家畜を飼育するために欠かせない物それは飼料です。
現在世界情勢の影響で飼料の値段が高騰しています。
なぜ、高騰しているのか。それはトウモロコシや稲などの需要と供給が世界的に不足するようになっているからです。
一番の原因は皆さんご存知のロシアとウクライナ戦争による影響です。
飼料の元になるトウモロコシなどの輸出の大きな部分を占めていたため、戦争に発展後輸出が行われなくなり元々輸入をしていた各国では飼料の材料を輸入することが出来なくなりました。
しかし、何も海外からの飼料が全てではありません。
日本でも昔から飼料として使われていた米について今回は着目して紹介していきたいと思います。
私たちの食生活に欠かせない存在のお米が畜産の飼料としてどのように活用されているのか。米の飼料はどうなのか。
気になることはたくさんあると思います。
この記事を通して少しでも米の活用と飼料について知っていただければと思います。
最後まで一読してみてください。
そもそもなぜ米を飼料として使うのか
米は昔から日本人の主食として食されてきました。
しかし、食生活の変化や少子高齢化によって米の消費量は減少傾向にあります。
米の消費量のピークは昭和37年です。
米の年間一人当たりの消費量の推移としては118.3kgもありました。
その後、グローバル化の影響による食生活の変化や少子高齢化による影響もあり昭和37年から毎年約8万tも減少しています。
つまり、50年の間に消費量はやく半分程度になっているということです。
そのため、この減少傾向に合わせて米の生産を減少していくとどうなるでしょうか。
需要と供給のバランスは確かに保つことができるかもしれません。
その反面日本農業は衰退していくことになります。
米農業が衰退していくということは、水田を持つ「日本の環境や国土を守る」という重要な機能を失っていくことになります。
そこで水田などの減少を防ぐために食用の米から飼料用の米も生産することで水田機能の維持や農家の経営維持を図ろうとしています。
これによって水田を最大限に活用することができます。
家畜の飼料は基本的にトウモロコシが主体となっています。
冒頭でも書きましたがこの飼料のほとんどは(9割)は輸入に頼っています。
そのため、海外の穀物需給や為替相場の変動によって価格に影響をうけてしまいます。
現に今は戦争によって価格が高騰して畜産農家は大きなダメージを受けています。
この米を飼料として利用することで純国産飼料の活用は飼料問題の解決になる可能性があります。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/brand.html
飼料用米と普段のお米に違いはあるのか
飼料用の米だろうと食用の米だとしても米であることに違いはありません。
しかし、用途が違うため厳密にいえば多少の違いはあります。
飼料用の米はあくまでも家畜が食べるためのエサであるため、いかに効率よく利用するかが重要になってきます。
そのため、飼料用の米として生産するためにそれに合わせた品種飼料を行っています。
飼料用の米の特徴3つ
1、大量に収穫することができる
2、食用の米のようなおいしさよりも栄養を重視
3、手間をかけずに成長する
飼料用に品種改良された米は上記のような3つの特徴があります。
これらはあくまでも家畜の飼料として生産する中で水田を最大限に活用して効率よく生産していくためです。
では、食用の米とどれくらい違うのか説明していきます。
1、大量に収穫することができる
飼料用の米は食用の米と比較して茎葉や稲穂が大きく食用の米に比べ大量に収穫することができます。
品種飼料された物にもよりますが、10アールあたりで1000kgを超える収穫ができる品種があるほどです。
そのため、家畜飼料として大量に生産することが現在でも可能な状況です。
2、食用の米のようなおいしさよりも栄養を重視
飼料用の米は人が普段食べている米に比べると美味しくはありません。
あくまでも家畜を育てるために家畜の成長に必要なタンパク質を多く含むように品種飼料されているためです。
しかし、人にとっては美味しくはありませんが家畜にとっては嗜好性は高く喜んで食べます。
米として物は同じでも用途が違うためこのように人にとっては美味しさを感じないなどの違いはあります。
3、手間をかけずに成長する
家畜の飼料は大量に生産して収穫を行う必要があります。
そのためには、コストは可能な限りやすく、手間暇を減少させていく必要があります。
品種飼料のおかげもあり茎葉や稲穂が大きく倒れにくく、病害虫に強いことが特徴で飼料用の米が重宝されています。
参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/brand.html
米の活用方法
それでは実際に飼料の米の活用方法にはどんなものがあるのでしょうか。
大きく分けて3つの種類があります。
1、米ぬかの利用
