私たちの食生活で欠かせなくなっているのがお肉の存在です。
好きな食べものとしても多くの人が焼肉や唐揚げ、ハンバーグなどが好きな食べ物のランキングとして入っていることが多いと思います。
みんなが大好きなお肉ですが昔と比較して消費量が増加していることもご存知でしょうか。
これは日本の食文化が海外からの影響を受けて変化してきたことによるものです。
日本の食文化は基本的には和食であり、魚や米野菜などが主流でした。
しかし、現在はグローバル化の影響を受けて洋食や中華、欧米など様々な食文化が日本には存在するようになりました。
このグローバル化の影響を受けて食の変化によりお肉の消費量なども同じように変化していきています。
それで何が問題になるのでしょうか?
それは食料自給率に合わない消費になっているのが問題なのです。
日本の食料自給率は低いため多くを輸入に頼っているのが現状です。
食のグローバル化に伴い国内では生産が追いつかずにお肉なども輸入が多くなってきています。
スーパーなどでも海外産の方が安く、多くの人が外国産のものを食したことがあるのではないでしょうか。
そこでこの記事ではお肉の消費の変化と食料自給率と生産について紹介していきます。
普段から何気なく食しているお肉にも家畜農家の大変さや日本の現状を少しでも知っていただければと思います。
食文化の変化
日本の食文化はここ50年で大きく変化してきました。
一つは食のグローバル化の影響です。
そのきっかけとして戦後から貿易が発展するようになり日本にも海外の様々な食文化が入って来るようになりました。
今では当たり前のようにありますが、洋食のパスタやハンバーグに中華や焼肉、ステーキ等も現在の飲食店で出てくるような食べ物の多くは海外からの食文化の物が多いです。
従来日本では魚やコメを食するのが主流でしたが、現在では飲食店をみても海外の食文化が多いことがわかります。
これに伴い魚の消費量は昔に比べて減少して肉の消費量は増加するようになっています。
次にお肉の消費量が増えた要因として戦後からの経済成長を得て国民の所得水準が向上したことも要因の一つです。
経済成長と消費の関係がわかりやすいのが1960年から1970年にかけてお肉の消費量が最も増加していることです。
このように現在の私たちからすれば普段からあまり気にしないためそこまで感じることはありませんが昔から見ると食一つでも大きな変化が出ています。
この変化によって農業などでも食の変化に合わせて消費率が変化しているためそのニーズに答えていくべく現在の日本の食文化と消費については知っておく必要があります。
各種肉の変化
ここまでは食文化の変化について昔と現在とで比較した際の変化について取り上げてきました。
ここからは各種肉の消費の変化に着目して紹介していきます。
まず、昔と比較した際にどれくらい消費量が増えているのでしょうか。
1960年代の一人あたりのお肉の消費量は3.5kg
2013年ごろには一人あたりのお肉の消費量が30kgとなっています。
約50年で10倍ほど消費量が増加しています。
お肉ではありませんがもともと食されている米についてもつでに紹介しておきます。
米は1960年代では一人当たり115kgも食され消費されていましたが、
2013年ごろでは一人当たり57kgまで減少しています。
このように食文化の変化によって消費率が変化していることが一目でわかると思います。
食肉の消費の変化に合わせて大きく変化したのは食文化だけではなく輸入の影響もあります。
まず1991年に牛肉の自由化がありました。
これによって輸入による牛肉が増加して牛肉の消費が増加した一方で豚肉と鶏肉の消費は一時的に増加しなくなったことがあります。
そしてもう一つがニュースになっていたので知っている人も多いと思いますが、2001年に日本、2003年に米国でそれぞれ発生したBSE(牛海綿状脳症)による影響です。
BSEの影響で牛肉の消費は減退して2013年ごろにOIEから無視できるBSEのリスクの国に認定されてから牛肉の消費は回復傾向にありますが一番ピークで消費されていいた頃のように戻るにはまだ時間がかかっています。
また、このBSEの間は豚肉と鶏肉がやはり多く消費されるようになっていました。
消費率の変動は食文化の影響が大きいのは間違いないですが、輸入による影響も消費率には影響があることは間違いありません。
次からはそれぞれの消費量について紹介していきます。
牛肉の消費量の変化
肉の中でも牛肉が一番好きな人は多いのではないでしょう。
焼肉ではカルビやハラミ、牛タン、ひき肉、ハンバーグや牛肉は様々な料理の中でも幅広く使用されています。
昭和35年ごろでば牛肉の消費量は一人当たり年間で約1kg程度でした。
しかし、時代と食文化の変化によって10年で2倍20年で3倍と消費量は右肩上がりに増えてきました。
この消費量が一時的に落ちたのか各種の肉の変化でも記載したようにBSE(牛海綿状脳症)の影響で消費量は著しく落ちました。
