農家の販路を拡大するには、仲卸業者の活用が有効な手段です。
しかし、仲卸業者の役割や仕事内容を理解することが大切といえます。
また、卸売業者との違いも把握しておくことが必要です。
本記事は、仲卸業者とは?役割から卸売業者との違いまでわかりやすく解説します。
農家が仲卸業者を利用するメリット・デメリットを紹介しますので、販路拡大を考えている農家さんの方は参考にしてください。
仲卸業者とは?
仲卸業者とは、商品を生産者と供給業者と消費者や小売業者との間で取引する中間業者です。
ここでは、仲卸業者について詳しく解説しますので参考にしてください。
仲卸業者が持つ必要な役割
仲卸業者は需要と供給の間に位置し、市場での商品の流通を効率的に管理する役割です。
需要予測や存在管理を行い、需要が低い時期には在庫を抑えるなど、市場の変動に対応します。
どんな仕事内容なの?
仲卸業者の仕事内容は、農産物や食品を生産者から購入し、小売業者や飲食店などの顧客に販売する役割です。
仲卸業者の仕事内容は下記の通り挙げられます。
- 仕入れ
- 品質管理
- 在庫管理
- 配送
- 販売
- 顧客サポート
仲卸業者は、農産物や食品を生産者から直接仕入れます。
仕入れた農産物や商品の鮮度、外観、安全性など品質を管理します。
在庫管理や小売業者や飲食店に届けるのも仕事内容です。
商品の需要を把握し、商品の宣伝をしたり、顧客サポートしたりするなど顧客の要求やニーズに対応します。
仲卸業者数は減少している
農林水産省の「卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化」によると、仲卸業者は年々減少傾向です。
平成16年度 | 平成20年度 | 平成24年度 | |
---|---|---|---|
青果 | 1,978 | 1,677 | 1,498 |
水産 | 2,889 | 2,536 | 2,193 |
食肉 | 91 | 80 | 79 |
花き | 104 | 102 | 88 |
仲卸業者が減少している理由は、農業の構造が変化していることが考えられます。
農業の産業構造が大規模化や農業生産の集約化が進んでおり、生産者と直接取引など仲卸業者を経由しない流通ルートが増えている可能性があります。
また、直接取引もインターネットのECサイトの普及などで生産者と小売業者が直接的な取引が容易になったことが、仲卸業者が減少している原因です。
仲卸業者と卸売業者の違いとは?
仲卸業者と卸売業者は、両者とも商品の流通に関わる役割を果たしますが、その違いが存在します。
項目 | 仲卸業者 | 卸売業者 |
---|---|---|
主な取引相手 | 生産者(農家) | 小売業者 |
仕入れ先 | 生産者から直接仕入れ | 多岐にわたる仕入れ先 |
取り扱う商品範囲 | 農産物や水産物に特化 | 多岐にわたる商品 |
専門知識 | 品質管理や物流調整に特化 | 在庫管理や物流に特化 |
役割 | 生産者から商品を仕入れ市場に供給 | 商品を大量に仕入れ、小売業者に供給 |
仲卸業者は特定の農産物や水産物に特化し、生産者から直接仕入れた商品を市場に供給する役割です。
一方で、卸売業者は広範な商品を取り扱い、小売業者に対して商品を供給する役割を担っています。
農家が仲卸業者を利用するメリット
ここでは、農家が仲卸業者を利用するメリットを紹介しますので、参考にしてください。
農家の生産量が最適化できる
農家が仲卸業者を利用するメリットとして、農家の生産量の最適化ができることが挙げられます。
仲卸業者は市場の需要と供給のバランスを取りながら、農産物を農家から仕入れるからです。
農家は生産に専念し、生産能力の向上に力を注ぐことができます。
また、仲卸業者は市場での需要を把握し、マーケットの需要に応じて農産物を仕入れます。
そのため、農家は余剰生産や廃棄物を最小限に抑えられ、コスト削減に繋がるでしょう。
マーケット市場の拡大できる
農家が仲卸業者を利用するメリットとして、マーケット市場の拡大が挙げられます。
仲卸業者は広範な顧客ネットワークや独自の販路を持っており、農産物を小売業者や飲食店に供給できるからです。
農家が仲卸業者を介して農産物を提供することで、自身のマーケット範囲が拡大し、新規顧客獲得にもつながります。
農家は、仲卸業者を利用することで、自身の農産物や商品をより多くの市場に届けることができ、売上や収益拡大が見込めます。
品質管理とマーケティングを支援してくれる
農家が仲卸業者を利用するメリットとして、品質管理とマーケティングを支援してくれることが挙げられます。
