【良い土の条件とは?】団粒構造のメリデメ・作り方を知ろう

作物を元気に育てるには、根が丈夫で養分を吸収する細根がたくさんあることが重要です。良い根を作るには、「根の呼吸を良くする」「水もちと水はけを良くする」ことが大切です。これを実現するのが 団粒構造を持った土壌です。この記事では、作物の栽培に適した団粒構造とは何か、メリットやその作り方について徹底調査したのでお伝えします。

土の構造について

今回紹介する土の構造は「団粒構造」と「単粒構造」の2つについてです。この2つの構造について画像を株式会社 生科研より引用しておりますので、イメージしながら読んでみてください。

引用:株式会社 生科研

団粒構造とは

(だんりゅうこうぞう)と読みます。

団粒構造とは土壌粒子(土の微細粒子)が小粒の集合体を形成している構造のことを指します。だんご状になった大小の土の塊がバランス良く混ざり合っていて、適度な隙間がたくさんつくられています。土が柔らかく通気排水に優れ有用微生物が多く繁殖しており作物の生育に適しています。

100年環境グループ

良い土の条件として、土壌中の土のかたまり・空気・水分の割合が大事となっており、それが4:3:3の割合で存在するのが植物の育ちやすい土壌構造だといわれており、それが「団粒構造」と言われるものです。

「団粒構造」とは簡単に言うと、土がくっついてだんご状になったもの指します。そして、そのだんご状になっている土の正体は、土の中にいる陽イオンや粘土鉱物、腐植などの有機物、ミミズや微生物、植物根の分泌物、カビの菌糸などです。そのような土は、酸素が十分に足りている状態であるため、根が呼吸できるようになり、養水分吸収機能が良くなります。このように良い作物等を栽培するためには、土を団粒構造にさせることがポイントになります。

一方で土壌粒子がサラサラの土は「単粒構造」といいます。下記に単粒構造について説明していきます。

単粒構造

(たんりゅうこうぞう)と読みます。

土の粒子が集積し詰まっている状態を単粒構造といい、多くはゆるい砂土質や粘土質の土で構成されています。空気や水の透過性が悪く、根が伸びにくいため酸素不足を起こしやすい環境です。

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団粒構造と比べたときに、土が固くサラサラしているものが単粒構造の土となります。細かい単粒構造の粘土では水はけが悪く、粗い単粒構造の砂では、水はけがよすぎてしまうので、いずれも作物等の栽培には不向きとなっております。

団粒構造のメリット・デメリット

上記では団粒構造とは何か・単粒構造との違いについて知ることができました。ここからは、団粒構造についてより知識を深めていくために、メリット・デメリットについてまとめてみました。

団粒構造のメリット

団粒構造は作物等を栽培しやすいということが分かり、それが最大のメリットかと思います。それでは、このメリットの秘密について細かく解説していきます。

通気性・排水性の向上
団粒構造は、土壌がだんご状になっているため、団粒間の隙間を作ることができます。それによって、新鮮な空気が土壌を通過することで根の酸素吸収が促進され、作物の根も伸びやすく、張りやすくなります。さらには土壌に空間があるため排水性が向上し、根腐れのリスクを下げることにつながります。

保水性と保肥性の向上
団粒構造は保水性があるため、団粒内部に適度に水分を蓄えることで乾燥を防ぎ、土壌の水分蒸発や水分切れが起こりにくくなります。そのため土の水持ちが良く、水に溶けた有機肥料や化学肥料の成分を蓄えることができます。
土壌に水と肥料成分があることにより、植物の根は養分を吸収しやすく、より良い作物の栽培をすることができます。

土壌微生物の発育を促進でき、病害虫も発生しにくい
団粒構造にはすき間が多く、さらに、水と肥料もあるため微生物・土壌生物が多く住むことができます。土壌生物の活動が盛んになることで、生態系のバランスが取れるようになります。バランスが取れることで微生物が発達しやすくなり、病原菌や細菌が蔓延しにくくなるため、団粒化促進にもつながります。

連作障害が発生しにくい

特定の偏った土壌環境になることにより連鎖障害は発生します。団粒化が進み、肥料分が多い、かつ生態系のバランスがとれている土壌では連作障害も発生しにくくなります。

連作障害とは

毎年同じ場所に同じ作物を栽培することを 連作といいます。 そうすると、その野菜を侵す土の中の病菌や有害センチュウの密度が高くなったり、土の中の栄養分が不足したりして野菜の育ちが悪くなります。 これを 連作障害といいます。

