サラダの代表的な野菜であるレタスは、シャキシャキとした食感がおいしく、調理方法や味付けによって様々な楽しみ方ができる人気の野菜です。
レタスは栽培期間が2~3ヵ月と短く、病害虫被害も少ないため、初心者でも育てやすい野菜のひとつです。
とはいえ、うまく結球しなかったり、生育不良になってしまうこともあるため、成功するコツをしっかりと押さえることが重要です。
この記事では、初心者の方でも簡単にレタスを栽培するための方法について、詳しく解説しています。
栽培に必要な準備や注意点、そして収穫までの流れを紹介し、レタス栽培初心者の方でも成功できるようにサポートします。
さらに、育てやすい品種や上手に育てるコツについても知ることができるので、栽培経験のある方がより成功させるための役にも立てるはずです。
「初心者だけどレタスを育ててみたい。」
「レタス栽培で失敗してしまったので成功するコツが知りたい。」
「人気の高いレタスを上手に育てて、いつか収益化してみたい。」
という方は、ぜひ参考にしてください。
レタスとはどんな野菜か
サラダの代表的な野菜であるレタスは、キク科アキノノゲシ属の野菜で、シュンギクやゴボウなどと同じ仲間です。
原産地は地中海沿岸から中近東といわれています。
レタスの和名は「ちしゃ」といい、「乳草」の略といわれています。
また、英名の「Lettuce」は、ラテン語の「Lactuca」(Lacは乳を意味する)が語源です。
これは、レタスを切ると茎から牛乳のような白い汁が出てくることから由来しています。
レタスは、日本には奈良時代に中国を経由して「ちしゃ」として伝わりました。
その頃の「ちしゃ」は、現在のレタスとは少し異なり、結球しておらず下の方から掻きとりながら食べる「掻きちしゃ」というものでした。
結球しているレタスは、江戸時代末期から明治時代になって欧米からやってきたといわれています。
レタスは品種改良が重ねられ、16世紀には、地中海沿岸を中心に結球レタス、リーフレタス、茎レタスなど多くのレタスがうまれました。
種類ごとに含まれる栄養素も食感も異なるため、自分の好みに合ったレタスを栽培したり、色々なレタスを少しずつ育てるなど、家庭菜園ならではの楽しみ方をしてみるのもおすすめです。
レタス栽培の難易度とは
栽培難易度:★★☆☆☆(簡単)
レタスの栽培の難易度は高くなく、初心者でもおいしくレタスを栽培することができます。
レタスの栽培期間は比較的短く、天候による影響を受けにくい上に病害虫被害も少ないため、栽培しやすい野菜であるといえます。
マルチ栽培をすれば追肥も除草もなしで簡単に育てることが可能ですよ。
レタスは種類が豊富で、結球の有無によって栽培期間が多少異なります。
タネ播きから収穫までの期間はそれぞれ以下の通りです。
- 結球しない品種(リーフレタスなど):1~2か月
- 完全には結球しない品種(ロメインレタスなど):2か月程度
- 結球する品種(玉レタスなど):2~3か月程度
初心者でも栽培可能で難易度が低いのは、結球させる必要がないうえに栽培期間が短いリーフレタスやグリーンレタスです。
レタス栽培の経験がない方は、まずはこれらの栽培期間が短い品種から挑戦してみるのがおすすめです。
また、栽培時期は主に「春播き」と「秋播き」の2種類がありますが、レタスは高温が苦手なため、秋播きの方が育てやすいといえます。
レタス栽培の3つのコツとは
レタス栽培は初心者でも栽培しやすい野菜ですが、結球がうまくいかないなどやや難しい面も存在します。
ポイントを押さえながら栽培することで、シャキシャキのおいしいキャベツを収穫することができますよ。
ここでは、成功に導くレタス栽培のコツを3つ紹介します。
高温が苦手で低温が好き
レタスの発芽適温および生育適温は20℃以下で、低温を好む野菜です。
高温よりも低温の方が発芽しやすい傾向にあり、30℃以上もしくは4℃以下ではほとんど発芽しません。
25℃以上では生育不良になり結球せず、トウ立ちしてしまいます。
「トウ立ち」とは、花芽が分化し、開花することをいいます。
トウ立ちすると、栄養が葉にいかなくなり、生長不良の原因になります。
そのため、暖かい時期に育苗する春まきよりも、「秋まき」がトウ立ちしにくく、適温で栽培することができます。
また、秋まきの際には8月にタネ播きをすることは避け、十分涼しくなった9月以降に播きましょう。
さらに、涼しい時期に栽培することで病害虫の被害も少なくすみます。
土壌が酸性にならないようにする
