栽培したいアジア野菜10種類!需要と農家の実例も紹介

現在、在留外国人や訪日外国人の増加により、アジア野菜の需要が高まっています。一方で、マルシェやファーマーズマーケットでは、ビーツやロマネスコなどヨーロッパ原産の野菜は見かけても、コリアンダー(パクチー)やタイナスなどアジア原産の野菜を目にする機会は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、出入国在留管理庁のデータからアジア野菜の需要を読み解くとともに、実際にアジア野菜を生産されている農家さんや栽培におすすめのアジア野菜10種類を紹介します。

データにみるアジア野菜の需要

日本でアジア野菜を生産した場合、実際に買ってくれる人たちはいるのでしょうか。在留外国人数のデータを元に、今後のアジア野菜のニーズと可能性を解説します。

在留アジア人の増加

国・地域総数(人)構成比(%)
中国716,60626.6
ベトナム432,93415.7
韓国409,85514.8
フィリピン276,61510.0
ブラジル204,8797.4
ネパール97,1093.5
インドネシア59,8202.2
米国54,1622.0
台湾51,1911.9
タイ50,3241.8

出典:『令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

    2 国籍・地域別 -第1表、第3表、第1-2図、第3図-』

まずは、出入国在留管理庁のデータをもとに、在留外国人の数を見ていきましょう。在留外国人とは、日本に中長期在留、または永住する外国人を意味します。

上記の在留外国人の出身国・地域のランキングを見ていくと、アジア圏出身の人々は全体の約80%を占めており、人数にして約210万人に達しています。日本ではそれだけ多くの在留アジア人が生活を営んでおり、アジア野菜はふるさとの味を求める人々の需要が見込まれるでしょう。

在留外国人の多い地域

都道府県人数(人)構成比(%)
東京都531,13119.2
愛知県265,1999.6
大阪府246.1578.9
神奈川県227,5118.2
埼玉県197,1107.1

出典:『令和3年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

    4 都道府県別 -第4表、第5表、第4図-』

続いて、都道府県別の在留外国人の数を見てみましょう。

都道府県別の在留外国人の数は全国に散らばっているものの、首都圏に約35%、愛知県と大阪府にそれぞれ約10%と都市部に集中する傾向が見られます。

在留外国人が集まる都市部には、多国籍レストランや各国の食材を販売するスーパーが集まり、アジア野菜の需要が見込まれます。アジア野菜の出荷先として、在留外国人が多く居住する地域を意識すると販路を開拓しやすいでしょう。

訪日外国人の増加見込み

出典:『日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国    人旅行者の意向調査(第2回 新型コロナ影響度特別調査)』

コロナウイルス拡大の影響で訪日外国人の入国が制限されていましたが、今後のアフターコロナに向けて増加が見込まれます。

日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社の合同調査では、「次に旅行したい国・地域」のランキングでアジア居住者・欧米居住者ともに日本を1位に挙げており、世界中で日本への関心が高まっています。

将来的に訪日外国人の数が増えれば、多様な食文化にあわせた多国籍レストランの増加が見込まれ、アジア野菜の需要も伸びていくと考えられます。

アジア野菜を生産している農家の例

続いて、アジア野菜を生産されている国内の農家さんを紹介します。日本国内の農家さんはそれぞれの想いを胸に、地域の気候を活かしながら野菜の栽培に取り組まれています。

アジア駐在をきっかけに新規就農「川辺農園」

福岡県小郡市の「川辺農園」の川辺さんは、前職での海外駐在から帰国後に新規就農し、以来、川辺農園を15年以上経営されています。

川辺さんは、前職は食品会社に勤務し、中国・ベトナム・タイに駐在。現地の生産者と日本向けの野菜を栽培していました。帰国後「駐在員時代に食べたアジア野菜の美味しさが忘れられなかったこと」をきっかけに農園を立ち上げ、現在も年に数回の海外への買い付けを続けながら、さまざまな品種のアジア野菜を開拓しています。