JA愛知西

団粒構造のデメリット

団粒構造は良い状態を保つことが難しいため、以下は特に注意が必要となります。

化学肥料の使用に注意

化学肥料や農薬の大量散布により、土に住む微生物なども殺してしまい、土壌が活性化しなくなると団粒構造が保持されなくなります。

土の状態を見ること

土が多湿状態のときに耕すと土が練られて固くなったり、乾燥状態のときに耕すと土が細かくなりすぎたりして粘土質の土壌になってしまうことがあります。他にも冬から春にかけて気温が下がることで、土が凍結と融解を繰り返すことや、トラクターなど大型農機の作業で土を踏みつけてしまい、畑の土が固くなることもあります。

このように、土壌の様子をよくみた上で調整をしていかないと良い状態に保たれていた団粒構造を破壊してしまうことにつながります。

団粒構造の確認方法

確認する方法は①「手で握り確認」②「水を使用した確認方法」です。手順について説明します。

方法①手で握って確認

<手順>

(1)乾燥し過ぎていない適度に湿っている土を手で軽く握ります。

(2)固まった土をもう片方の手の指で軽く押します。

 崩れたら団粒構造です。崩れなかったら、排水性の悪い土のため改善した方が良いでしょう。

方法②上澄み液を使って確認

<手順>

(1)透明な容器に水を入れ、耕した土を入れてよくかき混ぜます。

(2)土が沈殿するスピード観察します。

この時、土が沈殿するスピードが早ければ早いほど、加えて、沈殿後の上澄み液がきれいな程団粒化された土といえます。

最高の団粒構造の土の場合、上澄み液が綺麗な状態で5分以内に沈下します。

ぜひ参考にしてみてください。

団粒構造の作り方

有機肥料を使用する

団粒構造を形成するために腐植物質・有機物は必須です。なぜなら、土の粒子を結び付けて団粒状態にするには、土の粒子と粒子を結び付ける役割を担う『腐植』が必要だからです。腐植は土壌生物が動植物遺体を分解することで発生するので、土壌生物が多く住みやすい環境を整えるために、腐植物質・有機物肥料にもなる堆肥や鶏糞・魚かすなどの有機物を施用すると良いでしょう。他にも、腐葉土・もみ殻といった育土堆肥や畜糞堆肥や生ごみ堆肥などの養分堆肥を土に投入すると良いでしょう。

土を耕し、微生物の動きを促進する

収穫後や栽培前の乾いた土を掘り起こし、土中に空気(酸素)を入れることで微生物の動きを促進することができます。粘土と砂が適度に混ざることで微生物の住みやすい環境を作りだし、腐食が進み団粒構造が発生しやすくなるためです。その際に肥料や緑肥などを混ぜると、より腐植を促進させることができるといわれています。しかし、耕しすぎると、かえって土壌生物を傷つけることにつながることもあるため注意が必要です。

緑肥作物を栽培する

有機的な肥料である緑肥を使用することで、微生物が活性化しやすくなり、土壌に隙間ができ団粒構造化を促進する効果が期待できます。緑肥とは、栽培した植物を腐らせずに土壌に入れて耕し、肥料にすることです。緑肥の種類によっては、害虫の発生を抑制したり、作物の病気を低減したりする効果が期待できます。他にも、雑草の抑制や土壌のバランスを整える、水はけや保水力を高めたり、土壌中に窒素やカリウムをはじめとする栄養分を放出したりする効果など、堆肥では得られない効果が期待できます。

団粒構造とミミズの働き

団粒構造について、微生物の働きが大事であるとまとめていましたが、実はミミズも良い状態の団粒構造を作る上で大切な存在となっています。

ミミズの働きについてまとめてみます。

畑を耕す

ミミズは自分のエサを探すため、土壌の中を動き回ります。ミミズが動くことによって土の中に通り道ができ、空気や雨水が植物の根元まで届けられるため、植物は健康に育つことができます。

ミミズの排泄物

ミミズは落ち葉・根・堆肥などの有機物と周辺の土を食べ、栄養を吸収し排泄しています。ここで排せつされた糞土は腸内で練り合されているのでしっかりした団粒となっています。そして、この糞の隙間にたくさんの微生物や小動物が住み着き、これを微生物や植物が吸収し、循環していきます。

さらに、ミミズの糞は「耐水性団粒」であるため雨にも干ばつにも強い畑になります。

ミミズの粘液

ミミズは体表から粘液をだしていますがこのヌメリは実はミミズの尿なのです。このヌメリの主成分はアンモニアなどで窒素に富んでいるため、土中の窒素は増え、pHが改善されます。このヌメリを体に纏いながら土壌を移動じているため、畑中に窒素を加える働きがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?団粒構造についてまとめてみました。団粒構造を作るためには、奥が深いことが分かりました。良い作物を栽培するためにぜひ実践してみてください。

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