日本食ブームにのって輸出も視野に入れたJAS認定のメリット4選

2013年12月「”和食”日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことから、世界でも”日本食”がブームになりアフターコロナとされる現在でも輸出額は増加傾向にあります。

新型コロナウイルスによって、日本も含め世界中で在宅時間が増加し、これまで短時間で済ませていた調理や食事の時間が確保できるようになりました。

時間のゆとりから”健康”への意識が高まり「健康=日本人=日本食(和食)だ!!」となり日本食ブームが起こっています。

このブームに乗っかりたい日本は「輸出の拡大はわが国の農業にとって重要な課題」とし2030年に「農林水産物・食品の輸出の目標を5兆円とする。」と発表しました。

2022年農林水産物・食品の輸出額は12,433億円(昨年より+1,657億円)

国内市場が少子高齢化で持続農業が伸び悩むなか、2021年7月に農水省が輸出・国際局を新設するなど、国を挙げた支援体制を構築中です。

輸出拡大に向けた環境を整備するため「JAS認定等の国際標準化」の推進が輸出実績の向上に貢献するポイントの一つになります。

そこで今回はJAS認定の解説・メリットを紹介します。

JAS認定機関とは

JAS認定機関とはJASマーク製品の製造業者等の認証を行う機関であり、農林水産大臣に登録された第三者機関として運営しており、登録(外国)認証機関のうちの一つになります。

また登録を維持するためには年に1回、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が審査を行うことになります。

登録機構は何社もある⁉

JAS認定を承認してもらうためには登録したい農作物や食品がどこの登録認証機関で行う必要があるのか調べる必要があります。

現在、登録認証機関には飲食料品・林産物・有機・生産情報・畳表・取扱方法と分かれており

  • 飲食料品22社
  • 林産物3社、登録外国認証機関10社
  • 有機51社、登録外国認証機20社
  • 地鶏肉5社
  • 生産情報7社
  • 畳表3社
  • 取扱方法9社
  • 登録試験業者1社

 認証を行う内容も区域も違うため、確認したうえで手続きをオススメします。

農林水産省:登録認証機関・登録試験業者一覧

登録の手順

JAS認証スタートガイドでは認証の申請〜取得までの手順や手続きの他にもサポート情報や注意した方が良いポイントや動画もあり、わかりやすく紹介しています。

ここではJAS認証の申請から取得までの手順を簡単にまとめて紹介します。

手順1:JAS認証について理解する

JAS認証を取得するためには規格や色々なルールがあるので「JAS一覧」で学びましましょう

JAS一覧

手順2:JAS認証機関を選ぶ

JAS認証機関によって、規格の種類・認証行う地域・手数料が違うため比較して自社の商品や取組に

マッチングする認証機関を選びましょう

登録認証機関・登録試験業者一覧

手順3:JAS認証の基準を満たしているか調べる

自社の商品や取組などが規格や技術的基準等を満たしているか確認しましょう

JAS認証機関や日本農林規格協会で定期的に講習会を開催しているので参加するとより準備がスムーズにいきます

一般社団法人 日本農林規格協会(JAS協会)

手順4:申請書を提出

申請書に必要事項を記入し、必要書類を揃えてJAS認証機関に提出しましょう

手順5:審査・判定

認証の判定までには通常2ヶ月~6ヶ月程度かかります

手順6:認証取得

JAS認証機関から認証書が交付されます

取得後は何もしなくていいの?

認証取得後は年に1回定期調査や不定期調査があります。

有機JAS認証を取得したときに定めた「内部規定」に沿って運営されているかどうかを、第三者(検査員)にチェックしてもらいます。

また、年に1度JASマークの使用実績の報告が求められます。

JAS認証スタートガイド

JAS認証のメリットとJASマークの種類

JAS認証には課題の解決ツールとして活用できるメリットがあり、項目ごとにマークも分かれているため視覚的アピール強化にも効果があります。

マークをつける・つけないは自由に選べます。

メリット

メリット1:有機・オーガニックを名乗れる

現在の市場では慣行栽培が中心となっており、JAS認証を取得することで「有機栽培」や「オーガニック」といった名称で販売できます。

有機栽培であることが明確にわかるように”有機JASマーク”を農産物に貼ることで慣行栽培との違いをアピールできます。

メリット2:信頼性の高い農作物を生産できる

有機JAS認証を取得するためには「化学農薬」と「化学肥料」を使用しない栽培していることを第三者機関によって審査され、一定の基準をクリアしたという証明となり農作物への信頼性を高めます。

メリット3:新しい販路を獲得できる

食の安全・安心を重視するスーパーや食品宅配事業者などと取引する際には、有機JAS認証を求められることもあるため、認証を取得することで取引先の幅が広がる可能性があります。