レタスは酸性を嫌う性質があります。
レタスは追肥をせずに育てることも可能なため、栽培前の土壌づくりが重要です。
酸性に傾かないよう、苦土石灰で中和しましょう。
連作障害に注意する
レタスは連続して栽培すると連作障害を起こします。
連作障害によって菌核病や腐敗病などが発生してしまうため、一度栽培した場所には2年間は空けるようにしましょう。
レタス以外にもゴボウ、シュンギクなどの同じキク科の野菜も互いに連作しないように注意が必要です。
レタスの種類とおすすめの品種4選
レタスは非常に多くの種類が存在しますが、日本で主に栽培されている種類は大きく分けると4つに分類することができます。
ここでは、4つの種類の特徴と、初心者におすすめの品種を紹介します。
玉レタス
出典:極早生シスコ レタス | 品種カタログ | タキイの野菜【タキイ種苗】 (takii.co.jp)
最も有名なレタスで、結球しているのが特徴です。
葉はクリスプヘッドと呼ばれるパ リパリとした食感をしています。
栽培期間が3〜4か月程度と他のレタスよりも長く、結球させる必要があるため、レタスの中でも難易度は高めだといえます。
おすすめの品種:極早生シスコ
極早生シスコは耐暑性があり、トウ立ちしにくい特徴を持ちます。
植え付けから35〜40日程度で収穫できる極早生種でもあり、結球レタスの中でも初心者におすすめの品種です。
密植しても形が整ったレタスになり、見た目が良いだけでなく、肉厚で歯切れがよく食味も優れています。
葉レタス
出典:レタス リーフレタスグリーン|種(タネ),球根,苗の通販はサカタのタネ オンラインショップ (sakata-netshop.com)
結球しないタイプのレタスで、リーフレタスと呼ばれる全体が緑色をしているもの、サニーレタスと呼ばれる 葉先が赤紫色になっているものなどがあります。
またプリーツレタスといって切り込みが深く、葉が細く縮れたタイプのレタ スもあります。
おすすめの品種:グリーンウェーブ
グリーンウエーブは、生育が良く病気にも強いため初心者でも作りやすい品種です。
やや濃いめの緑のリーフレタスで、柔らかくてサラダにとても合います。
掻きレタス
出典:Amazon | 実咲野菜 レタス 焼肉レタス チマサンチュ 小袋003034 | 野菜
株の成長と共に、下の方から成長した葉だけを掻き採るようにして収穫するレタスです。
掻きチシャとも呼ばれています。
代表的なものに、焼肉で人気のサンチュがあります。
おすすめの品種:チマサンチェ
発芽率がよく、耐寒性・耐暑性が強く。病害虫の被害にもあいにくいため、家庭菜園初心者におすすめです。
発芽から60日位で茎が20㎝~30㎝に伸びたころに下葉から順次かき取り収穫するので、長い期間収穫が続けられます。
茎レタス
出典:Amazon | サカタのタネ 茎レタス ケルン | 野菜
茎レタスは一般的なレタスのように丸く無く、太いて長い茎の先端に葉がついた形をしている野菜です。薄い黄緑色をした茎は長さが20~30cm、直径は3~5cmほどあります。茎レタスの葉は可食部分ではないため、葉をむしって茎の部分を食べます。炒めたり煮物にして食べますが、乾燥させたものは「山くらげ」として有名です。
おすすめの品種:ケルン
耐暑性と耐寒性が強く、栽培期間も定植から50日~60日程度と育てやすい品種です。
病気の発生も比較的少ないため、家庭菜園初心者にもおすすめできます。
レタスの栽培時期
出典:レタスの栽培方法・育て方のコツ | やまむファーム (ymmfarm.com)
レタスの栽培は主に「春まき」、「秋まき」の2つに分けられます。
地域や品種によって多少異なりますが、中間地で栽培する場合の栽培時期について紹介します。
春まき
種まき時期:2月~3月
植えつけ時期:3月~4月
収穫時期:5月~6月
春にまいて梅雨頃に収穫する春まき栽培は、他の時期に比べると少々難易度が上がります。
25℃以上でトウ立ちして発育不良になるため、植え付け後の温度管理には注意しましょう。
秋まき
タネ播き時期:8月~9月
植えつけ時期:9月
収穫時期:11月~12月
春に収穫する秋まき栽培は、トウ立ちしにくく害虫の発生が比較的少なく、管理がしやすいことから初心者の方におすすめです。
タネ播き時期は暑い時期は避け、9月以降に播くことで、発芽不良を避けることができます。
育苗
【タネ播き】
レタスのタネ播き方法には育苗箱に播く「箱まき」とポットに播く「ポットまき」が存在します。
