慣行栽培とは?基礎知識、方法、メリットなど徹底解説!

みなさんは「慣行栽培」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
現役農家の方でも普段あまり耳にしない言葉であり、聞いたことがある方でも実際にどんな栽培方法かはわからないという方もいるかと思います。
しかし「慣行栽培」は食糧問題や自然環境などを学ぶ上でとても重要な言葉です。

この記事では「慣行栽培」について詳しく解説していき、他の栽培方法との比較もしていきたいと思います。

慣行栽培とは?

慣行栽培とは、各地域で農家の多くが実践する農作物の栽培方法を指します。
慣行栽培にこれといった定義はなく、規定に基づいた農薬や肥料を使用して栽培を行うことです。
「慣行」という文字は古くからの習慣を意味する言葉で、日本だけでなく世界で一般的に行われている栽培方法なのです。
また慣行栽培は日本の農家の半数以上が慣行栽培を選択しており、過去3年間で最も売上が大きい栽培方法は?という質問に対しても50%以上の農家が慣行栽培と回答しております。
引用:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.maff.go.jp/j/finding/mind/attach/pdf/index-13.pdf

次に実際の慣行栽培の方法について紹介します。

慣行栽培の方法を紹介

慣行栽培の栽培方法について紹介します。
慣行栽培は戦後から使用されている栽培方法であり、病害虫の駆除のために農薬を使用し、作物の生育のために化学肥料を使用するのが栽培方法です。

また大型の機械を使用して作業を効率化し、1つの作物を大量に栽培することも慣行栽培も特徴だと言えます。

ここまでをまとめると慣行栽培は、
・効率化
・大量生産
・農薬使用
・化学肥料の使用

を使用した農業方法だと言えます。

ここまでの慣行栽培の話を聞くと農薬や化学肥料を使用するなど、あまり良くないイメージを持つ方も多いかと思います。

しかし慣行栽培では必要な農薬や必要な肥料というのは作物によって異なりますが、あくまでも国が定めた「農薬取締法」に従った使用量のみで農業を行っています。
また使用する農薬や肥料の商品説明通りに使用していますので、人間の体に悪影響がないように徹底されています。

しかし農薬や化学肥料の使用量はあくまでも農家が散布しているので、消費者の目から規定を守っているかは確認できません。
そこで国が定めているのは「食品衛生法」です。
食品衛生法では農薬の残留について基準が定められており、基準を超える農薬残留量が検出された食品の輸入や流通・販売は禁止されています。
また農作物は出荷した時点で自治体や国が検査を行っています。

こうしたルールによって消費者にとって安全な農作物の供給が行われており、「慣行栽培」が日本で1番主流な栽培方法となっています。

慣行栽培と特別栽培、有機栽培の違いについて

ここまで慣行栽培について基礎的な部分をお話ししました。
では慣行栽培と有機栽培や特別栽培と何が違うのか?という点についてお話しします。

慣行栽培と有機栽培の違いとは?

まずは慣行栽培と有機栽培の違いについてお話しします。
知っている方も多いかと思いますが「有機栽培」を簡単に説明すると、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない」「遺伝子組み換え技術を使用しない」などが有機栽培と言われています。
有機栽培は近年注目を集めている栽培方法で世界で大きく取り組まれている「SDGs」に対しても大きく貢献している栽培方法であり、環境に負荷をかけないのが有機栽培です。

慣行栽培は農薬は化学肥料の使用量は決められていますが、使用する事で少なからず環境に悪影響を与えていると言われています。
ここで勘違いをされがちなのが「有機栽培」は全く農薬や肥料を使わないということではありません。

あくまでも有機JAS農林水産省が定めた農薬や肥料・土壌改良資材であれば回数に制限なく使用できます。

とは言っても、有機栽培で使用する農薬は肥料は、
・天然物質
・化学処理を施さない天然由来の成分
が基本ですので慣行栽培と比較すると環境に優しく、体に害のない農作物という事です。

