【自分で発明!】歴史から学ぶ新品種の発明

最近のスーパーなどで買うことができる野菜は、
ほとんどが雑種強勢を利用した
F1(一代品種、ハイブリット)品種に変わっています!!

その背景には多収で収穫時期が早くなり
しかも強健で斉一性にもすぐれ、作りやすい等があります。

そんなF1品種はいつ誕生したのか?

という事で本記事では
交配の種類や固定種との違い

そしてF1品種について詳しく触れていきます。

所要時間:7分

新品種の歴史

野菜のF1品種を日本で最初に作ったのは、
埼玉県農事試験場の柿崎洋一と言われています。

大正11年(1922)、当時浦和町(現在のさいたま市浦和区)にあった

埼玉農事試験場に園芸部主任技師として赴任した柿崎は、
ここで各地のナス24品種を組み合わせたF1品種の育成をはじめました。

ナスは花が大きいため除雄・交配がしやすい。
1果当たりの採取量も多い。

柿崎は、そこに目をつけF1品種の育成をはじめました。

柿崎は、41組み合わせの雑種を作り、この中から初収期が早く、
顕著な増収効果が認められた2組合せを選抜しました。

大正13年(1924)にはこれを、「浦和交配1号(白茄×真黒)」

「浦和交配2号(巾着×真黒)」別名「玉交」、「埼交」と名づけ
農家の栽培に供している。

4年後の昭和3年(1928)には30ヘクタールほどが栽培されていたそうで、

農家に「柿崎ナス」と呼ばれ、好評だったと言われています。

野菜のF1品種でこそ、柿崎ナスと言われていますが、

実は、F1品種の育成では、すでに我が国の外山亀太郎による蚕品種で
世界に誇る先例があります。

◆外山亀太郎

明治大正期の遺伝学者、蚕種改良家。

蚕を用いて世界で初めて動物でメンデルの法則を確認した。

メンデルの法則とは、1865年にグレゴール・ヨハン・メンデルが発表した法則で、

「優劣の法則」「分離の法則」「独立の法則」の3つがある。

メンデルはエンドウ豆を使った交雑実験
(別の種や品種のオスとメスを交配させること、異種交配ともいう)
を繰り返し行い、その結果からこの法則を見つけました。

ここでは深く触れませんが、

F1品種はメンデルの法則の「優劣の法則」を利用することによって

品種改良を行った雑種第一代のタネのことで、

大きさや形状が均一な野菜の生産を可能にすると共に、
雑種強勢の効果によって病害虫への耐性などの強さを兼ね備えています。

埼玉県農試のF1品種育成を契機に、各府県の農事試験場でも
ナス・スイカ・キュウリなどのF1品種がつぎつぎ育成されましたが、

これからだという時に戦争が激化し、定着をみることなく中断されてしまいました。

作物では、アメリカでトウモロコシのF1品種がこの頃すでに

実用化されていましたが、戦後、野菜のF1品種は世界中で急増しました

その先駆けとなったのが柿崎の研究です。

交配の種類(品種改良の方法)

品種改良とは、
いろいろな性質のものの中から目的に合ったものを選び出すことです。

品種改良の第一歩は、まずいろいろな性質のものを創り出すことです。

ここではお米を例に品種改良の方法を説明します。

分離育種法

自然にできた「変わりダネ」から良いものを選んで新しい品種にする方法です。

明治時代までは熱心な農家が、
自分の田んぼで見つけた変わったイネを増やして植えていました。

このようにして少しずつ改良されたイネが生まれていきました。

交雑育種法

自然にできる「変わりダネ」はそんなに多くないし、
目的に合ったものばかりではありません。

選びたい性質をもっとたくさん、人の手で出すことができれば、

良い品種がたくさん早く生まれる可能性が高くなります。

人の手で変異を出す方法のうち一番使われている方法が「かけあわせ」です。

例えば、
寒さに弱いけれども美味しい品種と、

寒さには強いけれども美味しくない品種があるとします。

どちらの品種も実際に作るにはよくありません。

美味しくて寒さに強い品種があればいいわけですが、

それにはこの2つの品種をかけあわせて、その子どもたちの中から、
美味しくて寒さにも強い品種を選んでいけばいいわけです。

イネの場合、普通は自家受粉といって1つ1つの花が自分のめしべに

自分のおしべの花粉をつけて実をつけます。

けれども、
イネが自分のおしべの花粉をつけてしまう前におしべをとってしまうか、

またはお湯につけて花粉をダメにして、めしべだけを生かしておきます。

そこに別の品種の花粉を持ってきてつけるとその花粉でも実をつけます。

そして実ったタネは、めしべの品種の性質と、
花粉の品種の性質を組み合わせたイネになります。

このように、今のイネの品種のほとんどはこの交雑育種法で生まれた品種です

放射線育種法

その名の通り、イネに放射線をあてて「変わりダネ」を創り出す方法です。

葯培養(やくばいよう)

