨城県 / 作目 畑作野菜
『1ヶ月間という短い期間だったが、自分で体を動かし農作業に携わることができ、本当に良かったと思う。
1つ1つの作業は直接作物の生長に関わる作業で、雑にはできない。集中して行い1日が終わった後には、不思議と頭がスッキリし、気分爽快だった。
また「農作業をやりたいから就農する」という考え方では、農業で生計を立てていくことはできないのだと思った。このような考え方を身につけられたのは、自分が将来就農する時に大きなポイントとなると思う。
今はより具体的に「農業で生計を立てるために今何を学ぶべきか」が見えてきた。そして、やはり農業をやりたいという思いを強くすることが出来た。とても有意義で貴重な1ヶ月間であったと思う。私を快く受け入れ、色々なことを教えてくれた研修先の方々に深く感謝したい。』
②社会人 男性
研修先 千葉県 / 作目 畑作野菜
『2週間の農業体験で3軒の農家さんを回ることが出来た。
これからの農業は情報収集、アイデアを出し、オリジナリティーを発揮して地域を越えた人間的繋がりを築き、大切にすることだと学んだ。それは他の企業経営と何ら変わらないことだと思った。ただ作物を作る知識・技術だけではなく、流通や経営戦略を学び、人に慕われる人間づくりが必要だと思う。これからの農業のあり方は農家に生まれた人たちだけが農業をするのではなく、農業の役割、重要性に気づき、農業を楽しめる人たちがチームを組み、かっこいい農業をする時代だと思う。
この体験で農家さんと親しくなり、インターンシップ終了の挨拶に行ったときに「いつでも遊びに来い」と言われたときに「インターンシップやって良かった」と再認識した。』
引用:農業をはじめる.jp
まとめ
農林水産省によると、国内の自営の基幹的農業従事者は、2020年で約136万人と、5年前の175万人から約40万人減り、減少に歯止めがかかっていない。就業者の平均年齢は67.8歳で、65歳以上の割合が約7割を占めるなど高齢化も進んでいる。と発表しているため若者の就農への意識はありがたいことですね。
またご紹介した長野県は2020年の総農家数は8万9786戸、全国に占める割合は5.1%です。経営耕地面積が30アール未満かつ農産物販売金額が年間50万円未満の「自給的農家」の割合が高いのが大きな特徴の県です。
他の県も魅力がたくさんありますので、是非ともインターンシップを活用して農業界での就業へ近付く大きな一歩とし、たくさんの方が先輩農家さんと協力しあって夢を叶えてもらえるきっかけになれば幸いです。
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