BSE(牛海綿状脳症)前の最高消費量が平成12年で7.6kgでしたが令和元年でも6.5kgとBSE(牛海綿状脳症)前の消費量には達していない状態です。
牛肉の生産面
消費量の変化がBSE(牛海綿状脳症)に対して生産面に関してはどうなのでしょうか。
結論から言うと国内生産だけでは追いついていないというのが現状です。
それではどうやって消費に間に合わせているのか。
それは輸入によって賄っているからです。
昭和35年時の消費量でば国内での生産でも十分に賄うことができていました。
しかし、消費量が増加するにつれて国内生産では追いつかなくなり輸入に頼らざるおえなくなっているのが現状です。
国内での牛肉の生産での自給率は約35%で国内の消費に対する需要の3分の1にしか満たしていないのです。
スーパーでも外国産の物が安く国産のものよりも食べる機会が多いのはこういったことからになります。
豚肉の消費量の変化
豚肉は牛肉のような問題が起きていないため消費量は右肩上がりで増加しています。
昭和35年から比較すると年間の1人当たりの消費量が約1kgに対して令和元年では10倍以上の12.8kgまで増加してきています。
豚肉も牛肉同様に消費量は年々増加していることがわかります。
豚肉の生産面
豚肉も同様に消費量が増加しているのに対して生産が追いついていない状態です。
そのため、豚肉も輸入によって消費をまかなっている状態です。
消費と生産が釣り合わない状態になっているのに対して生産を向上させよう家畜疾病、労働力不足、畜産環境問題等がありそう簡単に増加させることができません。
しかし、豚肉に関しては食料自給率が49%と約半分は国内で対応できているため牛肉に比べれば高いことがわかります。
鶏肉の消費量の変化
牛肉、豚肉ときたら最後によく食される鶏肉の消費量について見ていきます。
鶏肉も同様に消費量は右肩上がりにどんどん上がってきています。
牛肉、豚肉同様に昭和35年の1人あたりの消費量は1kg程度でしたが令和元年までに10倍以上の13.9kgまで増加しています。
平成24年には豚肉の消費量を超えて現在では食文化の変化の中で最も消費が多いお肉になっています。
また、鶏肉の消費が増加したのには食文化の変化だけではなく健康志向の高まりも影響しています。
ダイエットの目的として胸肉やささみ、コンビニなどでも手軽に買えるサラダチキンなど安価で買えることなども消費量を増やしてきた要員の一つといえます。
鶏肉の自給率は令和元年度で64%と国内需要の3分の2を補ているため最も消費されている肉としは非常に高い生産性を確保できています。
生産性をあげるための畜産農家
それぞれの消費量を紹介してきましたがどれも消費量と自給率が伴っていないことがわかりました。
自給率を向上させていくためには家畜を育てる飼料が必要になります。
何が言いたいのかというと家畜の生産性をあげるためには飼料の生産も国内で補えるのか?というのがポイントになってきます。
牛肉、豚肉、鶏肉を1kg育てるために必要な飼料として牛肉では11kg、豚肉では6kg、鶏肉では4kgとなります。(必要飼料はとうもろこし換算)
つまり飼料を確保するだけでも広大な土地と生産力がなければそもそも国内だけでは肉の自給率を上げていくことはできないのです。
現状は海外の輸入に頼っている状況ですが、輸入がいつまでも安定している訳ではありません。
今後より肉の生産性をあげていくためには畜産農家の拡大と飼料の供給を国内でも安定してできるようにしていく必要があります。
まとめ
肉の消費量と生産量が伴っていないことはこの記事を通してわかって頂けたと思います。
牛肉、豚肉、鶏肉とそれぞれの消費量に対しての国内での自給率をみても肉の種類によっても生産に大きな差があります。
日本は先進国の中でも著しく食料自給率が低い国です。
国土の問題もありますが、それ以上に農家の割合と国内の消費のバランスが取れていないのが現状です。
日本では食糧自給率の向上ために色々な政策をしていますが肉の自給率をあげるためには飼料の問題もあります。
畜産農家をただ増加させたとしても家畜を育てるための飼料の自給率も増加しないと輸入の問題はいつまでも解決しません。
そのため、国内の食料自給率をあげていくためには輸入に頼っている物の自給率を国内であげていく必要があるということです。
日本は昔と比べてグローバル化が進み食生活だけではなく、生活スタイルも変化してきました。
肉の消費量の増加からわかるように今後も食のスタイルは変化をしていくことがわかります。
日本の食料自給率をあげていくためには農家の増加だけではなく育てるための飼料から国内での自給率をあげていく必要があります。
肉の消費量からでもこれだけの内容を見てとることができます。
今後も国内食料の消費量から動向を見ていきどうすれば食料自給率を上げられるか考えていく必要があります。
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