まだ「稲穂」が出る前のイネの葯(おしべの花粉が入った袋のこと)を、

試験管の中の栄養分が入った寒天で育てる
バイオテクノロジーという技術の一つです。

出てきた性質が安定しているので、交雑育種の中で固定するまでの期間を短くできます。

交雑育種のものより2年くらい早く品種になれます。

プロトプラスト培養

細胞の一番外側の細胞壁をとって、裸にした細胞を「プロトプラスト」といいます。

この裸にした細胞を育てて「変わりダネ」を創り出す方法です。

遺伝子組換え技術

ある決まった性質に関係している、たった1個の遺伝子を入れて

変えたい性質だけを変える方法です。

最近はイネでも盛んに研究されています。

F1種と固定種の違い

ここでF1種と固定種の違いについても触れておきます。

F1種の特徴

F1種は、「雑種第一代」や「ハイブリッド」とも呼ばれ

優良な形質を持った異なる親を交配して作られた品種のことを指します。

スーパーなどで売られている野菜のほとんどがF1品種です。

発芽や生育が揃いやすいため一度に収穫することが可能で、

耐病性を持った品種の栽培や野菜のクセをなくして一般受けしやすい野菜を

栽培することができるなど、メリットが多いため多くの生産者がF1を利用しています。

しかしF1種からできた種を採種しても同じ形質の野菜を栽培することができない
という特徴があるため、自家採種をしたい方には向きません。

固定種の特徴

固定種は、自家採種によって植物が持つ形質が受け継がれた品種のことを指します。

固定種は遺伝的多様性を有しているため、形や収穫時期にバラつきがあったり、
F1種と比べると味や形などが不揃いで個性的なものが多いのが特徴です。

日本各地で栽培されている伝統野菜と呼ばれるものは、固定種であることが多いです。

固定種は、その土地で生きていくために必要な遺伝情報を

保有するという特徴を持っています。

自家採種を続けることでその土地に適応するため、
環境適応能力が高い種であると言えます。

また親と同じ形質を持った種ができるので自家採種をしたい方に向いています。

前述した通り、形質にバラつきがあるので大量生産には向きませんが、

育てている国や風土に適した固定種は種子の自給や保存といった面で
大きな役割を果たしていると言えます。

F1種も固定種もそれぞれにメリット・デメリットがあるということが
おわかりいただけたと思います。

現在安定した食糧供給が行えているのはF1種のおかげとも言えますね。

自分で発明するには?

結論、『親となる2つの品種を掛け合わせる』とできます。

つまり、ある品種のめしべに、異なった品種のおしべの花粉をつけるだけです。

言葉にするのは簡単ですが、実際には時間と労力がかかります。

分かりやすく、りんごを例にあげて解説していきます。

ここでは交雑育種の方法で行っていきます。

1.作りたいりんごのイメージを決める

「こういう見た目や味がいいな」、「収穫時期はこれくらいにしたいな」等

2.イメージしたりんごに似ているりんごの品種を選び交配(めしべに花粉をつける)する。

3.交配してできたりんごから種を取り出します。

4.その種を植えて育てます。

5.木ごとに違う特徴を持ったりんごがなります。

   例えば、1個のりんごから取った10粒の種を蒔いて育てると、

   10本の木にはそれぞれ特徴の違うりんごがなります。

   赤いりんごがなる木、黄色いりんごがなる木、 味も甘かったり酸っぱかったり様々です。

6.これらの中から、新品種として育てたいものを選んでいきます。

   りんごの見た目や味の他にも、農家さんが栽培しやすいか、病気にかかりにくいか

   など、色々な条件を考えて慎重に選んでいきます。

7.新品種が誕生

新しい品種になれるのは5000粒の種を蒔いても1つあるかないか。

なのでたくさんの木を育てなければならず、とっても手間がかかるのです。

それから、新品種を作るには20年以上の長い年月がかかります。

例えば、
青森県のりんご研究所で育成された「紅はつみ」という新品種は、

平成30年に品種登録されましたが、品種改良が始まったのは平成4年です。

品種登録まで26年もかかっています

りんごの品種改良をするときは、20年後の気候、消費者がその時

どんなりんごの味や見た目を好むようになっているかまで

考える必要があると言えそうです。

今回はりんごが例でしたが、一番メジャーな交雑育種で新しい品種を作るには

7年から20年の年月が必要と言えます。

まとめ

品種改良は、時代とともに変化してきた私たちの身の回りのものに
置き換えると分かりやすいですね。

・固定電話から携帯電話へ

・ガス台から電波調理器へ

・ろうそくからLEDへ

・馬車から自動車や電車へ

・和服から洋服へ

・わらじから靴へ

等々、少し考えたらいくらでも出てきます。

品種改良を言い換えれば

「人類の暮らしを快適にするための知恵の結晶」とも言えると思います。

いかがでしたでしょうか?

結論、品種改良を独自で行うのは簡単ではありません。

ですが、
メンデルの法則を理解したうえで交配を重ね、

ある程度狙った遺伝形質を表現できるようになると

また違った世界が見えてくるので興味を持った方は

ぜひ品種改良に挑戦してみてくださいね!!

という事で
最後に

これから農業を始めたい!始めたばかり!という方には

<みんなで農家さん>では農業にまつわる様々な情報はもちろん
「新規就農者へのサポート」にも取り組んでおりますので

是非、ご一読されてみてください。

ご自身の理想の農業ライフを手に入れましょう。
それでは、
ご精読ありがとうございました!

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