昭和30年代まで高級品だったため、家庭に並ぶことは少なかったバナナは、現在ではスーパーやコンビニで毎日のように手軽に買える身近な果物になりました。そのまま食べても美味しいですし、冷凍しても熱を加えても美味しく食べられて万能です。
スポーツをされている方々にとって、気軽にエネルギーを補給できるとして重宝されていますが、実際どのような栄養価なのか詳しく知っている方は少ないでしょう。しかもその効果が冷凍するとアップするんです。
本記事では、高い栄養価を誇るバナナについてまとめ、冷凍による効果と冷凍バナナの簡単レシピについて解説します。
バナナの栄養価はどれくらい?
剝くだけですぐに食べられるバナナは、スポーツ時の栄養補給や、朝食やおやつなどにピッタリです。豊富に含まれているぶどう糖、果糖、ショ糖は、食べるとすぐにエネルギーに変わります。他にも多くの栄養素が含まれているバナナについて、まとめていきます。
可食部100gあたりの主な栄養価
バナナの可食部100gあたりの主な栄養価を下記にまとめます。
エネルギー:86㎉
水分:75.4g
たんぱく質:1.1g
脂質:0.2g
炭水化物:22.5g
カリウム:360mg
カルシウム:6mg
マグネシウム:32mg
鉄:0.3mg
亜鉛:0.2mg
ビタミンB1:0.05mg
ビタミンB2:0.04mg
ビタミンB6:0.38mg
ナイアシン:0.7mg
葉酸:26μg
ビタミンC:16mg
ビタミンE:0.5mg
食物繊維総量…1.1g
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
この中から注目すべき栄養素に関して解説をしていきます。
ビタミンB1
糖質代謝をサポートする栄養素の一つがビタミンB1です。脳と神経の円滑な情報伝達にも欠かすことが出来ず、疲労回復にも大きな役割を果たします。
ビタミンB2
脂質代謝をサポートする栄養素の一つがビタミンB2です。皮膚や粘膜を健康に保つ際に、新しい細胞を作る必要があります。脂質から新しい細胞を作る手助けをする栄養素で、こどもや胎児の発育には欠かせないビタミンです。
ビタミンB6
たんぱく質を分解してエネルギーに変える栄養素の一つがビタミンB6です。たんぱく質は分解されるとアミノ酸となり、筋肉や血液の材料になります。筋肉や血液だけでなく、髪の毛や皮膚、粘膜を健康に保つ際に重要な役割を果たし、成長を促進する効果があります。ビタミンB2と一緒にとると効果的なので、バナナには両方含まれており、良質な果物であるとわかります。
カリウム
身体の水分バランスを保つ効果があるのがカリウムです。正常な血圧を保つのを邪魔するナトリウムを排出するため、高血圧予防につながる栄養素です。体内の塩分を排出することから、むくみの解消にも効果が期待できます。
マグネシウム
リンやマグネシウムと共に働くマグネシウムは、高齢になると気になる歯や骨を作るのに必要な栄養素です。カルシウムとタッグを組んで、筋肉の働きを調整する役割を担っています。体内でエネルギーを生産する際には、酵素の働きを助ける役割も担っています。
ポリフェノール
バナナに豊富に含まれているポリフェノールは、強い抗酸化作用があります。活性酸素を除去する働きをするので、生活習慣病など活性酸素が影響を及ぼすような病気の予防につながると言われています。さらに、免疫力をアップさせる効果があるとも言われています。因みに、熟したバナナほどポリフェノールが多く含まれているため、ちょっと黒くなってきたバナナがおすすめです。
トリプトファン
体内では作る事ができないアミノ酸の一種であるトリプトファンは、食事などで外部から摂取する必要があります。メンタルヘルスの分野でよく耳にするホルモンのセロトニンの合成にも関わっているため、心を落ち着かせたり、良質な睡眠をとりたい場合に、役に立つ栄養素です。
ビタミンC
ビタミンCには、紫外線によってできた黒色メラニンを還元する美白効果や、メラニンそのものを防止する美肌効果があると言われています。毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きがあり、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を高める効果が期待できます。
葉酸
葉酸は、造血のビタミンと言われ、ビタミンB12とともに赤血球を作ります。タンパク質や、DNAやRNAなどの核酸の合成を促進し、細胞の再生や生産を助けます。胎児の発育に大きな働きを担っているので、女性は妊娠前から産後に摂取することが推奨されています。
食物繊維
食物繊維には、腸内環境を整える効果があり、お腹の調子を整えてくれます。便を柔らかくする水溶性食物繊維と、便のかさを増し、便意を促す不溶性食物繊維の両方が、バナナにはバランスよく含まれています。
バナナを冷凍するメリットとは?