慣行栽培と特別栽培の違いについて

次に慣行栽培と特別栽培の違いについて解説していきます。
特別栽培は栽培期間中の「節減対象農薬使用回数が50%以下」「化学肥料の窒素成分が50%以下」とされています。

この2つの条件を満たした栽培方法が特別栽培と言われています。

簡単に説明すると、慣行栽培で使用する農薬、化学肥料どちらも5割減に達する農作物は特別栽培で栽培された農作物となります。


また5割減以上と表記されていますが、0%(農薬・化学肥料を一切使わない)場合は特別栽培には当てはまらず「不使用」とされます。

そして慣行栽培で使用できる農薬や化学肥料の基準は自治体や地域によって異なりますので、その地域で決められた量の50%以下となります。

以上が「慣行栽培」と「有機栽培」「特別栽培」の違いになります。



ここまで聞いてみると慣行栽培が日本で1番多いことに疑問を持つ方もいるかと思います。
農薬や化学肥料を使用しない方が品質・環境に良いのでは?となります。
ではなぜ慣行栽培が日本で1番主流な方法なのかご説明します。

慣行栽培が日本で1番主流な理由

先程までの説明を聞くと慣行栽培の良さというのはあまりわからないかと思います。
それでも慣行栽培が1番主流な理由として「品質や条件による差が大きい」からなのです。

農林水産省が発表している「https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1995/46/6/46_6_428/_pdf">有機栽培と慣行栽培農産物の品質上の差異」では消費者は有機栽培作物で1番重視しているのは「安全性」であるが農薬の残留量などを検査した結果、そこまで大きな差が出ているわけではないと発表しています。(作物のモノ、場所によって変動します)

また外見や栄養価についても有機栽培の方が上ではあるが、慣行栽培との差はあまりみられないのです。どの品種でも使用する肥料の量やタイミング、栽培する土壌の状態によって結果が変わると言われています。

その上で慣行栽培ははじめに述べたように「大量生産」が可能なのであれば、慣行栽培が1番主流な栽培方法であるのも納得いただけるかと思います。

次に慣行栽培のメリットについて紹介します。

慣行栽培のメリット

ここからは慣行栽培のメリットについて紹介します。
メリットについてお分かりいただけるとより、慣行栽培が日本で1番主流であるか理解を深めることができると思います。

品質・価格面で安定する

慣行栽培では土壌や作物の様子を見て農薬や肥料を使用します。そのため毎年栽培できる収穫量に大きな差がなく、品質の変わらない農作物を大量に栽培することが可能になるのです。

品質が安定して大量に生産することができれば農家の収入も安定、消費者にとっても品質や価格に変動が起きないので両者にメリットがあると言えます。

農作業の軽減

農家にとって負担になる仕事というのはたくさんあります。
例えば雑草の除去などはどれだけ草刈りを行っても1円にもなりませんが、除草剤などを使用すると短時間での除草が可能になります。
また農業では「人材不足」という大きな問題がありますが、慣行農業では作業の負担が減りますので人材不足にも対応できる栽培方法だと言えます。

まとめ

この記事では慣行栽培について詳しく解説しました。
現代でも長い歴史のある栽培方法ですが、今の日本や世界での取り組みに対して貢献できているとは言えない栽培方法です。

農薬や化学肥料というのは過度な量で環境に負荷をかけ地力が低下する原因にもなります。
「慣行栽培と有機栽培・特別栽培」の違いについて説明していますが、これからの持続可能な農業を目指すのであれば慎重に検討する必要があります。

慣行栽培を減らしていくことが正解ではありません。
それぞれメリットがありますので、取り入れる栽培方法をもっと良い方向に変えていくことが大切です。

また「みんなで農家さん」では慣行栽培以外の方法も紹介している記事もあります。
そのほかにも農業に関する情報が掲載されていますので、ぜひご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/

最後まで閲覧いただきありがとうございました。

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