大きな規模で行なう場合は箱まきがおすすめですが、簡単で初心者向けなのはポットまきです。
7.5~9㎝のポット鉢に培土(野菜用の培土など)を入れ、直径3cmで深さ1cmの穴を作り、3~4粒を離してまきます。
5mm程度の厚さになるように均一に土をかけ、たっぷりと水やりをします。
夏まきでは直射日光に当たらないように、ポットの上を寒冷紗あるいはよしずで覆いましょう。
逆に、春まきでは寒くなりすぎないように加温・保温して育苗する必要があります。
【間引き】
タネ播き後、3~4日で発芽します。
発芽したら子葉展開の頃から本葉が見え始める間に2本立ちに間引きをし、本葉2枚になるごろに1本まきにします。
タネ播き後約3週間後の本葉5~6枚で植え付け苗の完成です。
間引く苗は
①生育が異常に遅いもの
②葉の形が明らかに他と違うもの、色が異なるもの
③色が濃すぎるもの、生長が早すぎるもの
これらの特徴があるものを選びましょう。
【水やり】
レタスのポット苗は直射日光に当たらないように日陰で管理します。
タネ播き後4日後には発芽します。
発芽前までは土が乾かないように水やりを行ないましょう。
その後は基本的に朝行ない、夕方には乾くようにします。
また、湿度を上げないように地面に直接置かないようにしましょう。
植え付け準備
【土づくり】
植え付けの2週間以上前に苦土石灰を施し全層混和し、1週間前に堆肥と元肥を施して再度耕します。
1㎡あたりの肥料の量:
- 堆肥:2kg
- 苦土石灰:100~200g
- 元肥:100g
【ウネ立て】
ウネ幅60~70㎝でウネ立てをします。
植え付け
苗の定植適期は本葉5~6枚ごろです。
株間30㎝、条間45㎝で植え付けをするため、事前に穴をあけ、事前に十分に水をあげておきます。
根元を持って苗を逆さにし、ポットから抜いたあと、根鉢が崩れないように崩れないように穴に入れ、植え付け、最後に再びかん水します。
穴あけマルチを使うと除草や追肥の必要がなく、雨水のはねあげによる病気の発生が少なくなります。
手入れ
【追肥】
マルチ栽培の場合は追肥はほとんど必要ありません。
マルチをしないときは、定植1か月後に化成肥料60g/㎡程度を追肥します。
収穫
品種によりますが、レタスはタネ播きから3か月未満で収穫適期になります。
サニーレタスやグリーンリーフならさらに早く、タネ播きから2か月ごろに収穫できます。
結球し、頂部を軽く押さえてみて、固く締まっていたら収穫適期である目安です。
外葉を数枚の手で押し開いて、結球部分を斜めに傾けたら株元から包丁をいれて収穫してください。
レタスの病害虫とその対策方法
レタスは比較的栽培期間が短く、病害虫被害にあいにくい野菜です。
しかし、病害虫被害にあってしまった場合、取り除いて廃棄する必要があります。
せっかく大切に育てたレタスがむだにならないよう、原因を理解した上で対策を行ないましょう。
ここでは、レタスの病害虫と対策方法について紹介します。
【病害】
病害ではべと病や軟腐病に注意が必要で、殺菌剤を早期に散布します。
病気になる原因の多くは、水やりや雨の際の泥はねです。
葉に泥水が付着することで、菌が繁殖して病気になります。
おすすめの予防方法は穴あきマルチです。
マルチによってウネ全体を覆うことで泥はねが起きません。
さらに、追肥や除草の手間も省けるうえに、水分や温度の変化に弱いレタスの生長を守ってくれますよ。
【虫害】
虫害ではアブラムシ、ヨトウムシに注意し、早期防除を心掛けます。
また、ナメクジやカタツムリも葉を食害しますので見つけたら退治しましょう。
特に、レタス栽培ではナメクジの被害が多いため、結球しかけた頃にメタアルデヒドの薬を周辺にまいて防ぐのも効果的です。
ナメクジの好きな物陰や敷きワラ、雑草、草などはできるだけ取り除きましょう。
防虫対策として「コンパニオンプランツ」という方法もあります。
レタスのコンパニオンプランツにはアブラナ科の野菜がおすすめです。コンパニオンプランツとは、近くで育てたり一緒に植えたりすることで、違いの植物同士の病害虫予防になったり、より大きく美味しく育てることができる、共生野菜のことです。
キャベツやブロッコリー、カブなどのアブラナ科の野菜とレタスは、混植することで害虫予防が期待できます。
特にキャベツは栽培時期が近く、栽培方法も似ているため、同時に育てやすい野菜です。
防虫対策にも多目栽培にもなり、一石二鳥ともいえます。