仲卸業者は、農産物や食品の品質管理に専門知識を持っており、生産者から仕入れた農産物の品質を確保するからです。
農家が提供した農産物の鮮度や外観、安全性などの品質基準を厳密に管理し、適切な取扱いを行います。
農家は自身の生産に専念できるため、品質管理を行う作業負担の軽減が可能です。
また、仲卸業者は市場の需要やトレンドを把握しています。
マーケティング活動を通じて、農産物やプロモーションや販売促進を行います。
農家は仲卸業者のマーケティングノウハウや販売チャネルを活用することで、より効果的なマーケティンが実現できるでしょう。
配送の効率化ができる
農業が仲卸業者を利用するメリットとして、配送の効率化ができることが挙げられます。
仲卸業者は物流や配送に関するノウハウを持っているからです。
仲卸業者は、複数の農家や生産者から商品を仕入れ、まとめて配送できます。
農家が個々で独自に配送を行う場合よりも効率的な物流が実現できます。
仲卸業者の物流ノウハウと配送網を活用することで、農家はスムーズな流通と顧客への迅速な納品を実現し、競争力が高められるでしょう。
リスク分散される
農業が仲卸業者を利用するメリットとして、リスク分散されることが挙げられます。
仲卸業者は一部のリスクを引き受けてくれるからです。
例えば、商品の品質問題や販売不振に関するリスクを仲卸業者が負担する場合があります。
仲卸業者は販売戦略やマーケティング活動を調整し、販売状況を改善する努力をします。
農家は販売に関するリスクを仲卸業者に委ねることで、生産に集中できるでしょう。
農家が仲卸業者を利用するデメリット
ここでは、農家が仲卸業者を利用するデメリットを紹介しますので、参考にしてください。
利益が少なくなる
農業が仲卸業者を利用するデメリットとして、利益が少なることが挙げられます。
仲卸業者との取引には、農家が仲介手数料や手数料を支払う必要があるからです。
仲卸業者が農産物の販売や流通に関与することで、サービス料として課金される場合があります。
また、市場の需要に応じて農産物の販売価格を調整するかもしれません。
例えば、需要が低迷している場合や市場価格が下落していると、仲卸業者は販売価格を下げる可能性があります。
そのため、農業が仲卸業者を利用することで、利益が減少するため、事前に取引条件などを確認しておきましょう。
依存関係になる可能性がある
農業で仲卸業者を利用するデメリットとして、依存関係になる可能性があります。
一つのパートナーに依存することで、リスクが集中し、ビジネスの安定性に懸念を生じるからです。
たとえば、仲卸業者が経営上の問題や変化を抱えた場合、農家はその影響を直接受ける可能性があります。
また、仲卸業者との取引において、特定の契約条件や取引ルールに従わなければならない場合もあります。
農家は仲卸業者の要求や取引条件に従う必要があり、自身の農産物の販売戦略や価格設定の自由度が制約されるかもしれません。
農家が仲卸業者を利用する際は、依存関係のリスクを考慮して検討する必要があります。
品質管理の失敗が生じる場合もある
農業で仲卸業者を利用するデメリットとして、品質管理の失敗が生じる場合が挙げられます。
仲卸業者が農産物を取り扱う際に品質管理の不備や品質基準のズレが生じるからです。
例えば、農産物の品質が劣化したり、異物が混入したりする可能性があります。
仲卸業者との間で品質基準や品質管理の認識に差異が生じると、農産物の品質や安全性に関する信頼性が損なわれるかもしれません。
その結果、市場での評判や需要が減少する可能性もあります。
農家が仲卸業者を利用する際は、品質管理について明確な基準を確認しておくことが重要です。
また、農家自身も品質管理に対する取り組みを強化し、自ら責任も果たすことが求められます。
農家が仲卸業者を探す方法
ここでは、農家が仲卸業者を探す方法を紹介しますので、参考にしてください。
イベントや展示会に参加する
農家が仲卸業者を探す方法として、イベントや展示会に参加することが挙げられます。
業務関連のイベントや展示会には多くの仲卸業者が参加しているからです。
農業に特化した展示会や業界の交流イベントに参加することで、仲卸業者と直接接触し、ビジネスの機会に出会えるかもしれません。
また、イベントや展示会に参加することで、農家の最新情報を把握でき、需要の高い農産物や新たな販路が見つけられるでしょう。
組織や団体に問い合わせする
農業が仲卸業者を探す方法として、組織や団体に問い合わせすることが挙げられます。
農業関連の組織や団体には、仲卸業者の情報やリストを保有している可能性があるからです。
