こんなにあります!ここでもできます!日本の国産バナナ農園

バナナといえば輸入、というイメージが強いですが、実は国産バナナを作る農園は、日本中に数多くあります。なかには、こんな地域で作れるのか、という場所にもあり、日本でも決して栽培のハードルが高いものではありません。この記事では、日本国内のバナナ農園を紹介し、国産バナナ栽培の可能性について記していきたいと思います。

まだまだ少ない国産バナナ

バナナは日本国内で最も消費される果物で、おやつからお菓子の材料まで非常に人気の高い作物です。しかし、一般的にバナナは熱帯・亜熱帯の作物とされ、バナナベルト地帯と呼ばれる、赤道の南北緯度30°の間の地域に生産地が集中しています。そのほとんどがフィリピンや台湾などで、日本で消費するバナナの実に99.9%が海外からの輸入に頼っているのが現状です。

つまり、日本でのバナナ生産はまだまだ非常に少なく、私たちが国産のバナナを店頭で見かける機会もほとんどありません。

日本のバナナ生産の現状

では国内のバナナ生産はどうでしょうか。2018年の生産高は全国で約114t、産地を見ると沖縄県と鹿児島県が圧倒的に多く、この2県だけでほぼ全てを占めています。

世界的にも多くが熱帯地域で作られていることもあり、バナナは暑い地域でないと作れない、という先入観を持っている人がほとんどではないでしょうか。

しかし、農業技術の進歩や研究熱心な多くの農家の手によって、必ずしも暑い地域でなくとも、日本各地でバナナ栽培を行えるということが実証されてきています。

重要なのは温度管理

バナナは一般的に気温26℃以上の環境でないと栽培が困難とされており、屋外での露地栽培は沖縄などが主です。そのため日本国内のバナナ農園の多くは温室やビニールハウス内で栽培を行い、常に最適な温度を保つために心を砕いています。

同時に栽培技術の進歩も進んでいます。AGREVO BIO株式会社が開発したアグレボ農法では、15℃以上という環境でも栽培可能になっており、より天候面で不利な寒冷地でもバナナ栽培へのハードルは下がっています。

国産バナナのメリット

現在、私たちの周りでは、スーパーに行けば輸入バナナがとても安価に手に入ります。わざわざ手間ひまをかけて、日本国内でバナナを栽培する必要があるのかと思うかもしれません。しかし、国産バナナの生産を増やすことは、一般の消費者だけでなく、日本の農業全体にもさまざまなメリットがあるのです。

メリット①国内自給率の問題解決のきっかけになる

日本はバナナに限らず、農産物の国内自給率が低いことが長らく問題視されてきました。

特に近年は、新型コロナウィルスの世界的な蔓延や、ロシアのウクライナ侵攻などにより、食料輸入やサプライチェーンが脅かされる事態が起きています。

日本国内で農産物の自給率を増やすことは食料安全保障の観点からも重要であり、中でも国内自給率の低いバナナのような熱帯作物の生産に乗り出すことは大きな意味があります。

メリット②高収益作物である

日本で生産される果物が美味で高品質なことはよく知られています。もちろんバナナも例外ではありません。特に国産のバナナはまだまだ希少な作物であることから、より高値で取引され、生産者も高い収益を得ることができます。

近年では高付加価値農業に注目が集まっていることもあり、国産バナナはこれからに期待ができる作物と言えるでしょう。

メリット③耕作放棄地の解消につながる

少子高齢化や農業人口の減少による、耕作放棄地の増加は社会的に問題になっています。

バナナのような新しい作物を手がける新規就農者が増えることは、こうした耕作放棄地の有効活用につながります。その作物に高い付加価値が付き、多くの需要が見込まれるとあればなおさらです。

実際に耕作放棄地対策として、有機農法による高付加価値作物を作る取り組みは全国各地で行われています。

バナナにまつわる問題を少しでも減らす

バナナを国産化する最大の利点は安全性です。私たちが普段何気なく食べている輸入バナナには、実は大きなリスクが潜んでいます。

危険な農薬の問題

海外から日本へ輸入されるバナナの多くは、栽培の段階で農薬や殺虫剤が使用され、ごく微量ながらネオニコチノイド系殺虫剤も検出されています。この薬剤は「浸透性農薬」として知られ、バナナの皮を通り越して果肉にも入りこむ危険性があります。