SNSを活用し、在留外国人への販路を拡大「若井農園」

広島県福山市の「若井農園」では、Uターンし農業を始めた若井さんがインドネシア出身の従業員とともにアジア野菜ブランド「ワカイファーミー」を立ち上げています。

また、農園では在留外国人の目線に立った取り組みを行っており、農産物直売所のほかバーベキュースペース、礼拝室を設け、在留外国人や技能実習生の居場所づくりや地域住民の交流の場として活用されています。

SNSを使った取り組みも特徴的で、Instagramでは日本語とインドネシア語で発信を行い、在留外国人の「ふるさとの野菜を求めているが、日本名がわからない」という悩みに対応。野菜の写真を掲載したところ、在留外国人からの注文がキロ単位で入るなど、大きな反響を呼んでいます。

地域の気候を活かした野菜作り「能勢町アジア野菜研究会」

大阪府豊能郡能勢町の「能勢町アジア野菜研究会」では、「日本で働くアジア人を楽しませたい」との想いを胸に、年間におよそ50品目150品種の野菜を栽培しています。

能勢町の冷涼な気候を活かし、パクチーや根菜類などの安定生産を実現。野菜のオンライン販売とともに、アロイ種苗店での種子や苗の販売や、顧客からのオーダーメイドによる野菜作りなど、常に新しいことにチャレンジし続けている農家さんです。

<h2>栽培におすすめのアジア野菜10選

続いて、国内での栽培におすすめなアジア野菜を紹介します。おなじみの野菜から日本ではまだあまり知られていない野菜など、さまざまな品種がありますので、ぜひご覧ください。

1.コリアンダー(パクチー)

コリアンダー(パクチー)は、タイ料理やベトナム料理のトッピングとして日本人の間でも広く親しまれている野菜です。夏の日差しを浴びすぎると葉が硬くなるので、寒冷地以外では秋まきの方が向いています。

科名セリ科
別名香菜(シァンツァイ)
適している土地日当たりと水はけの良い土地
種まき時期春:3~4月秋:9~10月
収穫時期春:3~5月秋:9~11月
食べ方生食。エスニック料理のトッピング、マリネ、サラダなど

2.タイナス

タイカレーの具材としてもおなじみのタイナス。タイでは日本と同じように、さまざまな種類のナスが栽培されています。タイナスは硬い皮に覆われ、荷崩れしにくいので、煮込み料理に適しています。

科名ナス科
別名マクアポ、マクアプロ
適している土地低温に弱いため、気温が上がってから種をまく
種まき時期3~5月
収穫時期定植から約90日
食べ方タイカレーなどの煮込み料理、炒め物など

3.ホーリーバジル(ガパオ)

ホーリーバジル(ガパオ)は、日本でもポピュラーなタイ料理・ガパオライスに欠かせないハーブです。成長して固くなった葉よりも、茎に産毛が付いている新しい芽の方が香りも口当たりも良いとされています。収穫は秋まで続けられるので、長期間収穫できるのも嬉しいポイントです。

科名シソ科
別名セイクリッドバジル、トゥルシー
適している土地日当たりと風通しの良い土地
種まき時期3~5月(気温15℃を下回らない時期)
収穫時期6~10月
食べ方ガパオライス、ハーブティーなど

4.空心菜

空心菜は中国や東南アジアでよく使われている野菜です。茎の中が空洞になっており、炒めるとシャキシャキとした食感が楽しめます。暑さに極めて強く、多湿土壌を好み、病害虫にも強いので、水田跡の利用にも適しています。

科名ヒルガオ科
別名ヨウサイ、エンサイ、アサガオナ、ツウサイ、かんこん菜
適している土地日当たりと風通しのよい土地。暑さに強い。
種まき時期5~8月
収穫時期6~10月
食べ方炒め物

5.ターサイ

ターサイは中国の代表的な冬野菜です。寒さに強く霜にあたると甘味が増すため、秋まきでは大きな株に育ちます。病気や害虫の被害にも遭いにくいので、初心者におすすめの野菜です。