たとえば、農業協同組合や農業団体などが挙げられます。
組織や団体に直接問い合わせを行うことで、農業に特化した仲卸業者の情報や連絡先を入手できます。
問い合わせの際には、自分の農業のニーズや要件を明確に伝えることで、適切な仲卸業者の紹介やアドバイスが受けられるでしょう。
口コミや紹介を活用する
口コミや紹介を活用することは、農業が仲卸業者を探す有効な手段です。
口コミや紹介は信頼性が高く、他の農家や関係者からの評判や経験を聞くことで、優秀な仲卸業者が見つけられます。
たとえば、農業関連のコミュニティに参加し、同業者や関係者との交流を通じて、良好な仲卸業者に関する情報の入手が可能です。
また、他の農家や業界関係者との対話やディスカッションを通じて、おすすめの仲卸業者を紹介してもらえることもあります。
口コミや紹介を利用することで、信頼性の高い仲卸業者を見つけられるでしょう。
農家が仲卸業者を選ぶときのポイント
ここでは、農家が卸業者を選ぶときのポイントを紹介しますので参考にしてください。
品質管理能力
農家が仲卸業者を選ぶときのポイントとして、品質管理能力が挙げられます。
農産物の品質は、消費者の安全と満足に直結する要素です。
仲卸業者は農産物の取扱いを行うため、適切な品質管理能力を持つことが求められます。
たとえば、仲卸業者は農産物の品質基準や規格に従って取り扱うことが重要です。
食品安全基準や規制を遵守し、品質の一貫性と安全性を保証する体制が整っているか確認しましょう。
また、仲卸業者が品質保証に対して積極的な取り組みを行っているかも重要です。
返品や交換制度、クレーム対応の体制など、品質に関する問題が発生した場合に適切に適応する仕組みがあるか確認しましょう。
ネットワークと流通力
農家が仲卸業者を選ぶときのポイントとして、ネットワークと流通力が挙げられます。
仲卸業者のネットワークと流通力が十分であれば、農産物の市場へのアクセスや販売促進において大きな利点になるからです。
例えば、仲卸業者が広範な販売ルートや取引先との強力なパートナーシップを持っているかどうか確認が大切といえます。
強力なネットワークを持つ仲卸業者は、農産物を多くの市場や流通経路に供給し、需要の高い販売先を見つける能力が高いです。
また、流通力がある仲卸業者は、農産物の物流や配送、倉庫管理などの面で効率的なサポートが提供できます。
農家は生産物のスムーズな流通や効率的な物流によって市場への出荷を確保し、需要に応じた販売を実現できるでしょう。
価格競争力
価格競争力も農家が仲卸業者を選ぶポイントとして挙げられます。
農産物の市場競争は激しく、価格が販売成功に直結する要素だからです。
仲卸業者が競争力のある価格で農産物を取り扱えるかどうかは、農家にとって収益性や競争優位性に大きな影響を与えます。
農家は複数の仲卸業者と価格交渉を行い、自分の生産コストや市場需要と照らし合わせながら、適正価格を提案してもらうことが重要です。
ただ、価格競争力だけに注目するのではなく、品質やサービス面においてもバランスを考慮する必要があります。
仲卸業者の経験や実績
農家が仲卸業者を選ぶポイントとして、経験や実績が挙げられます。
経験豊富な仲卸業者は、農産物の取扱において幅広い知識やノウハウを持っているからです。
長年の経験によって培われた専門知識や技術を活かし、効率的な取引や品質管理を行えます。
また、実績のある仲卸業者は信頼性があり、顧客満足度の高いサービスを提供する傾向があります。
経験や実績を重視することで、農家は信頼性の高い仲卸業者を選ぶことができるでしょう。
仲卸業者のまとめ
仲卸業者は、生産者から直接農産物を仕入れて市場に供給する業者です。
農産物の品質管理や物流調整など専門知識や経験を豊富に持っています。
農家が仲卸業者を利用することで、販売促進や生産に集中できるなどの利点が豊富です。
しかし、依存関係になるなどデメリットもあるため、利用するときは注意する必要があります。
仲卸業者を利用したい農家さんは、上述で紹介した「仲卸業者を選ぶポイント」を参考にして検討してみてはいかがでしょうか。
また、農家の方で販売促進やマーケティング拡大を検討している方は「みんなで農家さん」に相談する手段もあります。
みんなで農家さんでは「稼げる農家さん」をコンセプトに新規就農へ興味を持ってくれる人を増やす取り組みを行っています。
研修制度やサポートも充実しているため、販路拡大するポイントが見つかるかもしれません。
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