2、精米の利用
3、米の発酵飼料
大きな分類とするとこの3つになります。
それぞれに特徴があるため、それについてここからは説明していきます。
米ぬかの利用
米ぬかは、米の精米過程で取り除かれる外側の部分です。
この米ぬかには栄養価が豊富に含まれており、畜産業界では飼料として積極的に活用されています。
米ぬかは鶏の飼料として使用されることが多く、エネルギー源や脂肪分の補給に役立っています。
また、米ぬかは食物繊維も多く含んでおり、消化促進や腸内環境の改善にも役立ちます。
精米の利用
精米された米も畜産業界で飼料として使用されています。
精米は主に牛や馬の飼料として活用され、エネルギー源として重要な役割を果たしています。
米は炭水化物やタンパク質を豊富に含んでおり、畜産動物の成長や体力維持に必要な栄養素を提供します。
体の大きい牛や馬にはタンパク質などの成分が豊富なほど成長が促進される傾向にあるため精米を飼料として利用することが多くなります。
米の発酵飼料
米ぬか、精米の飼料以外に米を発酵させて作られる飼料もあります。
代表的なのは「米糠酒粕」と呼ばれる飼料で、米糠と酒粕を混ぜて発酵させたものです。
補給に利用され、消化吸収率の向上や腸内環境の改善に効果的です。
また、酵素の働きによって栄養素の吸収が促進されるため、畜産動物の健康管理にも最適です。
米糠酒粕は飼料として一定量与えることで、家畜の健康維持や生産性向上に役立ちますが、与える際には以下の点に注意が必要です。
過剰な量を与えないようにする。
粗たんぱく質が多いため、消化不良を引き起こすことがあるので、適量を与える。
酒粕の成分は過剰に与えてしまうと牛乳や肉の味や品質に影響を与えることがあるため注意が必要となります。
米の栄養価と安全性: 米は主食として世界中で広く消費されている食材です。そのため、品質管理や安全性への取り組みも重要です。畜産業界では、安全な飼料の供給を確保するためまた、遺伝子組み換え米の使用は厳しく制限されており、安心・安全な飼料として畜産動物に提供されています。
飼料用米のデメリット
飼料用米にももちろんデメリットもあります。
デメリットとしては大きく分けて3つあります。
1、栄養価の低下
2、食品供給の低下
3、輸送コストの増加
この3つの内容についどんなんことがデメリットになっているのか説明していきます。
1、栄養価の低下
飼料用米は、人間の食用米と比較して栄養価が低くなる可能性があります。
飼料用米は、主に家畜の餌として使用されるため、栄養バランスが異なります。
食用の米と違い大量に生産できるように品種飼料をされているため、コストや手間暇を削減しているため飼料用の米は栄養価のバランスを調整するのが要は難しいのです。
2、食品供給の減少
飼料用米の生産が増加すると、食品用の米の供給量が減少する可能性があります。
飼料用米への転換によって、主食米の生産量が抑制されることがあるため、一部の地域での米の生産や供給に影響を及ぼす可能性があります。
国内の米の消費量が減少しているのは間違いないですが、食用の米の生産が減少することはよくありません。
飼料として米を活用するのは有効ですが、水田を持つ「日本の環境や国土を守る」という点から飼料としての利用をしているためバランスを崩してはいけません。
3、輸送コストの増加
飼料用米は、家畜飼料として使用されるため、一部の地域では需要が高まります。
そのため、飼料用米の需要を満たすためには、生産地からの輸送が必要になる場合があります。輸送にはコストとエネルギーがかかるため、飼料用米の需要に応じて輸送コストが増加します。
飼料用の米の生産を行っている場所が畜産農家の近くであればそこまでのコストがかかることはありません。
しかし、必要としている量と生産している場所からの供給が満たせなければ、どうしても違う場所から仕入れるしかありません。
現在の海外からの飼料の高騰により米飼料の需要が高まりつつありますが、こういた需要と供給の点から次は輸送費用の高騰が考えられます。
まとめ
畜産業界における米の活用方法についてご紹介しました。
米ぬかや米精米、発酵飼料としての利用など、米は畜産の飼料として幅広く活用されています。
品質を確保するための管理が徹底されており、安心して畜産動物に配慮することができます。
今後は、持続可能な畜産産業の発展にも取り組むことが期待されています。
日本は輸入がメインとなっている国のため海外の情勢の影響を非常に強く受ける形になります。
今回の飼料の高騰による農家のダメージは経営が困難になるほど深刻です。
水田を少しでも利用するために米の飼料生産は非常に有効な活用方法ですが、日本の食料自給率を高めることには繋がりません。
食用と飼料の米の生産についてはバランスよく生産して活用していくことが大事になります。
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