また、輸入されたバナナは法律に基づき病害虫検査や消毒(燻蒸)が行われ、この段階で化学薬品の煙にさらされます。つまり仮に海外で有機栽培されても、この時点で有機バナナではなくなります。

国産バナナの農園では、バナナの天敵となる病気がなく、虫の駆除を人の手で小まめに行えば、薬剤投与の必要がありません。検疫による消毒も不要なので、完全無農薬栽培の安全なバナナが国内で手に入ります。

人道的な問題

生産国での人道的な問題もあります。

前述の通り、輸入バナナの栽培では多くの農薬や殺虫剤が使われます。この農薬は主に空中散布で広範囲に撒かれ、現地の農園で働く農家や労働者に深刻な健康被害をもたらしています。

また、違法な雇用形態や低賃金、不当労働など、現地の労働環境にも大きな問題が山積みです。

こうした生産国の現状にノーを突きつけ、現地農家の安全や労働環境に再考を促す意味でも、ただ安いだけではない、安全で質の高い国産バナナの意義がもっと世に知られる必要があります。

日本の主要な国産バナナ農園

では、日本国内で展開されているバナナ農園はどのくらいあるのでしょうか。

ここでは、全国各地でバナナを生産している、主な農園を紹介していきます。中には「こんなところでバナナが作れるの?」と思われる地域もあります。バナナ栽培の可能性は、今や全国に広がっているのです。

【ごろすけACファーム】岩手県北上市

2018年から栽培を始めた岩手県初のバナナ農園です。寒冷な東北の気候に対応できるように、特注の二重被覆のビニールハウスを設置しました。初年度は7,500本の収穫に上り、地元の期待も高まっています。

【株式会社広野町振興公社】福島県広野町

地方自治体である広野町が100%出資する会社です。公園の管理運営事業のほか、震災からの復興を目指す新たな事業として、バナナなど熱帯フルーツの栽培事業に乗り出しました。

収穫されたバナナは「綺麗」と名付けられ、町の特産になっています。

国産熱帯フルーツ栽培 – 株式会社広野町振興公社

【JAおいしいもがみ】山形県戸沢村

さくらんぼやラ・フランスなど、果樹栽培が盛んな山形県で作られているのが「雪ばなな」と名付けられたバナナです。近隣の温泉施設から出る温泉熱を利用して、ハウスの室温を保つという工夫がされています。

【シモダファーム】新潟県柏崎市

この農園は、地元で鋳型材と産業廃棄物処理を手がける会社によって運営されています。この廃棄物焼却施設から出る排水の熱をハウス農園の温度管理に使うという、他に類を見ないサーマルリサイクルによるバナナ栽培が特徴です。

越後バナーナ Echigo Banana

【ほうおうファーム】群馬県太田市

ここでは、ゴルフ場を運営する資源開発会社がバナナ栽培を行っています。ゴルフ場の敷地内という十分な広さに加え、親会社が行っている産業廃棄物処理から出たリサイクル瓦礫を土壌づくりに応用。良質で水はけが良く、バナナ栽培にも適していると好評です。

【株式会社萬秀フルーツ】愛知県知多郡

この農園では長年みかんやグレープフルーツを中心に展開してきましたが、果樹の病害で危機に見舞われました。そこでバナナを中心とした熱帯果樹に活路を見出し、見事立て直しに成功しています。現在この農園で育つ「知多バナナ」は、同社の主要な看板商品のひとつとなっています。

知多ばなな|知多半島で育った国産バナナ

【農業法人D&Tファーム】岡山県岡山市

国産バナナ生産技術の草分けとなった「凍結解凍覚醒法」の確立で知られる、果物王国岡山を代表する農業法人です。糖度が高く香り高い「岡山もんげーバナナ」は店頭でも入手が難しい人気商品で、その後に続く国産バナナの指標になっています。

農業法人 株式会社D&Tファーム

【NEXTファーム宮崎】宮崎県川南町

この農園は、国産バナナ農家の中では比較的早い2017年から操業を始めています。快晴の日数が非常に多く、日照時間の長い恵まれた気候風土で育ったバナナは、果物そのものの美味しさに加え、多種多様なバナナの加工食品も人気です。