科名アブラナ科
別名ターツァイ、タプチョイ、シャクシナ、キサラギナ
適している土地日当たりと風通しの良い場所。耐寒性に優れる。
種まき時期春:4~6月秋:8~10月
収穫時期夏:6~7月冬:10~2月
食べ方炒め物、鍋の具材など

6.ヒユナ

ヒユナは中国や東南アジアではポピュラーな夏野菜です。中でも、赤い葉のヒユナにはアントシアニンが多く含まれ、動脈硬化や疲れ目などを改善する効果が期待できます。非常に強靭で生育が早いため、比較的育てやすい野菜と言えるでしょう。

科名ヒユ科
別名インチョイ、シェンツァイ、バイアム、ジャワホウレンソウ、チャイニーズ・スピナッチ
適している土地低温にはとても弱く、10℃以下だと生育しない
種まき時期5~8月
収穫時期7~10月
食べ方炒め物、和え物、汁物など

7.チンゲンサイ

日本でもすっかり定着しているチンゲンサイ。ビタミン類が豊富な緑黄色野菜で、煮崩れしないため、油炒めや煮物、汁物など調理方法のバリエーションが豊富です。気候はあまり選びませんが、作りやすいのは春まきと秋まきです。

科名アブラナ科
別名体菜、シャクシナ
適している土地日当たりの良い土地
種まき時期3~9月
収穫時期5~11月
食べ方炒め物、煮物、汁物、サラダなど

8.ヘビナス

ヘビナスは中国で人気の細長いナスです。皮、肉質ともにやわらかく甘みがあり、加熱調理をするととろけるような食感が楽しめます。着果率が高いので、通常の中長ナス栽培よりも2割ほど多くの水と肥料が必要です。

科名ナス科
別名えんぴつナス
特徴通常の中長ナス栽培に比べ、割ほど多くの水と肥料が必要
種まき時期2~3月
収穫時期6~10月
食べ方揚げ物、炒め物など

9.紅菜苔(コウサイタイ)

紅菜苔は人気上昇中の中国野菜です。見た目は菜の花に似ていますが、紅菜苔は苦みが少なく、茎はほんのりとアスパラガスのような甘味を感じられます。害虫に強く、比較的育てやすい野菜と言えます。

科名アブラナ科
別名ホンツァイタイ、紅菜花(ベニナバナ)
特長冷涼な気候を好み、耐寒性がある
種まき時期9~10月
収穫時期12~3月
食べ方炒め物、おひたし、漬物など

10.ツルムラサキ

ツルムラサキは東南アジアから中国で栽培されている野菜で、日本の食料品店にも並んでいます。暑さに非常に強く、栄養価もホウレンソウを超えるといわれる注目の夏野菜です。

科名ツルムラサキ科
別名パセラ、モーアルツァイ、ラオクエイ
適している土地日当たりと風通しが良い場所で、支柱を立てて育てる
種まき時期5~6月
収穫時期6~11月
食べ方おひたし、炒め物、和え物、汁物など

今後さらなる需要増!アジア野菜の生産に挑戦してみよう

現在国内でアジア野菜の需要が高まっている理由として、在留外国人のうち約80%がアジア圏の人々であること、また、アフターコロナの訪日外国人の増加が見込まれていることが挙げられます。今後はますます多様な食文化に対応した多国籍レストランや食料品店の増加に伴い、アジア野菜の需要も高まっていくでしょう。

生産した野菜を消費者に届けるには、インターネットやSNSで写真を活用し、日本語に慣れない在留外国人にも視覚的に訴えかけるなど、独自の工夫が必要です。在留外国人の目線に立ってアイデアを練り、実行することが販路拡大のカギとなります。

新規就農を目指すにあたって、今後生産する野菜のひとつとして、新たな可能性を秘めたアジア野菜を検討してみてはいかがでしょうか。
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