農業といえば皆さんはまずは何をイメージするでしょうか?
多くの人は稲作などの米をイメージしませんか。
他にも果樹園や肉などの畜産農家などをイメージする人もいるかと思いますが、私たち日本人の主食は米といったイメージが強いので農業と聞くとまず米農家が頭に来るかと思います。
日本は昔から日本食として『和食』が一般的です。
そのため『和食』では米と汁物そしておかずといった定食スタイルが昔からあります。
しかし、現在は海外の文化が入ってきているため洋食などのスタイルが多くなってきています。
この食文化の変化によって米についても昔と現在では大きく変化が起きています。
それは米の消費量が減少していること、米農家が衰退していることです。
食文化の変化でなぜ米の消費量が変化し、米農家が衰退しているのでしょうか。
これはメインが変化してきているからです。
この記事では現在の米の関わる現状と米農家の衰退について紹介していきます。
普段から食べている米についてどんな変化が起きているのか、なぜ米農家が衰退しているのか、これらを知って頂き農業に少しでも興味を持っていただければと思います。
ぜひ最後まで一読ください。
米の現状
私たち日本人は昔から米を食べる文化があります。
そのため、米の生産のために米農家も多く存在しています。
米のブランドもコシヒカリやひとめぼれ等様々な米のブランドが存在するほどです。
しかし、近年では米の消費が減少してきています。
これはなぜなのか。
結論からいえば食文化が変化したからです。
現代の私たちにはすでに当たり前のように浸透しているので違和感を感じることはないですが、外食するために外で食べる時や自炊する場合でも和食以外の物を食することが多くなっているのではないでしょうか。
例えばパスタや、ステーキ、ハンバーグ、餃子など一般的に好きと言われる物の多くは海外の洋食や、中華、韓国料理などが最近では好きな食べ物として挙げられます。
このように食文化が変化してきたことによって米の需要が減少して昔と比較して米の消費量が減少してきました。
また、米農家も減少してきています。
これは米農家だけではなく農業業界全体に言えることですが少子高齢化や担い手不足によって業界全体が衰退傾向にあります。
それではここからはそれぞれについて詳しく紹介していきます。
日本の食料自給率
米の変化について触れていく前に日本の食料自給率についても紹介していきます。
これは米の変化と非常に近しい関係にあるため知っておく必要があります。
まず食文化の変化によって米の消費量が減少してきていることは紹介しましたが、この食文化の変化によって国産物の農作物を供給することがうまくできなかったために国内の食料自給率は戦後から大幅に減少しました。
食料自給率が昭和40年では73%でしたが令和には35%まで低下しています。
この数値は先進国の中でもかなり低い数値になっています。
また、国内で自給可能な米の消費量が大幅に減少している中で、飼料などの穀物は輸入に依存しているため輸入の量が増加し消費量も大幅に増加している傾向にあります。
食料自給率が低いということは何を示しているのか。
これは国内の生産では需要に対して補えないことを示している他に国内の貯蔵性が低いことも表しています。
農産物は、まずは国内の消費に当てられることが基本です。
そこで余剰として残っている物が貿易つまり輸出に回されます。
食料自給率が低いということは単純に輸出するだけの物がない。
国内での貯蔵性も低いことになります。
米の消費量が減少して農家も衰退している。
さらには食料自給率も低下している。
日本は先進国でありながらも非常に危うい状況であることがわかります。
米の需要状況
次に米の需要がどれくらい変化してきているのかについて紹介していきます。
一人当たりの米の年間消費量のピークは昭和37年ごろで米の消費量は118.3kgです。
ここから現在はピークの約半分まで消費量が減少しています。
つまり一人当たりの消費量は59.15kgです。
引用元資料:農林水産省「食料需給表」
需要の減少を受けて、水稲の生産量も大きく減少しています。
昭和42年ごろには1426万tの収穫量がありましたが、平成18年ごろには収穫量は850万t程度まで減少しています。
米の消費量は今後もどんどん減少していくことが予想されています。
現に農林水産省では、公表している一人当たりの米の消費量の推移としては下記のグラフのようになっています。
一人当たり米消費量の推移
引用元資料:農林水産省「食料需給表」
このように食文化の変化から米の需要も低下してきていることから消費量も著しく低下していることがわかり、収穫量もそれに比例するように減少していることがわかります。
米生産の状況
米の消費量が減少していることを紹介してきました。
次に米の生産状況がどうなのかについて紹介していきます。
それではまずは、夏期における田本地利用状況について見ていきましょう。
引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/study/kome_sys/01/pdf/data03.pdf