宮崎県産無農薬バナナ「NEXT716」

【神バナナ株式会社】鹿児島県南九州市

神バナナという名の由来は地名の「神殿(こうでん)」から。独自配合の有機肥料、名水百選に選ばれたミネラル豊富な地元の水を使い、盆地特有の寒暖差を活かした環境での完全無農薬栽培バナナは、濃厚かつさわやかな味わいが好評です。

【神バナナ】神秘の美味しさ皮ごと食べられるバナナ

【ぐしちゃん銀バナナ農園】沖縄県八重瀬町

極めて希少な品種「銀バナナ」を栽培、販売している農園です。農園主は長年家庭菜園で培った経験をもとに、約150株を栽培。沖縄近県のみならず、SNSやネットショップを活用し、全国に販路を拡大しています。

ぐしちゃん銀バナナ農園

農業に興味があるけど…バナナ農園Q&A

国内にも多くのバナナ農園があることがよくわかりました。こうした実例をみて、自分もバナナ農家として経営を始めてみたいという方もいるかと思います。

しかし、農業については分からないこともいろいろある。不安もないわけではない。そんな方に向けて、特に気になる問題をあげてみました。

疑問①資金の問題はどうすべきか

農業は農地や設備、種子や苗など、他の産業に比べ初期投資が大きくなるのが特徴です。

また作付から収穫までの時間もかかることから、スタート時点の収益も見込めません。

そのため、国や地方自治体、政策金融公庫などは新たに農業を始めようと志す人への給付や融資を手厚く行っています。

主な公的扶助

  • 国:新規就農者支援総合対策
  • 日本政策金融公庫:青年等就農資金
  • 県・市町村独自の支援制度

給付や融資にあたっては、上記の制度に基づいて認定新規就農者になるなどの条件を満たす必要がありますので、農林水産省や各自治体の情報を集めましょう。

「みんなの農家さん」でも、各種支援制度についての記事を掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

疑問②どんな設備が必要?農園の広さは?

新たにバナナ農園を開設するには、どのくらいの農地が必要で、どんな設備がいるのでしょうか。

バナナは熱帯果樹ですので、まず必要な設備は温室です。バナナの株は、成長すると3〜4mの高さになるため、7〜8mくらいの十分な高さの温室が欲しいところです。

そのほかの設備では、温度調節を行う暖房機や給排水設備があります。温室内の環境管理を自動制御できる機器があると非常に作業が楽になるので、こちらも導入を検討してみましょう。

最も気になる農園の広さですが、バナナは苗1株につき、約200本の実がなるとされます。既存の農園の例では、120〜150株の苗を植えるには、温室の広さは800〜1000㎡がだいたいの目安です。

基本的には自分が手掛けたい事業規模に合わせた農地を取得することが重要となります。

疑問③農業は未経験だが大丈夫か

それまで農業経験のない方にとっては、いきなり農業に転身し、しかも栽培も容易ではないバナナを作ることに不安がある方もいると思います。

そのため、新規就農希望者のほとんどは農業大学校や都道府県の農業研修施設で1~2年にわたって十分な研修を受けることになります。この費用にも国や自治体の補助が受けられますので、活用を希望する方は調べてみましょう。

まとめ

有機無農薬で栽培される国産バナナは、安全で美味しく、健康にも良いことから、今後注目が集まる作物です。競合が少なく、国内流通量も非常に少ないため、まだまだ参入の余地がある市場といっていいでしょう。

国産農産物への期待の高まり、技術や設備の進歩などを追い風に、全国各地でバナナの栽培を行う農園も増えています。とはいえ、国内で消費されるバナナの国産の割合を考えると、その数はまだまだ不足していると言わざるを得ません。AGREVO BIO株式会社では、自社農園の開園サポートや、シェアバナナ農園などのサービスも行っています。チャレンジ精神あふれる意欲的な農家や新規参入就農者は、これを機にバナナ農園に新たな可能性を見出してみてはいかがでしょうか。

参考文献・資料

甘いバナナの苦い現実/石井正子 編著:2020年 コモンズ

【都道府県】バナナの産地・生産量ランキング – 食品データ館

バナナの産地 栽培面積 収穫量 出荷量|果物統計 グラフ – 果物ナビ

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金) – 農林水産省

群馬県の国産バナナ農園をご案内!ハウス設備や栽培方法は?|施設園芸.com

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