【悪臭問題】家畜排せつ物法のルールとは

農業の中でも畜産農業はにおいの苦情が農業の中でも多くなります。

理由としては家畜の存在があります。

畜産業では家畜を育てるために飼料や家畜から排泄される糞や尿、家畜自身の匂いなど適切な管理をしなければ悪臭となる要素が多くあります。

そのため、農業の中でも畜産農業は匂いの苦情、『悪臭』がどうしても苦情として発生しています。

私たちの生活の中でも畜産農業は食に関わる非常に重要な産業です。

国内でも欠かすことができないとされています。

しかし、このように悪臭などの苦情があるため畜産農家はきちんとした対策をとって行かなければいけません。

そこで、畜産業では糞や尿の処理として家畜排せつ物管理基準があります。

この記事では糞尿処理の法律などを農林水産省を参考にわかりやすく紹介していきます。

これから畜産農家を目指している人にとってはどんなことが決められているのか知っていただくのと現在畜産業を営んでいる農家はきちんと対応できているのかを確認していただければと思います。

それでは家畜排せつ物の管理基準について見ていきましょう。

家排せつ物とは

家畜の排泄物と言われたら糞や尿をイメージすると思いますが、実は家畜から排泄された糞や尿だけをさしているわけではありません。

稲わら等との混合物、乾燥物、発酵後のたい肥や液肥といったものまでを含めて「家畜排せつ物」とされています。

それではなぜ糞や尿以外の稲わらなども家畜の排泄物とされるのでしょうか。

理由としては下記のような理由があります。

1、たい肥とふん尿の状態は、一連の形状等の変化の過程で連続しているため、明確に仕分けることが困難となる場合があるため

2、ふん尿のみならずたい肥等についても、不適切な管理によってふん尿と同様に畜産環境問題を引き起こす恐れがあるため

つまり明確に仕分けして処理することが難しいのと糞尿だけが畜産環境の問題を引き起こすわけではないためです。

そのため家畜排せつ物としての括りとして糞や尿だけないのです。

管理と管理基準

家畜排せつ物の管理とは具体的には2つに分けられています。

1、『処理』

2、『保管』

この2つに基本的には分けられています。

それぞれについてもう少し具体的に内容を紹介していきます。

1、『処理』とは、たい肥の原材料としての加工、乾燥処理施設における乾燥、固液分離、水分調整等の幅広い行為を含みます。

2、『保管』とは、家畜排せつ物に加工を加えることなく保っておく行為のことです。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/t_mondai/04_zyokyo/

つまり管理とは処理ができるように調整することと加工をせずに現状を維持すること。

この2つのことを家畜排せつ物の管理としています。

管理基準の設備と方法について

家畜排せつ物法では、家畜排せつ物法第3条第1項により、「たい肥舎その他の家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設の構造設備及び家畜排せつ物の管理の方法に関し畜産業を営む者が遵守すべき基準」が定められています。

また、同第2項において、「畜産業を営む者は、管理基準に従い、家畜排せつ物を管理しなければならない」とされています。

参考、引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/t_mondai/04_zyokyo/

難しく書いてあるように見えますが、

畜産農家は排泄物などの処理と保管に関する構造設備は管理方法のルールを守ること、適切に処理をすること。

上記のことについて書いてあるだけです。

それでは具体的にどんな基準と設備があるのでしょうか。

・管理施設としては2つの基準があります。

1.固形状の家畜排せつ物の管理施設は、床を不浸透性材料(コン クリート等汚水が浸透しないもの)で築造し、 適当な覆い及び側壁を設けること。

2.液状の家畜排せつ物の管理施設は、不浸透性材料で築造した貯留槽とすること。

1.と2.についての不浸透性にする理由として、汚水が飛散したり流失したりすることがないようにするためです。

浸透性がある場合地下に浸透してしまい地下から周りに流失してしまうため必ず不浸透性である必要があります。

また、適当な覆いとは必ずしも屋根を設置することを意味しているのではなく防水シートで覆うなど簡易的な方法でも問題はありません。

・管理方法に関する基準としては5つになります。

1.家畜排せつ物は管理施設において管理すること。

2.管理施設の定期的な点検を行うこと。

3.管理施設の床、覆い、側壁又は槽に破損があるときは、遅滞なく修繕を行うこと。

4.送風装置等を設置している場合は、当該装置の維持管理を適切に行うこと。

5.家畜排せつ物の年間の発生量、処理の方法及び処理の方法別の数量について記録すること。

参考、引用元:https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/t_mondai/04_zyokyo/pdf/1_standard.pdf