キャベツの栽培方法についてはこちらの記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
レタスの魅力と楽しみ方とは
「レタス」といえばサラダというイメージが強いですが、生でも加熱してもおいしく食べられる上に栄養価も高い、魅力たっぷりの野菜です。
ここでは、レタスの魅力について深掘りして紹介します。
栄養価が高く、緑黄色野菜に分類されるものも
レタスといえば食物繊維というイメージが強いですが、ビタミン類も豊富に含まれている栄養価の高い野菜です。
ビタミンEは血行をよくする効果があります。他にも、活性酸素を抑え、生活習慣病の予防に効果があります。
特に、緑色の葉に多く含まれているのはビタミンEです。
また、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンAもレタスには豊富に含まれています。
これらの栄養素は疲労回復、イライラ解消、肌の健やかに保ち、胃の粘膜を強くしてくれるなどの効果が期待できる優れた野菜です。
また、結球レタスに含まれる玉レタスは「淡色野菜(その他の野菜)」ですが、サラダ菜やサニーレタスなどの結球しないレタスは、100g当たりカロテン含有量600µg以上を含むとされる「緑黄色野菜」のレタス類に分類されます。
さらに、非結球レタスは、結球する玉レタスよりもカリウムでは2倍、カルシウムは3倍、カロテンは9倍、ビタミンCは3~4倍もの量が含まれています。
結球しないレタスは栽培しやすいだけではなく、栄養価にも優れているため、家庭菜園初心者や子どもと一緒に育てる野菜として非常におすすめです。
料理のバリエーションが豊富
サラダの代表ともいえるレタスですが、炒め物やスープなど、加熱してもおいしく食べることが可能な調理のバリエーションが豊富な野菜です。
サンドイッチやタコスの具など、炭水化物との相性も良く、焼肉とサンチュのように肉と一緒に食べることでよりお互いのおいしさを引き立てることができます。
水分量が多いため、炒める際にはサッと火を通すのみにすることで、レタスのシャキシャキとした食感が楽しめます。
また、加熱することでレタスのかさが減り、たっぷりといただくことができます。
たとえば、スープに入れたり、ロールレタスのようにキャベツの代わりに肉を包み、とろとろに煮てもおいしく食べることができますよ。
サニーレタスやサンチュのような色味の濃い非結球レタスは、加熱すると苦みを感じやすいため、生や加熱しすぎない調理方法がおすすめです。
玉レタスのように色味が薄い結球レタスは、生でも加熱してもおいしく食べることができますよ。
このように、レタスには多くの魅力があります。
栄養価が高いだけではなく調理方法によって食感や味わいが変わるため、飽きることなく楽しむことができますよ。
ぜひ自分でレタスを収穫した際には様々な方法で味わってみてください。
まとめ
サラダに欠かせない野菜である「レタス」の栽培方法のコツとその魅力について紹介しました。
レタスは栽培期間が短く、丈夫で初心者でも育てやすい野菜です。
はじめてレタスを栽培する方は、まずはサニーレタスなどの結球しない品種を秋まき栽培で育てるのがおすすめです。
結球レタスを栽培する際にはトウ立ちしにくい品種を選ぶことで成功しやすくなります。
レタスは品種によって味わいが異なるため、色々な品種を育ててみるのもおすすめですよ。
はじめて家庭菜園に挑戦するという方も経験者の方も、今回紹介した内容を参考にレタス栽培にぜひチャレンジしてみてください。
また、レタスは1年を通して需要の高い野菜です。栽培に慣れたら自分で販売し、収入を得ることも夢ではありません。
「みんなで農家さん」では、農業に関するコラムを日々更新しています。
家庭菜園についてさらに詳しく知ることができるだけではなく、もっと大きな規模でやってみたいという方や、収入につなげてみたいという方にとって、必要な情報を知ることができます。
興味のある方は、ぜひこちらからチェックしてみてくださいね。
参考文献:
市川啓一郎著「タネ屋がこっそり教える 野菜作りの極意」一般社団法人 農山漁村文化協会発行,2021年
福田直子編集,猪狩暢子発行,藤田智監修「藤田智の新・野菜づくり大全」NHK出版発行,2019年
参考サイト:
レタスの栽培|種まき時期は?苗の植え付け方法は?プランターでの育て方は?|🍀GreenSnap(グリーンスナップ)
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