メリット4:有機農産物として輸出できる

有機JAS認証は国際的な認証でもあるため、アメリカ合衆国やEU諸国など日本の有機農産物がJAS制度と同等であると認められた国へ輸出をすることができます。

マークの種類

・JASマーク

主に成分・香り・色・品位・性能などの品質でJAS規格に合格した商品につけられるマークです。

飲食料品:即席めん、しょうゆ、醸造酢、マーガリン類、ジャム等の53品目

農産物(非食用):畳表、日持ち生産管理切り花の2品目

林産物:製材、集成材、合板、接着重ね材、フローリング等の12品目

・有機JASマーク

化学農薬や化学肥料を使用しない、自然由来の農薬や有機肥料の使用は認められている農作物や加工品。

薬剤に頼らず、有機栽培されたエサを食べ、野外への放牧などでのびのびと飼育された家畜の肉・卵・乳につけられるマークです。

有機:有機農産物、有機加工食品、有機畜産物、有機飼料、有機藻類の5品目

・特色JASマーク

(特定JASマーク、生産情報公表JASマーク、定温管理流通JASマーク)

以前は上記の3つのマークで分類わけされていましたが、2022年3月31日までの間に「特色JASマーク」へ移行しています。

・熟成ハムは熟成期間や地鶏肉は飼い方のように特別な生産や育て方、製造方法に対して特定JAS規格に合格したものに付けられるマークです。

品目:「熟成〇〇」ハム・ソーセージ・ベーコン、地鶏肉、手延べそうめん

・消費者に食品の生産情報(だれが、どこで、どのように生産したか)を正確に公表し、JAS規格に満たすものにつけられるマークです。

品目:「生産情報公表〇〇」牛肉・豚肉・農作物・養殖魚

・製造〜販売まで一定の温度を保って流通させる方法に特色がある加工食品につけられるマークです。

品目:米飯を用いた弁当類(寿司やチャーハン等も含む)

日本の農業が生き残るための「同等性相互認証」

有機商品を輸出するためには、相手国の有機規格の認証を受けなければ「有機」と表示し輸出ができない仕組みになっていました。

しかし、米国・EU・スイス・英国・カナダ・台湾の6地域は「同等性相互認証」により有機JAS法と同等性を持つ国とし、相手国の認証を必要とせず「有機」と表示し輸出できるようになりました。

オーストラリア、ニュージーランドは現地の輸入業者から取引証明書(TC: Transaction Certificate)を求められる場合がありますが、日本の有機JAS認証された食品を「有機」として輸出できます。

世界で有機食品の売上が年々増加傾向にあると共に、日本食が世界的なブームとなっている今、有機農産物の輸出ができることは、日本の農業が生き残るためのビジネスチャンスの可能性を秘めています。

輸出を目指し有機JAS認証の取得に取り組む産地や事業者に対して農林水産省による支援も行われています。

まだ間に合う!!支援応募

農林水産省より輸出拡大に向けた有機JAS認証、GAP等認証の取得や商談等の取組を支援応募しています。

申請条件や方法は下記のURLより確認してから応募を検討してください。

【事業の内容】

有機JAS認証、GAP等認証取得等支援事業の取組内容・事業実施主体・補助金の額・要件・補助率等の事業

【事業の目的】

有機JAS認証を取得した農産物・加工食品については、近年、我が国からの輸出が増加しています。

また、国産農産物の強みや適正な管理を海外にアピールし、輸出を促進するに当たって、国際的に通用する規格・認証の重要性が増しています。

このような状況に包括的に対応し、輸出拡大を着実に推進するため、本事業においては、輸出拡大に向けた有機JAS認証、GAP等認証の取得や商談等の取組を支援します。

引用:有機JAS認証、GAP等認証取得等支援事業に係る公募要領(第2)

【申請書類】

  1. 応募申請書
  2. 事業実施計画書
  3. 添付書類
  4. 申請書類チェックシート

【提出期限】

令和5年2月3日(金曜日)午後5時必着

【補助金の額】

  •   有機JAS認証取得等支援 :16,000 千円
  •   GAP等認証取得等支援 :3,000 千円

上限額は19,000 千円以内とし、事業の申請内容や補助対象経費等の精査により減額する場合があります。

【問合せ先・提出先】

問合せ受付時間

平日10:00〜17:00(12:00〜13:00・土日祝日は除く)

住所:〒100-8950

東京都千代田区霞が関1-2-1

農林水産省 農産局 農業環境対策課

GAP推進グループ

TEL :03-6744-7188(直通)03-3502-8111(内線4852)

FAX :03-3502-0869

有機JAS認証、GAP等認証取得等支援事業に係る公募要領

https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/nousan/attach/pdf/221209_150-1-1.pdf

まとめ

JAS認証を取得すると商品の品質を「見える化」することにで、消費者に向けてだけでなく取引先に対しても高い評価を得られることに繋がり活用できますが、海外への輸出チャンスもあり企業や農家にとってJASマークを取得することは自社商品の価値をさらに高められ今後日本の農業が生き残るためにも海外への輸出を視野にいれておくのも良いですね。

私たち「みんなで農家さん」では根本的な課題である「農家人口の減少」を解決するため『稼げる農家さん』をコンセプトに、新規就農へ興味を持ってくれる人を増やす取り組みを行なっています。

充実した研修・ハードルとなる資金面の高さを軽減する為に唯一無二のサービスを提供しています。

ぜひ覗いてみてください。

参考資料:農林水産省(マーク)
日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会
農林水産物・食品の輸出額目標の考え方
アフターコロナに向けた今後の取り組みと新しい日本食の可能性
PHPオンライン衆知:コロナショックcやんすで日本食に群がるイギリス人
農林水産省:2022年11月 農林水産物・食品の輸出額
JAS等の国際標準化による輸出環境整備

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