グラフをみていただくとわかりますが、水稲作付田は夏期における利用状況が減少傾向であることがわかります。
逆にそれ以外の作物についてはそこまで変動していません。
この夏期のシーズンに水稲作付田が減少していることからもわかるように米の生産は減少しています。
また、米の生産が減少していることによってそれに合わせて耕作地面積も減少しています。
昭和60年ごろでは耕作放棄地面積は約13万haでほとんど横ばい状態でした。
しかし、平成にはいった頃から増加傾向になり、平成17年には38.6万ha となり、昭和から平成にかけて約3倍もの耕作放棄地が増加しています。
農振農用地区域内に平成18年で15.3万haもあります。
ここで米を生産している農家の所得がどれくらいなのかについてもせっかくなので紹介いたします。
水田作経営農家の農業所得が500万円を超えるのは10〜15ha層、700万円を超えるのは15〜20ha層、 1,000万を超えるのは20ha以上層となっています。
日本の平均年収が約430万の中で平均年収を超えてくるにはやはり規模がそれなりにないと農業では難しいことがわかります。
また、米の需要が減少していることからも今回紹介した農業所得も今後減少することも考えられるのであくまでも目安としてください。
担い手不足と高齢化
米の需要が減少、生産も減少している中で農業業界も衰退し、産業としてほとんどが減少傾向にあります。
米の需要と生産についてはここまで触れてきましたが、業界が衰退している原因は一体なんなのでしょうか。
これは担い手不足と高齢化による問題です。
農業業界に限ったことではないですが、少子高齢化による影響は非常に大きな問題になっています。
どの業界でも人手不足は問題ですが、「農業は我が国で欠かせない産業の一つ」と農林水産省が公表しているほど重要な産業の一つです。
それでは担い手が不足して高齢化が今後も進んでいくとどうなるでしょうか。
単純に農業の技術を継承していくことができなくなります。
つまり、農業の持続ができない地域が増加していくことになります。
そこで農林水産省ではこの状況を打破するために新規就農者を確保するための取り組みを行っています。
また、これに合わせて耕作放棄農地を集積、集約する仕組みとして「農地バンク」の設立なども並行して行っています。
農地バンク
農地バンクは2014年に設立され、農地の分散状態から耕作放棄土地などをまとめる仕組みによって担い手などに農地を提供することができるようになりました。
結果として、2014年(平成26年)以降、担い手への農地の集積面積は、再び上昇に転じ、2018年度(平成30年度)は3.1万ha 増加し、そのシェアは56.2%となりました。
農地の更なる集積・集約化を進めるため、農地バンク法等の改正(施行5年後見直し)を実施もされています。
農地バンク法施行5年後見直しの内容としては、
1、地域の関係者が一体となった人・農地プラン(地域農業の将来の設計図)の実質化
2、 農地バンクの手続簡素化や農地の集積・集約化を支援する体制の統合一体化
3、中山間地域における対応の強化
農地バンクは農業業界が衰退して使用されなくなった土地をそのままにしないで、必要な人や担い手に繋げることができるため非常に有効な仕組みです。
実際に結果としても出ていますので、さらなる向上によって土地がないために新規参入できない人がへり少しでも担い手確保に繋がることが期待できます。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/study/attach/pdf/tochi_kentokai-1.pdf
まとめ
私たち日本人の主食でもあった米が食文化の変化によって需要が減少してきています。
和食が中心だった時期から洋食や、中華、韓国、欧米などの文化が日本でも浸透するようになり、米よりも肉の消費が圧倒的に増加しています。
生産についても需要が減少してきたことにより夏期の時期に水稲作付田が減少しています。
このように米の消費量が減少して需要が減少したことにより必然的に生産も減少していることになります。
また、農業業界は高齢化が著しく担い手が不足していることからも耕作放棄土地も増加しています。
農業は我が国で欠かせない産業の一つですので、このまま衰退させるわけにはいきません。
食料自給率の向上も目指す必要がある中で米農家の減少は非常に問題です。
農林水産省では新規就農者の確保のために色々な政策を実施しています。
しかし、現在5年以内に離農してしまう人が3割いるためまだまだ定着して従事者が増加しているわけではありません。
私たちの主食でもある米の需要が減少していても米を食することがなくなることはありません。
国内での生産ができなくなれば輸入することになってしまいますが、国内の美味しい米をこれからも継続して食せるように米農家の現状については今後も注目してみていく必要ああります。
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