ここまで、バナナには高い栄養価が含まれていることをまとめました。このバナナを冷凍すると、さらに効果が高まることは、意外と知られていないのではないでしょうか。
ここからは、バナナを冷凍することによるメリットを解説していきます。
ポリフェノールの効果がアップする
イギリスのチェスター大学の研究によると、バナナは冷凍するとビタミンCや抗酸化物質などの含有量が増加したとの結果が報告されています。ポリフェノールは抗酸化作用がある栄養素なので、本報告で言う抗酸化物質とは、ポリフェノールのことを指していると考えられます。
先述しましたが、熟したバナナのほうがポリフェノールが多く含まれるため、しっかりと熟したうえでの冷凍をおすすめします。
カリウム・マグネシウムが活性する
バナナを冷凍すると、カリウムとマグネシウムの働きがアップするとの報告があります。高血圧の予防につながるカリウムと、丈夫な骨をつくるマグネシウムの働きがアップするので、生活習慣病や骨粗しょう症が気になる方は、バナナは冷凍して食べるようにしましょう。
賞味期限がのびる
バナナの賞味期限は、春から夏の季節だと2日から4日程度、秋から冬の季節だと7日から10日程度が目安になります。シュガースポットと言われる黒い斑点が出たら食べごろです。
一方で、冷凍をすると賞味期限は約1か月です。スイートスポットが出て食べごろになってから、完熟の美味しさを閉じ込めるべく冷凍するのがおすすめです。
冷凍バナナの作り方
それでは、冷凍バナナの作り方をまとめていきます。
まず、スイートスポットが登場し、バナナが少し黒くなる程度まで熟成させます。
熟成したバナナの皮をむき、ラップで包みます。皮をむかずに冷凍できますが、後の使いやすさのために本記事では皮をむくことをおすすめします。ラップで包む前に、好みの大きさに切ったり、つぶすなどして小分けにしておくのもいいでしょう。
ラップで包んだら、保存袋で包んで冷凍庫に入れます。バナナの形状と、冷凍庫の室内の状況にもよりますが、おおよそ3時間ほどで冷凍バナナが出来上がります。
冷凍バナナを使った簡単レシピ4選
ここからは、冷凍バナナを使った簡単レシピを4つ紹介していきます。冷凍したバナナをそのまま食べても美味しいですが、アレンジを加えて楽しく食べてみてください。
冷凍バナナのアイスクリーム
材料
バナナ:3本、ヨーグルト:150g、はちみつ:適量、ピーナッツバター:40g、シナモン:適量、小分け用カップ:8個
作り方
冷凍バナナを冷凍庫から取り出し、ブレンダーに投入する。冷凍する際に細かくカットするか、ペースト状につぶしておくと使いやすいです。
ヨーグルト、はちみつをブレンダーに投入し、混ぜ合わせる。
滑らかになってきたら、ピーナッツバター、シナモンを投入します。お好みでチョコレートなどの他の材料を入れてもOKです。
混ざり終わったら、小分け用カップに入れて冷凍庫で凍らせると完成です。
冷凍バナナとオートミールのスムージー
材料
冷凍バナナ:2本、氷:少々、オートミール:30g、アーモンドミルク:200ml、はちみつ:適量
作り方
冷凍バナナを冷凍庫から取り出し、2センチ幅ほどでカットします。
ミキサーにカットしたバナナを投入し、残りの材料を入れて撹拌します。
好みの粒度になったら、ミキサーのスイッチを止めて完成です。
ダイエットをされている方に人気のオートミールと、トレーニング中の栄養補給に最適なバナナのコラボレーションで、健康的なスムージーの出来上がりです。
冷凍バナナの冷熱天ぷら
材料
冷凍バナナ:1本、てんぷら粉:50g、水:80㏄、シナモン:少々、グラニュー糖:少々
作り方
冷凍バナナは、冷凍する前に輪切りにしておきます。
水で溶いたてんぷら粉に、冷凍バナナをくぐらせて油で揚げます。この際、冷凍バナナの冷たさを残すため、揚げる時間は短めにすることをおすすめします。
揚がった冷凍バナナに、好みでシナモンやグラニュー糖をかければ完成です。
バナナパウンドケーキ
材料
冷凍バナナ:2本、バター:70g、砂糖:70g、卵:2個、小麦粉:130g、ベーキングパウダー:5g、アーモンドスライス:適宜
作り方
冷凍バナナを冷凍庫から取り出し、解凍しておく。
オーブンを180℃に温めている間に、室温に戻したバターを泡だて器でよく混ぜる。
砂糖を加えて混ぜ、卵を加えて混ぜたのち、冷凍バナナを入れて混ぜる。
小麦粉をふるって入れて、ベーキングパウダーを加えてさっくり混ぜる。
型に流し込み、空気を抜いたらアーモンドスライスをちりばめて、オーブンで35分焼けば完成です。
まとめ
ここまで、バナナの栄養価と意外と知られていない冷凍バナナのメリット、おすすめのレシピを紹介しました。手軽に買えるバナナだからこそ、気が付いたら熟しすぎたなんてことになりやすいです。冷凍バナナのメリットを知って頂ければ、バナナの活用方法が広がる事でしょう。
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