1.〜5.の管理方法の基準として明記されている内容はそれぞれの内容を明確に示すために決められた内容です。

内容を確認しても分かるように基本的にはどこで管理するのか、また不備がないように点検、修繕、維持管理をすること、処理が間違ってないかの数量を把握する。

一般的な管理とほぼ同様な内容となっています。

家畜の排せつ物の管理基準の設備と方法として、まず第一に周辺に飛散、流失しないような管理施設であること。

次に管理施設で管理するために不備がないように点検、修繕、維持管理を行い適切な処理がされている証明の数量を記載し記録することが定められているのです。

管理基準に違反した場合

管理基準に違反した場合にはどうなるのでしょうか。

命令に違反した場合には50万円以下の罰金に処されます。

ただしいきなり命令違反したからといって50万以下の罰金に処されるわけではありません。

そこまでにもちろん段階があります。

まずは、管理基準に従った管理が行われるための必要な「指導及び助言」(法第4条)がされます。

次に、指導又は助言を受けた後も、なお管理基準に違反している場合、一定期間内に違反状態を解消すべき旨の「勧告」(法第5条第1項)

勧告を受けたにもかかわらずこれに従わなかった場合、一定期間内に違反状態を解消すべきとの「命令」(法第5条第2項)

といった段階で指導から勧告そして命令と段階をおっていきます。

ここでも命令違反をした場合に50万円以下の罰金に処されることになります。

そのため、いきなり命令違反で罰金となることはありません。

きちんと指導された段階で対応しておけば問題はありません。

また、注意しなければいけないのは都道府県知事はきちんとした管理がされているのかを確認するために、「指導及び助言」や「勧告及び命令」を行うために必要な報告を畜産業を行う者に命じたり、職員を事業場に立ち入りさせ検査するなど「報告の聴取及び立入検査」(法第6条)を行うことができるとされています。

この報告をしなかったり、虚偽の報告をしたり、検査を拒んだり、妨げたり、忌避した場合には、20万円以下の罰金に処せられることになります。(法第17条)

管理基準に違反した場合意外にもこのように罰金を課せられる場合もありますので、検査などがある場合は対応する必要があります。

いきなり罰金となることがないように日頃からの管理をきちんとしておくこと、また指導を受けた段階で是正すれば勧告、命令となることはありませんのでそこまで心配する必要もありません。

検査がある場合には素直に検査を受けた方がいいでしょう。

管理基準の適用除外の例

実は管理基準の中でも家畜の数によっては適用の除外の場合があります。

それは下記のような場合になります。

・牛の場合 10頭未満

・豚の場合 100頭未満

・鶏の場合 2000羽未満

・馬の場合 10頭未満

・ヤギやダチョウなどについては管理基準の適用対象となりません。

なぜこれらの場合には管理の適用除外になるのかですが、これは家畜の数が少なければ必然的に排せつ物の量が少ないため環境に対してそれほど大きな影響がないとされているためです。

また、それぞれによって家畜の数に差があるのは排泄物の量に違いがあるためです。

牛1頭と鶏1頭ではもちろん排泄物の量に違いがあります。

そのため、それぞれによって管理基準の適用除外の数に違いがあります。

ただし、ここで間違っていけないのは適用除外だからと言って野積や素掘りを行っていいわけではありません。

義務ではありませんが管理基準を守ることは好ましいです。

まとめ

家畜排せつ物法管理基準を紹介してきましたがそこまでルールを守るのが難しい内容ではなかったと思います。

設備としても地下からの飛散、流出がしないように不浸透性の物にしておく、覆いなども防水シートなど簡易的な物で大丈夫なので手間を惜しまないようにして下さい。

違反に関しても指導、勧告、命令と段階があります。

命令まで言っても是正がない場合に罰金が発生してきます。

また、注意しなければいけないのが虚偽の報告をしたり、検査を拒んだり、妨げたり、忌避した場合も罰金が発生してきます。

そのため、調査があった場合には罰金のリスクを考えた場合には素直に受けた方がいいはずです。

もし不備があったとしても一度目は指導で済むのでそこで改善すれば問題ありません。

こういったルールが決められたのには必ず過去に問題が起きてるためです。

糞尿などの素掘りや野積みによって悪臭問題や環境問題などの原因があります。

畜産農家は生産すればいいだけでではなくこういった環境に対してのルールを厳守しながらより良い物を生産していかなければいけません。

参考、引用元:農林水産省『家畜排せつ物法管理基準と施工状況』https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/t_mondai/04_zyokyo/

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