受注生産型農業とは?経済不況への兆しとなる!?

新型コロナウイルスやウクライナ情勢による物価高騰により大きな打撃を受けている農家も少なくありません。
農業だけでなくどの業界でも同じことが言えますが、経費や労力を価格に反映させることが難しく、
特に農業では物価をあげれば消費者は減っていき、物価を上げなければ肥料や農薬など輸入する物価は高くなっているので利益が出ないという状態に陥っています。

これから新規で就農を考えている方にとってはそのような状態を見て不安に駆られ、就農を断念するという方もおり「人材不足」の深刻化など悪循環になってしまいます。
そんな新規就農者の経営を支える選択肢として「受注生産型農業」があります。
この記事では受注生産型農業の基礎から詳しく解説していき、これからの新規就農者への不安を少しでもとり除ければと思います。

受注生産と見込み生産について

受注生産型農業を説明する前に「生産の形態」について解説します。

農業だけでなく一般のモノを作る(生産)企業には受注生産と見込み生産に分類されます。
見込み生産は製品の需要を見込んであらかじめ製品を作っておく方法です。
製造した製品は在庫として持っておき顧客から注文を受けた際に出荷します。

受注生産は在庫を持たず顧客から注文を受けた後に製品を作り製造後すぐに出荷を行います。
一般での「見込み生産」と「受注生産」ですが農業では少し違います。

農業では一般的に生育する作物を選択して農業をスタートします。
この収穫する作物は基本的にできる限り多く生産をしてスーパーや直売所に出荷して売りに出します。これは「見込み生産」に分類されます。
消費者は個人の方であり、これくらい売れるであろうという予測を立て生産を行います。

一方、「受注生産」は農業で言えば法人が対象になります。
レストランやファストフード店に出荷する作物を受注して、受注した量を生産する方法です。

近年では物価高騰の影響で「見込み生産」から「受注生産」を取り入れる農家も少なくありません。

受注生産型農業を行う上での2つのポイント

受注生産型農業について少しだけ先程説明しましたが、ここからは受注生産型農業を深く解説していきます。
受注生産型農業は生産者自身が「誰のために」「何を作るのか」が大切になってきます。

まずは「誰のために」作るのか?について解説します。
受注生産型農業は対象は基本的に法人だと解説しました。一般の農家では個人を対象にする方が多いですが、「受注生産型農業」では個人の消費者は基本的に対象にしません。

これには大きな理由があります、

1つ目として生産者が多くの消費者に対して個別に対応するのはかなりの労力がいる上に個人間でのトラブルの原因にもなりやすいからです。
2つ目に個別に配送を行なっては送料もかかる上、消費者1世帯に送る作物の量はかなり少ないからです。
これではかなり労力やお金がかかる上、利益がとても少ないからです。
法人や企業であれば、ある程度のまとまった量の発注をしてもらえる上に、送料や労力も抑えることができます。

そして何を作るのか?について解説します。
受注生産型農業では何を作るのかはとても重要になってくるポイントです。
企業や法人との取引は1つの取引相手として大きな利益を見込める可能性もありますが、需要がない作物は企業や法人との取引をするまでが難しくなってきます。
また作物によっては大量生産ができない作物や生育が難しい作物などがあり、ある程度の供給が見込めない場合も利益が出ないということにもなります。
受注生産型農業では生育する作物の見極めが大切になってきます。

受注生産型農業のメリット・デメリット

受注生産型農業のメリット・デメリットについて解説していきます。

メリット

食品ロスを減らすことができる

受注生産型農業は食品のロスを減らすことができます。
従来の農業では収穫して出荷を行い個人消費者に購入してもらいます。
全て売れることができれば生産者としては良いですが、食べ物ですから期限があり売れなければ商品としての価値はなくなり廃棄になります。
一方、受注生産型農業では固定客ですので、ある程度必要な量を把握しておくことで必要な量に合わせて作物を生産することできます。
近年ではSDGsなどの取り組みで食品ロスの削減にも注目が集まっているため、SDGsの貢献にも繋がります。

収入の安定化を見込める

受注生産型農業は固定客がいるので収入の安定化を見込めます。
先程説明しましたが、受注生産型農業の消費者の対象は「法人」です。
法人であればある程度の発注が見込めるうえ、労力も少なくすみ大量生産をしなくとも発注の量だけ把握しておけばその量に合わせて作物を作ります。
そうした場合、農薬や肥料を余分に多く使う心配もなく経費も安価に抑えることができます。

デメリット

大きく利益を出すのが難しい

受注型生産農業では大きく利益を上げることが難しいと言えます。
理由としては売上は基本的に固定客のみの売り上げだからです。一般の農家は農作物を大量生産し個人の消費者を対象に利益を上げます。
これは売れれば売れるだけ利益が出ますし、売れなければ利益は出ません。
受注生産型農業で大きく利益を望むのであれば固定客を増やすことが大切になってきます。

収入を得るまでに時間がかかる

本来農家を始めた際、約3ヶ月は売り上げが見込めないのでほとんどの農家では貯蓄したお金を生活費に当てたりします。
これは作物を育てて出荷するまでに時間がかかるためですが安定した収入を得るには更に時間がかかると言われています。
これに加えて受注型生産農業では固定客を持つ必要があるため、実績がない農家では相手にしてもらえない可能性もあります。
地道に営業をしていくことや実績が必要になってくることはデメリットと言えるでしょう。

受注生産型農業の事例を紹介

最後に受注生産型農業に取り組んでいる法人の事例を紹介します。

今回紹介するのは東京の大田市場で青果物の仲卸を経営している方で「千載一遇農en」というサービスを行っています。
このサービスは、青果物のように毎日消費する商品であっても企画やイベントのような「コト」や社会的意義などの「イミ」を持たせることができなければ従来の需給バランスの枠の中で他者に価格の決定を委ねる状況を打破するために始めたものです。

また「千載一遇農en」では「お金を与えるのでなく、農業経営を支える仕組みを提供する」ことも目指しています。千載一遇農enでは生産者と企業をつなぐことから始め、主に小規模農家を対象にしています。
具体的には企業は生産者の圃場の一部を利用して社員に農業体験などの福利厚生を提供しつつ生産者を応援すること。生産者は生産技術を向上させることによって高品質な青果物を企業側に提供することを目指します。
こうして新規就農者を中心に自立を支えることがサービスの本質です。

また他社に運命を委ねない農業経営を目標としており、

▼生産者
固定客を確保し受注生産型農業にチェンジし安定的な農業経営を目指す。

▼スタッフ
気軽に農業を体験し、自分たちのために安全で安心あ農産物を提供してくれるこ生産者と互いの顔の見える関係を築くことが可能になる

▼企業
スタッフに福利厚生ウィ提供し、社会的意義のある活動を行い企業の価値を向上できる。

これは生産者は生産だけをしていれば良いという時代が終わったという考えからです。
自分の運命を他者に委ねるのでなく時には運営やサービスを伴う活動も必要であり、市場関係者も史上の優れた機能は生かしつつ他の業界の進んだ仕組みやシステムは積極的に取り入れることで更なる発展を目指すべきです。
こうしたシステムの1つとして時「受注生産型農業」があります。

まとめ

この記事では「受注生産型農業」について解説しました。
農業というのも常に時代に合わせた方法を選択する必要があります。
経済的に潤っていれば選択肢は多くありますが、現代のような経済が低迷する時代には1番最適な方法を見極め選択する必要があります。

これは農業のみならずどの業界でも同じことが言えます。
売り上げが低迷しているなどのお悩みがある方は「受注生産型農業」を検討してみてはいかがでしょうか?

また「みんなで農家さん」では受注生産型農業だけでなく農業に関する情報を多数掲載しています。
これからの時代や自分に合った「生産方法」や「栽培方法」なども見つかるかもしれません。
ぜひご覧ください。
https://minnadenoukasan.life/

最後まで閲覧いただきありがとうございました。

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